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<第2部:第3章 オリエンテーリング(7):B班との合流> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第260回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(7):B班との合流>
早く先に進みたいリーダーは、中間チェックポイントでの休憩を15分ほどで切り上げて出発した。裕美子とシャノンにはなんとなく物足りない休憩だった。
次の目標は中間チェックポイントから見えたハゲ山である。そこは登ってきたのとは反対側の斜面を下り、森に入って大きな尾根を越えた向こう側にあった。森の中の様子は上からは分からなかった。
尾根を登り下りしなければならないと聞いてシャノンは疲れた顔をしていた。やっぱりまだ山登りをしなければならないとは予想してなかったようだ。
下りの斜面は登ってきたときと同じ巨岩がゴロゴロした急斜面だ。勇夫が降りるルートを探し先導していった。
切り立った崖のようなところを岩と岩の間の隙間を使って難なく下りたところで、勇夫が下から上がってこようとしている集団を見つけた。
「あ、あれB班じゃねえか?」
「ほんとだ。やっと来たわね」
もう少し下ると、大きな岩が突き出て見晴らしのいいところでB班が座り込んでいた。男の子が立ち上がって手を振った。
『あ、アロン君だ』
アロンを認めた裕美子は、さっき落ち込んだ気持ちが急に晴れやかになってきた。このままB班と一緒に行動することはできないもんだろうか。
アロンが先頭の勇夫に声をかけた。
「勇夫、早いなお前ら。ちょっと休憩して行けよ」
「よお、アロン。どうだ?そっち。リーダー、ちょっとキューケイ!」
「なんだよ、チェックポイントで休んだばっかりじゃないか」
リーダーは先に進みたいようだが、レソフィックも休憩というか、情報交換のため留まる方を勧めた.
「情報交換は大事だろ。休む価値あるって。まあちょっと待てや」
リーダーは了承した。
「じゃあ、5分な」
A班もB班に合わせて小休止に入った。
さっそく勇夫とレソフィックはアロンにこの先の状況を質問していた。
「この先どんな道だ?」
「道なんてねぇよ。洗濯板のようにある尾根と谷をいくつも越えるんだ」
アロンの近くに行って話しを聞きたかったが、そばにいたハウルやキャリーのところにカーラとクリスティンとシャルロットがやってきて女子は女子同士で情報交換を始めたので、裕美子は必然的に女子の輪に加わるような形になった。
クリスティンは開口一番、ハウルの暴走を心配していた。
「ハウル!何もなかった?みんなを怪我させたりしてない?!」
「見れば分かるでしょ。みんなピンピンしてるじゃない」
「キャリーさん、本当に迷惑かけてなかった?」
「うん。勇夫君と先行してルート偵察したりして活躍してたわよ」
「本当?勇夫君は大丈夫?ボロボロになってない?」
「ボロボロどころかますます元気よ、あの人。付いていくと面白いのよ。食べられるもの見つけたり、木や岩に登ったり、蔓使ってターザンやったり、お菓子もうじゃうじゃ背負ってるし。でもタダじゃくれないからずいぶんあたしのと交換したわ」
クリスティンが目を丸くした。
「え?!す、すごい!勇夫君、ハウルと一緒にいてひどい目にあったり、もう嫌だーとか叫んだりしてないの?!」
「何言ってるのよー。どこにそんな人いたのよー」
「かつてハウルと2時間も一緒にいた人はみんなそうよ!」
そこにいた女の子達はみんな目が点になってた。
「そ、そんなことより、来た道のこと教えてよ。どんなところだった?」
カーラが本来の目的を思い出した。
「道?うーん、道ってのはなくてね、沢とか川とかをずっと辿って来たのよ。この上の中間チェックポイントの向こう側は岩とか石っころの急斜面で、第2チェックポイントの滝まで沢づたい。滝の横の崖を降りたら、石ゴロゴロの川原をずっと辿るの」
「足元は歩きやすい?」
背が高くて足の長いキャリーでさえも首を横に振った。
「ぜんぜん。沢の横はぬかるんでたり、崖は滑りやすいし、川原は岩や裂け目を飛び越えたり登ったり下りたり、全身運動の連続よ。いいトレーニングだったわ」
「キャリーさんがいいトレーニング?!・・・どうしよう、イザベルさんとか行けるのかな・・」
カーラがシャルロットへ顔を向けた。シャルロットは首を横に振った。
「登ったり下りたりどころか飛び越えたりなんて、イザベル無理なんじゃない?ダーニャも幅跳びは不得意よ。どれくらい飛ばなきゃいけないのか知らないけど。ウォルトなんてまたぐことだって大問題なんじゃない?」
「私もそんな軽業師みたいなのはぜんぜんダメですぅ~。今までは藪と坂道がほとんどだったからなんとか付いていけましたけどぉ・・」
クリスティンがすごい心配顔になった。シャルロットはしゃがんでる裕美子とシャノンを見て言った。
「でもこの子たちもそこ来れたんでしょう?」
ハウルが代わりに答えた。
「この2人、結構運動神経いいのよ。でもさすがにシャノンちゃんはお疲れ気味ね。そっちはなあに?運動苦手な人多いの?」
「あんた達とは比べ物にならないわよ。この2人も運動神経いいっていうなら、みんな運動できる人ばっかりじゃない。こっちは体力はないわ、すぐ疲れるわ、文句は言うわ、水はがぶがぶ飲むわ、オリエンテーリングなんてぜんぜん向いてないわよ。アロンがアウトドア詳しくてカーラが気が利かなかったら、とっくに私らの班は行くところ間違って遭難してるわ。ねえカーラ」
シャルロットがカーラに言った。
「私は別に気なんか利かないけど・・アロン君はその通りね。ジョンはチームまとめるのうまいし、ウォルト君も方向感覚はすごいけど、決定的に運動量がないわ、うちの班」
「そうなんだ。で、なあに?この先って藪と坂道だらけなの?」
「尾根をいくつも横断しなくちゃいけないのよ。登っては下りて登っては下りてって。木が鬱蒼と生えてて視界はないし、下は下草やコケが茂ってるから足元見えないし。でも私らが通った跡を見つければ少しは歩きやすいかもね」
「そうなの。登ったり降りたりがまだ続くのは疲れ気味のシャノンちゃんや裕美子にはきついわね」
裕美子は静かにこのやり取りを聴いていた。
『やっぱりアロン君は頼られてたわね。・・そうか、B班は体力のない人が多いんだ』
クリスティンもハウルが暴れまわってないことを確認すると、座り込んで静かになっていた。向こうではがっくりと岩にもたれてぴくりとも動かないイザベルとウォルト。アンザックとダーニャも座って足を揉んでいる。ジョンはその横に座って水を飲みながら体の様子を聞いているようだった。比較的元気なカーラとシャルロット、男子ではアロンがA班のところに来て必死に情報収集をしているのだ。この元気な人達のサポートでようやくB班は行動できている感じだった。
『なるほど・・この情報交換はすごい重要なんだ。これは競っている暇なんかない。生き残るための協力なんだ。しかもアロン君の班は体力でハンディキャップがある。この場を活用してできるだけ情報を仕入れて、それをうまく使わないと完走どころじゃないんだわ』
圧倒的差をつけてA班がゴールするなんて言っている場合ではなかった。放っておいてもB班はゴールできない可能性が高い。
『わたし達でさえ勇夫さんがお猿さんのようになってルートを見つけたおかげでここまで来れたのに、あの大岩ゴロゴロの川原を、日の落ちた真っ暗な中、体力のない人達がルートを探しながら歩くなんて考えられない。そうなったらきっと、ルートファインディングをしているアロン君は先頭に立って危険を冒すことになるに違いない。下手したらアロン君は大怪我をしてしまう・・』
裕美子はA班をというより、アロンを助けたいと思った。助けなきゃと思った。
そんなとき、A班リーダーのチャンから無情な声が上がった。
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「片いなか・ハイスクール」連載第260回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(7):B班との合流>
早く先に進みたいリーダーは、中間チェックポイントでの休憩を15分ほどで切り上げて出発した。裕美子とシャノンにはなんとなく物足りない休憩だった。
次の目標は中間チェックポイントから見えたハゲ山である。そこは登ってきたのとは反対側の斜面を下り、森に入って大きな尾根を越えた向こう側にあった。森の中の様子は上からは分からなかった。
尾根を登り下りしなければならないと聞いてシャノンは疲れた顔をしていた。やっぱりまだ山登りをしなければならないとは予想してなかったようだ。
下りの斜面は登ってきたときと同じ巨岩がゴロゴロした急斜面だ。勇夫が降りるルートを探し先導していった。
切り立った崖のようなところを岩と岩の間の隙間を使って難なく下りたところで、勇夫が下から上がってこようとしている集団を見つけた。
「あ、あれB班じゃねえか?」
「ほんとだ。やっと来たわね」
もう少し下ると、大きな岩が突き出て見晴らしのいいところでB班が座り込んでいた。男の子が立ち上がって手を振った。
『あ、アロン君だ』
アロンを認めた裕美子は、さっき落ち込んだ気持ちが急に晴れやかになってきた。このままB班と一緒に行動することはできないもんだろうか。
アロンが先頭の勇夫に声をかけた。
「勇夫、早いなお前ら。ちょっと休憩して行けよ」
「よお、アロン。どうだ?そっち。リーダー、ちょっとキューケイ!」
「なんだよ、チェックポイントで休んだばっかりじゃないか」
リーダーは先に進みたいようだが、レソフィックも休憩というか、情報交換のため留まる方を勧めた.
「情報交換は大事だろ。休む価値あるって。まあちょっと待てや」
リーダーは了承した。
「じゃあ、5分な」
A班もB班に合わせて小休止に入った。
さっそく勇夫とレソフィックはアロンにこの先の状況を質問していた。
「この先どんな道だ?」
「道なんてねぇよ。洗濯板のようにある尾根と谷をいくつも越えるんだ」
アロンの近くに行って話しを聞きたかったが、そばにいたハウルやキャリーのところにカーラとクリスティンとシャルロットがやってきて女子は女子同士で情報交換を始めたので、裕美子は必然的に女子の輪に加わるような形になった。
クリスティンは開口一番、ハウルの暴走を心配していた。
「ハウル!何もなかった?みんなを怪我させたりしてない?!」
「見れば分かるでしょ。みんなピンピンしてるじゃない」
「キャリーさん、本当に迷惑かけてなかった?」
「うん。勇夫君と先行してルート偵察したりして活躍してたわよ」
「本当?勇夫君は大丈夫?ボロボロになってない?」
「ボロボロどころかますます元気よ、あの人。付いていくと面白いのよ。食べられるもの見つけたり、木や岩に登ったり、蔓使ってターザンやったり、お菓子もうじゃうじゃ背負ってるし。でもタダじゃくれないからずいぶんあたしのと交換したわ」
クリスティンが目を丸くした。
「え?!す、すごい!勇夫君、ハウルと一緒にいてひどい目にあったり、もう嫌だーとか叫んだりしてないの?!」
「何言ってるのよー。どこにそんな人いたのよー」
「かつてハウルと2時間も一緒にいた人はみんなそうよ!」
そこにいた女の子達はみんな目が点になってた。
「そ、そんなことより、来た道のこと教えてよ。どんなところだった?」
カーラが本来の目的を思い出した。
「道?うーん、道ってのはなくてね、沢とか川とかをずっと辿って来たのよ。この上の中間チェックポイントの向こう側は岩とか石っころの急斜面で、第2チェックポイントの滝まで沢づたい。滝の横の崖を降りたら、石ゴロゴロの川原をずっと辿るの」
「足元は歩きやすい?」
背が高くて足の長いキャリーでさえも首を横に振った。
「ぜんぜん。沢の横はぬかるんでたり、崖は滑りやすいし、川原は岩や裂け目を飛び越えたり登ったり下りたり、全身運動の連続よ。いいトレーニングだったわ」
「キャリーさんがいいトレーニング?!・・・どうしよう、イザベルさんとか行けるのかな・・」
カーラがシャルロットへ顔を向けた。シャルロットは首を横に振った。
「登ったり下りたりどころか飛び越えたりなんて、イザベル無理なんじゃない?ダーニャも幅跳びは不得意よ。どれくらい飛ばなきゃいけないのか知らないけど。ウォルトなんてまたぐことだって大問題なんじゃない?」
「私もそんな軽業師みたいなのはぜんぜんダメですぅ~。今までは藪と坂道がほとんどだったからなんとか付いていけましたけどぉ・・」
クリスティンがすごい心配顔になった。シャルロットはしゃがんでる裕美子とシャノンを見て言った。
「でもこの子たちもそこ来れたんでしょう?」
ハウルが代わりに答えた。
「この2人、結構運動神経いいのよ。でもさすがにシャノンちゃんはお疲れ気味ね。そっちはなあに?運動苦手な人多いの?」
「あんた達とは比べ物にならないわよ。この2人も運動神経いいっていうなら、みんな運動できる人ばっかりじゃない。こっちは体力はないわ、すぐ疲れるわ、文句は言うわ、水はがぶがぶ飲むわ、オリエンテーリングなんてぜんぜん向いてないわよ。アロンがアウトドア詳しくてカーラが気が利かなかったら、とっくに私らの班は行くところ間違って遭難してるわ。ねえカーラ」
シャルロットがカーラに言った。
「私は別に気なんか利かないけど・・アロン君はその通りね。ジョンはチームまとめるのうまいし、ウォルト君も方向感覚はすごいけど、決定的に運動量がないわ、うちの班」
「そうなんだ。で、なあに?この先って藪と坂道だらけなの?」
「尾根をいくつも横断しなくちゃいけないのよ。登っては下りて登っては下りてって。木が鬱蒼と生えてて視界はないし、下は下草やコケが茂ってるから足元見えないし。でも私らが通った跡を見つければ少しは歩きやすいかもね」
「そうなの。登ったり降りたりがまだ続くのは疲れ気味のシャノンちゃんや裕美子にはきついわね」
裕美子は静かにこのやり取りを聴いていた。
『やっぱりアロン君は頼られてたわね。・・そうか、B班は体力のない人が多いんだ』
クリスティンもハウルが暴れまわってないことを確認すると、座り込んで静かになっていた。向こうではがっくりと岩にもたれてぴくりとも動かないイザベルとウォルト。アンザックとダーニャも座って足を揉んでいる。ジョンはその横に座って水を飲みながら体の様子を聞いているようだった。比較的元気なカーラとシャルロット、男子ではアロンがA班のところに来て必死に情報収集をしているのだ。この元気な人達のサポートでようやくB班は行動できている感じだった。
『なるほど・・この情報交換はすごい重要なんだ。これは競っている暇なんかない。生き残るための協力なんだ。しかもアロン君の班は体力でハンディキャップがある。この場を活用してできるだけ情報を仕入れて、それをうまく使わないと完走どころじゃないんだわ』
圧倒的差をつけてA班がゴールするなんて言っている場合ではなかった。放っておいてもB班はゴールできない可能性が高い。
『わたし達でさえ勇夫さんがお猿さんのようになってルートを見つけたおかげでここまで来れたのに、あの大岩ゴロゴロの川原を、日の落ちた真っ暗な中、体力のない人達がルートを探しながら歩くなんて考えられない。そうなったらきっと、ルートファインディングをしているアロン君は先頭に立って危険を冒すことになるに違いない。下手したらアロン君は大怪我をしてしまう・・』
裕美子はA班をというより、アロンを助けたいと思った。助けなきゃと思った。
そんなとき、A班リーダーのチャンから無情な声が上がった。
<第2部:第3章 オリエンテーリング(6):中間チェックポイント> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第259回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(6):中間チェックポイント>
沢の水源は水の流れを辿っていくとあっけなく見つかった。次第に細くなっていった沢は小さな一筋の流れとなり、最後は斜面の途中の窪みに泉のように水が溜まっているところへ行き着いたのだ。その水の源は岩の間の穴から豊富に湧き出る湧水だった。手がかじかむほど冷たい。
「わあーい、見つかったね。すごーい!」
シャノンが子供のように喜んだ。本当に子供のようだ。
「勇夫、これなら飲んでもいいよね?!」
「わはは、でーじょぶだろ、すげーきれいだし。どれ」
そう言うと勇夫は手ですくって飲み始めた。
「冷てえ、うめえ!」
「あ、ちょっと私も!」
勇夫とハウルがゴクゴク飲んでるのを見たレソフィックはみんなに注意した。
「きれいだろうけど、一応溜まってる水じゃなくて、湧き出てるところで汲むようにした方がいいよ」
「てやんでえ。溜まってるたって、これだけ勢いよく湧いてるんだ。流水と変わんねえよ」
「お前は淀んだ水でも腹壊さねえからいいだろうけどよ」
裕美子は湧き出ている清らかな水の上を見上げた。ここから上はガレ場で、水は地表を流れてない。山頂に降った雨は地中で濾過されて、ここではじめて地表に出てきたのだ。裕美子は水筒の水を飲み干すと、湧き出たばかりの新鮮な水でそれを満たし直した。
『山登りってあまり経験なかったけど、こういおいしい水やおいしい空気、いい景色に出会えるって楽しい。アロン君と仲良くなれたら、こういうところに一緒に行ったりするのかな』
妙に意気投合しているハウルと勇夫を見て、アウトドアが趣味というアロンと自分をそれに置き換えて想像した。
仲良くなりたい・・。まだほとんど話もしたことのない人なのに、なぜこんなに気になるのだろう。
リーダーが急かすので、一行は水を汲み終わるとすぐ出発し、中間チェックポイントへの最後の急斜面を登っていった。
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「片いなか・ハイスクール」連載第259回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(6):中間チェックポイント>
沢の水源は水の流れを辿っていくとあっけなく見つかった。次第に細くなっていった沢は小さな一筋の流れとなり、最後は斜面の途中の窪みに泉のように水が溜まっているところへ行き着いたのだ。その水の源は岩の間の穴から豊富に湧き出る湧水だった。手がかじかむほど冷たい。
「わあーい、見つかったね。すごーい!」
シャノンが子供のように喜んだ。本当に子供のようだ。
「勇夫、これなら飲んでもいいよね?!」
「わはは、でーじょぶだろ、すげーきれいだし。どれ」
そう言うと勇夫は手ですくって飲み始めた。
「冷てえ、うめえ!」
「あ、ちょっと私も!」
勇夫とハウルがゴクゴク飲んでるのを見たレソフィックはみんなに注意した。
「きれいだろうけど、一応溜まってる水じゃなくて、湧き出てるところで汲むようにした方がいいよ」
「てやんでえ。溜まってるたって、これだけ勢いよく湧いてるんだ。流水と変わんねえよ」
「お前は淀んだ水でも腹壊さねえからいいだろうけどよ」
裕美子は湧き出ている清らかな水の上を見上げた。ここから上はガレ場で、水は地表を流れてない。山頂に降った雨は地中で濾過されて、ここではじめて地表に出てきたのだ。裕美子は水筒の水を飲み干すと、湧き出たばかりの新鮮な水でそれを満たし直した。
『山登りってあまり経験なかったけど、こういおいしい水やおいしい空気、いい景色に出会えるって楽しい。アロン君と仲良くなれたら、こういうところに一緒に行ったりするのかな』
妙に意気投合しているハウルと勇夫を見て、アウトドアが趣味というアロンと自分をそれに置き換えて想像した。
仲良くなりたい・・。まだほとんど話もしたことのない人なのに、なぜこんなに気になるのだろう。
リーダーが急かすので、一行は水を汲み終わるとすぐ出発し、中間チェックポイントへの最後の急斜面を登っていった。
<第2部:第3章 オリエンテーリング(5):意見割れ> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第258回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(5):意見割れ>
滝の上に登ったA班はそのまま川沿いに進んでいった。
しばらくすると林を抜け視界が広がった。中間チェックポイントの方を望むと、どうやらチェックポイントは主流の川ではなく、支流の沢の上にあるようだ。
そのときパウロの腹がグウウ~と豪快に鳴った。しかしリーダーは時計を見て無情にも言い放った。
「まだ12時20分だな」
パウロがお腹をさすって恥ずかしさと残念そうな顔を混ぜていると、ハウルが勇夫のリュックをひっつかんで座り込んだ。
「もうだめ、我慢の限界だわ!誰がなんと言おうとあたしはもうここで食べるわよ!」
勇夫ごと引き倒すと、リュックを開けて中を物色し始めた。
「なにするんだ!自分のは自分のバッグにあるだろが!」
「なあにこれ。あんたチョコバー何本持ってるのよ」
「いくつあったっていいだろ!10本くらいあるわ、文句あっか?!」
「そんなに食べたら鼻血出るわよ。あたしが半分食べてあげる!」
「ああー!勝手に封開けるな!せめて交換だ!」
「しょうがない・・カロリーバーと交換したげる」
「うお!、なんだそれ!お前だってカロリーバー10本くらい持ってるじゃねえか!」
「ひ、非常食なんだから」
取っ組み合って収拾着かない。リーダーも諦めた。
「君らは我慢ってもんができないのか?やれやれ。しかたない。ここで食べるか。昼食休憩を取る!」
「うおぅー、やっとだあ」
「あたし燃費悪んだあ」
ミシェルとキャリーも待ってましたとばかりにザックを下ろすと、もう頬張っていた。どうやら頑張って歩き続けたいのはリーダーだけだったようだ。
一行はその沢の分岐のところで昼食を取ることにした。
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「片いなか・ハイスクール」連載第258回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(5):意見割れ>
滝の上に登ったA班はそのまま川沿いに進んでいった。
しばらくすると林を抜け視界が広がった。中間チェックポイントの方を望むと、どうやらチェックポイントは主流の川ではなく、支流の沢の上にあるようだ。
そのときパウロの腹がグウウ~と豪快に鳴った。しかしリーダーは時計を見て無情にも言い放った。
「まだ12時20分だな」
パウロがお腹をさすって恥ずかしさと残念そうな顔を混ぜていると、ハウルが勇夫のリュックをひっつかんで座り込んだ。
「もうだめ、我慢の限界だわ!誰がなんと言おうとあたしはもうここで食べるわよ!」
勇夫ごと引き倒すと、リュックを開けて中を物色し始めた。
「なにするんだ!自分のは自分のバッグにあるだろが!」
「なあにこれ。あんたチョコバー何本持ってるのよ」
「いくつあったっていいだろ!10本くらいあるわ、文句あっか?!」
「そんなに食べたら鼻血出るわよ。あたしが半分食べてあげる!」
「ああー!勝手に封開けるな!せめて交換だ!」
「しょうがない・・カロリーバーと交換したげる」
「うお!、なんだそれ!お前だってカロリーバー10本くらい持ってるじゃねえか!」
「ひ、非常食なんだから」
取っ組み合って収拾着かない。リーダーも諦めた。
「君らは我慢ってもんができないのか?やれやれ。しかたない。ここで食べるか。昼食休憩を取る!」
「うおぅー、やっとだあ」
「あたし燃費悪んだあ」
ミシェルとキャリーも待ってましたとばかりにザックを下ろすと、もう頬張っていた。どうやら頑張って歩き続けたいのはリーダーだけだったようだ。
一行はその沢の分岐のところで昼食を取ることにした。
手品? [マンガ(N)]
手品?
東日本大震災被災地がんばれ!
まだ土佐弁が抜けてませんね。
この本のページを重ねたの、抜けないんですよね。たくさんつないで車が引っ張れないだろうか。『怪しい伝説』で試して欲しいものです。
2012年作品
copyright(c) TSO & NASA S. 2012

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東日本大震災被災地がんばれ!
まだ土佐弁が抜けてませんね。
この本のページを重ねたの、抜けないんですよね。たくさんつないで車が引っ張れないだろうか。『怪しい伝説』で試して欲しいものです。
2012年作品
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<第2部:第3章 オリエンテーリング(4):第2チェックポイント> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第257回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(4):第2チェックポイント>
A班は河原が分かれた所まで戻って、今度は枯れ川の方をたどった。
だいぶ進んだところで川の水が地中にしみこんでなくなるところがあった。レソフィックの言ったようにやはりここから川は地中を進んでいるようだ。
その辺りから第2チェックポイントの滝もずっと見えるようになり、そのまま川を遡ると滝にたどり着くことができた。
「もしもし、ドジ先生?A班のハウルでーす。第2チェックポイントに着いたわよ」
次の第3チェックポイントはその滝の後ろに見えていた。てっぺんに大きな岩が乗っかった、クスス山から延びる尾根の一つの頂である。そして第3チェックポイントはルート全体の中間点でもあった。
リーダーと勇夫、レソフィックがルートの話し合いをしていた。
「見た目は意外と近いな」
「あそこまで登る道筋がここからじゃ見えない。とりあえずこの滝を登っちゃうか」
「そうだな。もう少しこの川たどって見渡せるところ探すか。勇夫、みんなが登れるところ探そう」
勇夫とレソフィックが滝の上に登るルートを探しに行くと、入れ替わってハウルがやってきた。
「リーダー、お昼ご飯どうするの?そろそろ12時だよ」
「昼食は中間チェックポイントで取ろうと思ってたんだよね」
「えー?中間チェックポイントまで最低1時間はかかるんでしょ?ミスコースで1時間ロスしちゃったから、時間的には今頃でちょうどいいじゃない」
「そうなんだけど、この先のルートがまだ見えてないんだ。それをはっきりさせてからにしたいんだよ。そうじゃないと気持ち悪くってさ」
「チェックポイントってあれでしょ?ひたすら真っ直ぐ行けばいいだけじゃない」
「真っ直ぐ行けるかがここからじゃ分からないじゃないか」
「心配性なんだから。それじゃ道がわかったところで、またすぐ違うことが気になるわよ。ここは多数決で決めない?」
「いや、大方針は僕が決める」
「民主主義の冒涜だあ!」
「何を言う!僕だって民主的にみんなに信任されてリーダーやってんだぞ。それはつまり僕に任したって事だ!」
ミシェルが割って入った。
「熱くなるなって。先を知ってすっきりしたいのはみんな同じだよ。タイミング的には昼飯今が取りやすいけどな。でも腹が減ってモチベーション下がっちゃ元も子もないだろ。どうだ、時間で決めないか?12時半には食べる場所探すことにしようぜ。俺もそんな保たねえ」
リーダーも渋々同意した。
「わかったよ。それでいい」
「しょうがないなあ。それじゃ午前の部のお菓子の残りで食いつなごう」
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「片いなか・ハイスクール」連載第257回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(4):第2チェックポイント>
A班は河原が分かれた所まで戻って、今度は枯れ川の方をたどった。
だいぶ進んだところで川の水が地中にしみこんでなくなるところがあった。レソフィックの言ったようにやはりここから川は地中を進んでいるようだ。
その辺りから第2チェックポイントの滝もずっと見えるようになり、そのまま川を遡ると滝にたどり着くことができた。
「もしもし、ドジ先生?A班のハウルでーす。第2チェックポイントに着いたわよ」
次の第3チェックポイントはその滝の後ろに見えていた。てっぺんに大きな岩が乗っかった、クスス山から延びる尾根の一つの頂である。そして第3チェックポイントはルート全体の中間点でもあった。
リーダーと勇夫、レソフィックがルートの話し合いをしていた。
「見た目は意外と近いな」
「あそこまで登る道筋がここからじゃ見えない。とりあえずこの滝を登っちゃうか」
「そうだな。もう少しこの川たどって見渡せるところ探すか。勇夫、みんなが登れるところ探そう」
勇夫とレソフィックが滝の上に登るルートを探しに行くと、入れ替わってハウルがやってきた。
「リーダー、お昼ご飯どうするの?そろそろ12時だよ」
「昼食は中間チェックポイントで取ろうと思ってたんだよね」
「えー?中間チェックポイントまで最低1時間はかかるんでしょ?ミスコースで1時間ロスしちゃったから、時間的には今頃でちょうどいいじゃない」
「そうなんだけど、この先のルートがまだ見えてないんだ。それをはっきりさせてからにしたいんだよ。そうじゃないと気持ち悪くってさ」
「チェックポイントってあれでしょ?ひたすら真っ直ぐ行けばいいだけじゃない」
「真っ直ぐ行けるかがここからじゃ分からないじゃないか」
「心配性なんだから。それじゃ道がわかったところで、またすぐ違うことが気になるわよ。ここは多数決で決めない?」
「いや、大方針は僕が決める」
「民主主義の冒涜だあ!」
「何を言う!僕だって民主的にみんなに信任されてリーダーやってんだぞ。それはつまり僕に任したって事だ!」
ミシェルが割って入った。
「熱くなるなって。先を知ってすっきりしたいのはみんな同じだよ。タイミング的には昼飯今が取りやすいけどな。でも腹が減ってモチベーション下がっちゃ元も子もないだろ。どうだ、時間で決めないか?12時半には食べる場所探すことにしようぜ。俺もそんな保たねえ」
リーダーも渋々同意した。
「わかったよ。それでいい」
「しょうがないなあ。それじゃ午前の部のお菓子の残りで食いつなごう」
<第2部:第3章 オリエンテーリング(3):ミスコース> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第256回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(3):ミスコース>
第1チェックポイントから上流の方を望むと、いくつかの尾根の向こうに第2チェックポイントである滝が見えた。A班は川を遡上し、第2チェックポイントへ向かうことにした。川に沿って進むといっても、河原は巨大な石がゴロゴロしており、岩を飛び越えながら行くのはなかなか距離が稼げなかった。
30分ほど行ったところで、低い尾根に仕切られて河原は二手に分かれていた。一方は枯れ川のようで、もう一方はさらさらと清い水が流れている。先頭でルートを見つけながら道案している勇夫はみんなよりかなり先行して前の方を歩いていたが、既に水が流れている方の河原を突き進んでいた。それにぴったりつ付いて行っているのがハウルだった。
班全体のペースは一番遅いシャノンと裕美子に合わせている。レソフィックは立ち止まって後ろを振り向くと、少し引き離されたシャノンと裕美子が追いつくのを待った。一緒に立ち止まったパウロにレソフィックが言った。
「あのハウルってのすげぇな。よく勇夫についていけるよ」
パウロも頷く。
「まったくだ。この酷い道もないところをかなりなペースで行ってるよな」
「それだけじゃないよ。勇夫はルート探すためにたまに横の斜面登ったり岩登ったり、寄り道をずいぶんしてるんだけど、ハウルもそれに付いて行ってるんだよな」
「サルだな、2人とも」
チャンがやってきた。
「僕ら速く移動できてるだろうか。中間チェックポイントにはぜひB班より早く着きたい。このペースで大丈夫かな」
「これより速くしたらあの2人が付いてこれないよ」
ハウルを除く女子集団がすぐそこまで到着した。キャリーが岩の裂け目を軽々とまたいで越える。次のシャノンは走り幅跳びのように全身で跳躍した。裕美子はシャノンほどでないにしても助走つけて飛び越えた。
これを見れば体格差のハンデをリーダーも再確認せざるを得なかった。しかし追い付いたシャノンはレソフィックとパウロの前に到着すると、元気に右手を挙げて
「うっしゃ!」
と声を上げた。まだまだ元気そうでリーダーはちょっと安心した。
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「片いなか・ハイスクール」連載第256回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(3):ミスコース>
第1チェックポイントから上流の方を望むと、いくつかの尾根の向こうに第2チェックポイントである滝が見えた。A班は川を遡上し、第2チェックポイントへ向かうことにした。川に沿って進むといっても、河原は巨大な石がゴロゴロしており、岩を飛び越えながら行くのはなかなか距離が稼げなかった。
30分ほど行ったところで、低い尾根に仕切られて河原は二手に分かれていた。一方は枯れ川のようで、もう一方はさらさらと清い水が流れている。先頭でルートを見つけながら道案している勇夫はみんなよりかなり先行して前の方を歩いていたが、既に水が流れている方の河原を突き進んでいた。それにぴったりつ付いて行っているのがハウルだった。
班全体のペースは一番遅いシャノンと裕美子に合わせている。レソフィックは立ち止まって後ろを振り向くと、少し引き離されたシャノンと裕美子が追いつくのを待った。一緒に立ち止まったパウロにレソフィックが言った。
「あのハウルってのすげぇな。よく勇夫についていけるよ」
パウロも頷く。
「まったくだ。この酷い道もないところをかなりなペースで行ってるよな」
「それだけじゃないよ。勇夫はルート探すためにたまに横の斜面登ったり岩登ったり、寄り道をずいぶんしてるんだけど、ハウルもそれに付いて行ってるんだよな」
「サルだな、2人とも」
チャンがやってきた。
「僕ら速く移動できてるだろうか。中間チェックポイントにはぜひB班より早く着きたい。このペースで大丈夫かな」
「これより速くしたらあの2人が付いてこれないよ」
ハウルを除く女子集団がすぐそこまで到着した。キャリーが岩の裂け目を軽々とまたいで越える。次のシャノンは走り幅跳びのように全身で跳躍した。裕美子はシャノンほどでないにしても助走つけて飛び越えた。
これを見れば体格差のハンデをリーダーも再確認せざるを得なかった。しかし追い付いたシャノンはレソフィックとパウロの前に到着すると、元気に右手を挙げて
「うっしゃ!」
と声を上げた。まだまだ元気そうでリーダーはちょっと安心した。
<第2部:第3章 オリエンテーリング(2):体育会系の猛者たち> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第255回
<第2部:第3章 オリエンテーリング(2):体育会系の猛者たち>
「それじゃ行ってきまーす」
「気をつけてな」
見送りの先生に手を振られ、A班は張り切って出発した。
一行はどこへ向かうのかわからない獣道へ分け入っていった。
出だしの道は平坦だったとは言え、体育会系チームは恐れていた通り歩くペースが速かった。ましてや小さいシャノンの歩幅は、どう見ても最も長身のキャリーの半分である。歩数計があったらきっとシャノンはキャリーの倍の歩数になるに違いない。
心配した裕美子は言おうか言うまいか悩んだ。
『シャノンさん別に根を上げてるわけじゃないし、言ったらよけいなお世話かも・・でもわたしもこのペースだときつくなりそうだし・・でもわたし一人ペース乱したらみんなに迷惑だし・・そうは言っても、もしわたしが疲れて動けなくなったら、その方がもっと迷惑だし・・・』
迷ったあげく裕美子はシャノンのそばに寄った。
「あ、あの、みんな歩くの速くないですか?シャノンさん大丈夫?」
「私おねーさんだもん、平気なんだから」
とは言っているが、ちょっと呼吸が荒いと思った。この人は無理しちゃう人かもしれない。
とにかく自分も心配だったので今言うことにした。裕美子はリーダーのチャンのそばに行った。
「リーダー、あ、あの、すみません・・。小柄なわたし達にはちょっとペース速いと思います。あれ見て下さい」
裕美子はキャリーとシャノンを差した。大股でずんずんと歩くキャリーの後ろを、ちょろちょろちょこまかとせわしなく動くシャノンは、再生速度の違う動画が2つ並んでいるようだった。
「ああ、きつい?・・でも早く見通しのいいところに出たいしな。少しでも有利な状況に持って行かないと・・」
リーダーは勝つことで頭いっぱいである。チャンは少し考えて先頭を行く勇夫を呼んだ。先頭の勇夫が歩みを緩め、リーダー達が追いつくと歩きながら話し始めた。
「勇夫君、ペースが速すぎるって人がいるんだけど、どうしょう。見晴らしのきくところに早く出たいって言ってたよな。そこまでは頑張って、そこで長めに休憩する?」
「偵察は任せてくれ。なんなら俺はもっとペース上げて先を見てくるから、道は心配しなくていいぞ」
するとレソフィックも寄ってきた。
「勇夫、先行するのはいいけど、分岐とかではちゃんと待ってくれよ。どっち行ったか分からなくなったら迷子だぞ。リーダー、ペースは落とそう。まだ始まったばかりだし、ここで無理したら後が続かんよ」
「そうか・・わかった。じゃあ勇夫君は先行偵察頼むよ」
「ラジャー!」
勇夫はすっ飛んでいった。裕美子はレソフィックがペースを落とすことを進言してくれたの聞いて、また揺れ動いた。
『あれ?この人は意外とちゃんとしてるのかな?わたし何か思い違いしてたかしら・・・』
レソフィックと目があったのでビクッとした。するとレソフィックが
「これでこの間の貸しは返したぜ。高くつくとか言われてたけど、これならその値打ちあるよな?」
挑戦的な感じで言ってきた。貸しとは初登校日の日にキャリーの歓迎準備をアロン、レソフィック、勇夫と代わってあげたことだ。あの時はうまく話せなくて変なこと言っちゃったっけ。あれを根に持っているんだ。
『や、やっぱりこの人はもう一つ腹黒いっていうか、ただじゃすませないんだから・・・助けてもらったのになんかすっきりしないわ』
そう思ったからか、また余計なことを言ってしまった。
「あ、あれは3人助けたんだから、まだ2人分残ってます」
それを聞いたレソフィックがウゲッという顔をした。
『また何言ってるのわたし・・』
裕美子は自分にもがっかりした。
『これじゃレソフィックさんのこと言えない・・アロン君にもレソフィックさんからわたしの変な印象言われちゃうかもしれない・・』
人付き合いをどうにかしたいと裕美子は切に思った。
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<第2部:第3章 オリエンテーリング(2):体育会系の猛者たち>
「それじゃ行ってきまーす」
「気をつけてな」
見送りの先生に手を振られ、A班は張り切って出発した。
一行はどこへ向かうのかわからない獣道へ分け入っていった。
出だしの道は平坦だったとは言え、体育会系チームは恐れていた通り歩くペースが速かった。ましてや小さいシャノンの歩幅は、どう見ても最も長身のキャリーの半分である。歩数計があったらきっとシャノンはキャリーの倍の歩数になるに違いない。
心配した裕美子は言おうか言うまいか悩んだ。
『シャノンさん別に根を上げてるわけじゃないし、言ったらよけいなお世話かも・・でもわたしもこのペースだときつくなりそうだし・・でもわたし一人ペース乱したらみんなに迷惑だし・・そうは言っても、もしわたしが疲れて動けなくなったら、その方がもっと迷惑だし・・・』
迷ったあげく裕美子はシャノンのそばに寄った。
「あ、あの、みんな歩くの速くないですか?シャノンさん大丈夫?」
「私おねーさんだもん、平気なんだから」
とは言っているが、ちょっと呼吸が荒いと思った。この人は無理しちゃう人かもしれない。
とにかく自分も心配だったので今言うことにした。裕美子はリーダーのチャンのそばに行った。
「リーダー、あ、あの、すみません・・。小柄なわたし達にはちょっとペース速いと思います。あれ見て下さい」
裕美子はキャリーとシャノンを差した。大股でずんずんと歩くキャリーの後ろを、ちょろちょろちょこまかとせわしなく動くシャノンは、再生速度の違う動画が2つ並んでいるようだった。
「ああ、きつい?・・でも早く見通しのいいところに出たいしな。少しでも有利な状況に持って行かないと・・」
リーダーは勝つことで頭いっぱいである。チャンは少し考えて先頭を行く勇夫を呼んだ。先頭の勇夫が歩みを緩め、リーダー達が追いつくと歩きながら話し始めた。
「勇夫君、ペースが速すぎるって人がいるんだけど、どうしょう。見晴らしのきくところに早く出たいって言ってたよな。そこまでは頑張って、そこで長めに休憩する?」
「偵察は任せてくれ。なんなら俺はもっとペース上げて先を見てくるから、道は心配しなくていいぞ」
するとレソフィックも寄ってきた。
「勇夫、先行するのはいいけど、分岐とかではちゃんと待ってくれよ。どっち行ったか分からなくなったら迷子だぞ。リーダー、ペースは落とそう。まだ始まったばかりだし、ここで無理したら後が続かんよ」
「そうか・・わかった。じゃあ勇夫君は先行偵察頼むよ」
「ラジャー!」
勇夫はすっ飛んでいった。裕美子はレソフィックがペースを落とすことを進言してくれたの聞いて、また揺れ動いた。
『あれ?この人は意外とちゃんとしてるのかな?わたし何か思い違いしてたかしら・・・』
レソフィックと目があったのでビクッとした。するとレソフィックが
「これでこの間の貸しは返したぜ。高くつくとか言われてたけど、これならその値打ちあるよな?」
挑戦的な感じで言ってきた。貸しとは初登校日の日にキャリーの歓迎準備をアロン、レソフィック、勇夫と代わってあげたことだ。あの時はうまく話せなくて変なこと言っちゃったっけ。あれを根に持っているんだ。
『や、やっぱりこの人はもう一つ腹黒いっていうか、ただじゃすませないんだから・・・助けてもらったのになんかすっきりしないわ』
そう思ったからか、また余計なことを言ってしまった。
「あ、あれは3人助けたんだから、まだ2人分残ってます」
それを聞いたレソフィックがウゲッという顔をした。
『また何言ってるのわたし・・』
裕美子は自分にもがっかりした。
『これじゃレソフィックさんのこと言えない・・アロン君にもレソフィックさんからわたしの変な印象言われちゃうかもしれない・・』
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ハリケーンハウルちゃん(オリエンテーリング救護係その2)> [片いなか・ハイスクール]
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前の記事<第2部:オリエンテーリング(1):班分け>に対応するハリケーンハウルちゃんを2回に分けてお贈りしています。救護係になった2人に焦点を当てています。
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<ハリケーン ハウルちゃん>

クリックすると大きな絵で見れます。
今回はB班の救護係クリスティンちゃんの巻でした。
A班のシャノンちゃんといい、どうしてこんな危なっかしい人達を救護係にしちゃったんでしょうか?
第2部本編<第2部:オリエンテーリング(1):班分け>
対応する第1部のお話「第1部:第1章:オリエンテーリング」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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土佐弁になってるのは、敬愛する村岡マサヒロさんの4コママンガ「きんこん土佐日記」(高知新聞掲載)を読んだ後だからでしょう。(^^;
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ハリケーンハウルちゃん(オリエンテーリング救護係その1)> [片いなか・ハイスクール]
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<ハリケーン ハウルちゃん>

クリックすると大きな絵で見れます。
最初はA班の救護係シャノンちゃん。
第1部ではそれほど取り上げられなかった彼女ですが、正体不明なキャラとして結構気に入っています。第2部では出番多くなるでしょうか。
第2部本編<第2部:オリエンテーリング(1):班分け>
対応する第1部のお話「第1部:第1章:オリエンテーリング」
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