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<第2部:第14章 幼なじみの正体ばれる(3):チャンスは2度もあげません> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第365回
<第2部:第14章 幼なじみの正体ばれる(3):チャンスは2度もあげません>


その後わたし達は、アロン君とカーラさんが撮ってきた写真を四つ切にプリントしてバレー部の練習場に持っていき、キャリーさんに手渡した。キャリーさんも行かずして描くという意図を理解してくれたのだけど、それでもキャリーさんの絵はいっこうにあがってこなかった。というかキャリーさんどころか、バスケ部のみんなが描けてなかった。練習に大半の時間をつぎ込んじゃって誰も絵を描く時間が取れないのだ。
そんなことが許されるのも、うちの学校は実績のある部活動は色々と優先優遇されていて、その中でもバスケ部はレベルがかなり高いからだけど、学校行事をすっぽかしていい訳ではない。

ということで事はキャリーさん個人の問題ではなく、バスケ部全体の問題だとわたしは認識した。そこでわたしは学校側から絵を描く時間を取ってもらうよう催促させることでバレー部顧問の先生を動かす提案をした。リーダー始めみんなもそれに賛同してくれたけど、アロン君とわたしはそれでも十分な時間は確保できないかもと思い、さらにキャリーさんの絵をもっと描きやすいものに変える事をみんなで話し合っていた。

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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第24話~ [スト魔女二次小説]

第24話「特殊潜航艇を探知せよ! その2」


今日はいよいよ沖合いに出ての演習。天音の能力を把握するため、特潜隊から派遣された特殊潜行艇”|蛟龍《こうりゅう》”を使っての探知訓練だ。

陸に引き上げられていた零式水偵の中央の偵察員席に天音は乗り込んだ。卜部が合図すると、零式水偵を乗せた台車をトラックが押し、スリップ(海上へ水上機を下ろすスロープ)から湖上へ下ろした。金星4型エンジンが回転をあげ、零式水偵を霞ヶ浦の水上滑走路へ向け軽々と移動させる。
発進ユニットに登ってストライカーを装着した優奈と千里も準備完了を合図すると、発進ユニットごとスリップから水上へと下ろされた。優菜の零式水偵脚と千里の二式水戦脚のフロート部が動いて水上に浮かぶと、魔法力が大きく注ぎ込まれてエンジン回転が上がった。ぱあっと魔方陣が広がる。

「キョクアジサシ、出撃します!」
「カツオドリ、出撃」

発進ユニットの拘束装置が外れ、2機は水上へ元気に飛び出していった。


3機が水上滑走で巻き上げる水煙を朝日が照らし、各機はきらきらとした光の航跡を引く。天音は後ろを振り向いた。
優菜は7.7ミリ機銃と、なぜかメガホンを首から下げている。
千里は20ミリ機関砲に加え、黄色く塗られた3番(30Kg)2号(対潜爆弾)模擬弾をベルトで吊るしていた。

3機は水偵基地の前のブイで誘導された水上滑走路に入ると、次々と空へ舞い上がった。
上空を旋回しつつ編隊を組むと、鹿島灘へ進路を取る。ものの数分で海岸線に着いてしまった。海へ出たところで千里は護衛を解き霞ヶ浦へ引き返す。敬礼しつつ編隊から離れていった。

「捜索海域の陸側の端まで飛ぶぞ」

卜部機と優菜は高度を400mに取り、沖の演習海域へ向かった。



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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第23話~ [スト魔女二次小説]

第23話「特殊潜航艇を探知せよ! その1」


第1次輸送船団の戦闘詳報は、軍令部経由で霞ヶ浦航空隊にも送られてきていた。執務室でそれに目を通していた葉山少尉は険しい表情を崩せなかった。

戦闘詳報によれば、南下船団も北上船団も半数がやられるという一方的な戦いを強いられている。

「攻撃直後に見失うケースが多い。よほど機動性が高いのだろうか。それに船の被害も左列か右列に偏って受けている。陣形に問題があるのかもしれない・・」

人類が水中の敵に対して戦術的にぜんぜん未熟なことがよく分かる。終始敵に振り回されっぱなしだ。やはり経験不足なのだ。
そしてそこはこれから我々が向かう戦場でもある。

『勝ち目はあるのだろうか。私達なら船団を守れるのだろうか』

深刻な面持ちで机に目を落としている葉山少尉に、基地司令の田所中佐が話しかけた。

「随分こっぴどくやられたものだな。どうした、怖じ気付いたか?まあ無理もない、古い艦が多かったが、商船護衛や潜水艦戦の訓練が豊富な部隊で編成された護衛艦隊がこの有り様だ。そこへ未経験の君らが行こうというのだからな」

机から顔を上げた葉山。強張った表情を無理にほぐした。

「いえ、決して怖じ気付いてなどは。それに私達はウィッチ隊です。過酷な戦場に赴くのは覚悟の上です」
「そうは言ってもウィッチと言えど万能という訳じゃないからな。何でもかんでもウィッチに丸投げして解決できるというものでもない。だがこの戦況だ。藁にもすがりたいところだろう。投入される方はたまったもんじゃないがな」
「大丈夫です。それに私達はこの為に一崎一飛曹を迎え入れたのですから。必ずや一矢報いて見せます」

田所中佐は窓辺に寄って、駐機場に並べられている水偵をちらりと見下ろすと、葉山の方に振り向いて言った。

「一崎か・・・。あの|娘《むすめ》の能力は確かに高いかもしれないが、それは漁業や平時でのことだ」
「田所司令は疑っておるのですか?横川少佐や竹井大尉も認めた力ですよ」
「実際の戦場でその力を100%出せるかどうかが問題だ。実戦というのは、計画の値や試験場で試した通りにはいかないのが常だからな。こちらの想定通りには動いてくれない実際の敵、戦場の緊張感、恐怖心、生死を分けるひっ迫した状況の連続、そういったものが想定を狂わす」
「そ、それは・・・。そ、その為の訓練です」
「その通りだ。しかしたった半月しかない。無茶もいいところだ」
「・・・」

葉山は何も返せなかった。
普通の女学生を半月でいきなり、職業軍人が束になってもかなわぬ敵のいるところに連れていき、戦えというのだ。それをやってのけた規格外な人が、ウィッチなら前例が無いわけではないが、尋常でないことには違いない。

「ふん。そこは新人教育に長けた横川君に任せるしかない。しかしまあ、第1次輸送作戦で扶桑のソナーはネウロイを捕らえたのだ。爆雷もネウロイに危害を加えられると分かった。あとはブリタニアの新型ソナーと爆雷投射機が揃えば、既存護衛艦隊でも倒せるのではないか?」
「そう願いたいですが・・。撃破した実績が上がってくるまでは何とも言えません」
「ブリタニアの新型ソナーは扶桑の三式や四式探信儀より高性能なのだろう?案外向こうの方が先に戦果を挙げるかも知れんぞ」
「それならそれで喜ばしいことです。ですがだからと言ってウィッチ隊が不要になるわけでもありません」
「それは君達次第だ。既存護衛艦隊は現有の戦力で、わずかだが抵抗できた実績を作ったのだ。しかしウィッチの実績はまだない」
「私達が戦果を上げられなければ、ウィッチは不要という話が出てくるとでも?」

葉山少尉は不信感を露にした。しかし田所中佐は淡々と続ける。

「結果次第ではな。だいたいウィッチでもない君をウィッチ隊の指揮官にした人事も少し変わっている。ああ、君達兄妹が士官学校で水雷を専攻し、その中で対潜戦闘も詳しく学んでいることは承知している。だから一見おかしくはないように見えるが、それでもウィッチ隊はウィッチ出身者を隊長に添えるのが今までの慣例だった」
「どこかでウィッチの活躍を阻害しようとする意図的なものが働いているというのですか?」
「わからん。だが今回神川丸の徴用解除が取り消しになって、南方への出撃に際し増設された航空隊は、ウィッチではない水偵隊だ。特設水上機母艦が作戦の要として浮上したとき、活躍の場として画策したとしてもおかしくはない。ここで任務を果たせば、海のネウロイに対してはウィッチがいなくともやれると大体的に宣伝できるしな」
「それをいっそう進めやすくするために、私の様な未熟者を隊長に添えたというのですか!」

葉山は怒りをこらえて言った。強く握られた右手が血の気を引いて白くなってゆく。

「いったい誰が!艦長とかですか?」

田所中佐は首を横に振った。

「それはない。有間艦長や南遣艦隊の|結《ゆい》提督は、筑波一飛曹の進言を受けて一崎一飛曹を海軍へ引き込むことに一役買っているからだ。水偵隊だけを活躍させたいなら、一崎のことは無視したかっただろうからな。一崎一飛曹が現れたのはイレギュラーだ。あの|娘《むすめ》によってウィッチ隊にもこの任務で力を発揮する可能性が出てきてしまったのだ。一崎が現れなければ、ウィッチがこうも期待されることはなかった。水偵隊で戦果を独占できるはずだったのだ」

葉山の怒りは別のものに変わった。

私はウィッチではないが、そんな狭い了見は持ち合わせていない。この潜水型ネウロイによって扶桑が、世界が危機に瀕しているんだぞ!

葉山の心中を察した田所中佐が、得意の硬い面持ちのままで笑いを浮かべて言った。

「我が海軍でも扶桑海事変の時や、ブリタニアのトレバー・マロニー空軍大将が失脚した事件の例もある。ウィッチの一方的活躍をよく思っていない連中は、予想以上に多いのだ」

だからと言って葉山は納得いかなかった。

手加減したらそれに合わせてくれる様な相手ではないのだぞ!ウィッチも一般将兵も全力で力を合わせなくして倒せるわけがない。

「言いたいことはなんとなく分かる。だがまずは自分達を鍛えることだ。今のままでは水偵隊を喜ばせるだけだぞ」

確かにその通りだ。対潜水艦戦のノウハウも練度も、一崎一飛曹の能力把握も、全てが始まったばかりなのだ。

「今日は沖に出るのか?」
「はい。特潜隊から応援を受けることになっていますので」

ちょうどそこに伝令がやってきた。

「葉山少尉、|蛟龍《こうりゅう》8号艇より連絡。『我、間もなく潜伏海域』とのことです」
「了解した。予定通り演習開始すると伝えてくれ」

葉山少尉は書類をバインダーに畳んで立ち上がると、田所司令を仰いだ。

「恨まれるくらいに活躍してやります!」


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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第22話~ [スト魔女二次小説]

第22話「届いたのは重戦闘機」


シィーニーのいるシンガポールのセレター空軍基地に、ブリタニアからの輸送機編隊が着陸した。

次々と着陸する輸送機は、2発機がホイットリース・アルベマーレ輸送機。4発機はアベロ・ヨーク輸送機。
性能の良いヨーク輸送機は、最近植民地では滅多に見られることがなくなっていた虎の子輸送機だ。そんな虎の子を使ってでも本国から運んできたのは、新型のアスディック。つまりソナーだった。古ぼけたシンガポール駐在の艦船を、ソナーだけは一新するためだ。
でも、何でもう少し早く持ってきてくれなかったのか。SG01船団の護衛艦が、この新型アスディックを装備していれば、船団の被害はもっと少なくて済んだかもしれない。



SG01船団は、シンガポールを発って2日後、沿岸からの護衛機の援護が受けられなくなったシャムロ湾を航行中、潜水型ネウロイ複数の攻撃を受け、商船は3分の2が沈没。護衛艦隊も半数がやられるという大被害を受けたのだ。

この時も古いソナーしか備えていなかった扶桑の|占守《しむしゅ》型海防艦と、|樅《もみ》型2等駆逐艦がネウロイの接近を探知できず、扶桑の艦で固めていた右翼の船団が一方的に攻撃を受けてしまった。その後船団の内側に潜り込んできたネウロイを、ブリタニアのフラワー級コルベットのアスディックも捉えることができず、被害が拡大していったのだ。

しかし戦闘ではいくつかの収穫もあった。リベリオンから供与されていたラッデロウ級護衛駆逐艦2隻と、扶桑の松型駆逐艦|菫《すみれ》が奮闘し、爆雷攻撃でネウロイの1隻にかなりの被害を与えたのだ。
体が欠けるほどの被害を受けたネウロイは、浮上してその体を自己修復していた。どうやら水中では修復できないらしい。
他のネウロイの攻撃に邪魔されたこともあって損傷ネウロイを沈めることはできなかったが、水上に浮上したネウロイを3隻が艦砲で砲撃したとき、前寄りにあるコブのような膨らみのすぐ後ろが多数の命中弾を受けて深くえぐれると、一瞬だがコアが見えたという。

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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第21話~ [スト魔女二次小説]

第21話「第1次輸送作戦 その2」


HK01船団が香港を出航してから2日目。

2列縦隊の14隻の商船を、前後左右に配した扶桑とリベリオンの9隻の護衛艦隊が囲んでいる。
船団はそれまで沿岸部の基地航空隊の援護を受けられるよう大陸近海に航路を取っていた。しかしそれも|海南島《はいなんとう》まで。|海南島《はいなんとう》からインドシナのトゥーラン(現ダナン)までのトンキン湾口横断約400キロを、船団は沿岸航空隊の援護を受けられない状態で南下しなければならなかった。
しかも|海南島《はいなんとう》北部の|海口《はいこう》基地の九四式水上偵察機が昨日の航路哨戒で、船団の予定進路上にネウロイの姿を目撃していた。船団司令部で迂回航路を取るか、引き返すかが検討されたが、

「発見できるということは、対応もできるということだ。どのみちこれを越えなければ輸送作戦は成り立たん。船団は速度最大!各艦警戒を厳にせよ。トゥーランからの迎えの護衛機をなるべく早く飛ばしてもらうよう依頼するのだ」

船団は予定航路を突っ切ることになった。


そしてトンキン湾口へ入って100キロほどに船団が差し掛かった頃。
船団左翼先頭にいたリベリオンのラッデロウ級護衛駆逐艦マクナルティーが、リベリオン製のQBFソナーで水中に不審なものを見つけた。

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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第20話~ [スト魔女二次小説]

第20話「第1次輸送作戦 その1」


香港には、扶桑とフィリッピンからヨーロッパへの積み荷を積んだ商船隊が集結していた。
HK01船団だ。
天音が扶桑海軍に入隊した日、HK01船団は扶桑、リベリオンの護衛艦隊に守られて、ネウロイが待ち受けているであろう南シナ海へ出航していった。


一方シンガポールのチャンギ港沖には、扶桑へ向かうSG01船団が終結していた。
この船団はブリタニア、扶桑の艦隊が護衛に付くと、香港発のHK01船団から1日遅れで出港した。


護送船団方式による第1次輸送作戦の開始である。



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<第2部:第14章 幼なじみの正体ばれる(2):カーラさんに与えるチャンス> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第364回
<第2部:第14章 幼なじみの正体ばれる(2):カーラさんに与えるチャンス>


スケッチ大会の翌日から、バスケの練習試合で来れなかったキャリーと、都合で不参加だったアンザックのフォローが始まった。特にキャリーは、練習試合で負けたライバル校へのリベンジに燃え、練習後は疲れて絵どころではない。
どうやって絵を描いてもらうか、どうやってキャリーの絵を回収するかが、絵画展委員の大きな課題になっていた。

「キャリー、とてもポタ山なんか行く余裕なさそうだわ。どうしよう・・」

カーラさんが顎に手を当てて考え込んでいた。

「キャリーさんの分担のところの景色を写真撮ってきましょう。その写真見てなら、家でも描けるんじゃないでしょうか」
「そっか。大きめにプリントすりゃいいんだよな」
「さすが裕美子さん!それで行きましょう。今日天気いいから、学校終わったら撮ってこよう」

わたしの案にアロン君もリーダーも同意してくれた。カーラさんも顔がほっとする。

「ダーニャの案のおかげで、題材で悩まないのが救いね。でもカメラ今ないでしょう?一度家に帰らないと」
「みんなで行く必要はないんじゃないか?俺、家帰ったらバイクでさっと行って撮ってくるよ」

あらアロン君、積極的。クラスの為に働いて偉いです。
そしたらアロン君はカーラさんの方を向いて彼女も誘った。

「カーラも、行く?」

カーラさんが驚いて顔を上げた。
わたしもちょっとびっくりした。

アロン君がカーラさんのこと、気にかけてる。公式パートナーであるカーラさんと、一緒になる時間を、作ろうとしている。

「え?でも私のうちポタ山とは方向逆だから、遠回りになっちゃうし・・・」

しかもそこでカーラさん、オッケーって言わないの?!
せっかくのチャンス、なんで自分からふいにしようとするの?!

「そっか。カーラの家、日の出台だっけ。俺ん家から見るとポタ山と真逆だね。いいよ、そしたら俺一人でささっとやってくるから」

ほらあ、アロン君引っ込めちゃったじゃないですか。

でもカーラさん、明らかに自分の取った行動を後悔しているのがありありと見て取れた。
やっぱり誘いに乗ろうとしたのかアロンの背中に手を伸ばしたが、やがて手を引っ込めて俯いてしまった。

わたしはふぅっ、とため息をつく。

ここは中立的に見ても、委員長のカーラさんが行動するのは筋。
背中を押すのは本意じゃないけど、道理を通すべきだとわたしは思います。
責任者として、行っていいですよ。

「・・バイクなら行ったり来たりもそんな手間じゃないんじゃないですか?」

わたしの指摘にアロン君はこっちへ振り向いた。

「ま、そうだね」
「カーラさんは責任者ですから、アロン君が間違ったところ撮ってこないようにしないと」
「し、心配だからやっぱり私も行くわ」

カーラさんも今度は逃しなくないみたいだ。

一緒にポタ山行くのはこの際仕方ないと思います。カーラさんには大義があるし、このイベントの実行委員長という立場からも行くことは好ましいことです。
でも・・これはわたしの都合ですが、二人きりの時間は極力短くさせてもらいますよ。

「アロン君、それで写真撮ったらその後すぐカメラ屋に来てください。写真プリントしてキャリーさんところへみんなで届けに行きましょう」
「うん、キャリーのところに届けて催促するのは実行委員全員の責任だからな。みんなで言った方が説得力あるし。俺と裕美子さんはカメラ屋で待ってるよ」

リーダーもわたしの案に乗ってくれたおかげで、わたしの付けた注文は特に怪しいものには聞こえなくなった。

「そうだね、そんな段取りでいくか。じゃあカーラ、帰ったらすぐそっち行くから」
「わ、わかった」

カーラさんが返事をすると、アロン君も納得して、さっそく帰り支度を始めた。
鞄に物を入れてるアロン君の様子を見ていたわたしに、カーラさんが赤い顔してすすっと寄ってきた。顔をそばに寄せると、小さな声で囁いた。

「ユミちゃん、ありがとね」
「?なんですか?」

わたしはとぼけたふりをした。でも心の中は決して穏やかではなかった。

『カーラさん、これは大譲歩だからね!』

今回は色々とあって大変だし、アロン君もあなたと一緒にいられるよう努めてるふうに見えます。アロン君は、カーラさんを受け入れるつもりなんじゃないですか?だからわたしはアロン君を応援したんです。これでアロン君とくっつかなかったら、もうわたし知りませんよ。活かすなら今しかないですよ。・・こんなチャンス、もう与えてあげないんですからね。
・・・ごめん、アロン君。わたしどうしても、あなた達を二人っきりにしておけなかった。できる限りその時間を短縮して、早く戻ってきてもらうようにしてしまった。あなたを応援しなきゃ行けないのに・・・
ごめんね。
ごめんね。

そして再び目線をアロン君の方に向ける。

『アロン君、お願いだから写真撮ったらすぐ来てね。寄り道しないでね』

アロン君の背中を見つめながらそう念じた。



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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第19話~ [スト魔女二次小説]

第19話「訓練始めます!」


教練服に着替えた天音と優奈は、学校の校庭のような運動場に現れた。
教練服、といっても学校の体操服のようなものだったので、端から見ると学校の体育そのものだ。そこで天音は、優奈に魔法で寒さや暑さなどから体を守る肉体強化方法やシールドの張り方を教わった。

「天音は普段でもシールド張ったことなかったよね」
「使う必要ないもの。わあ、優奈。魔法で体守ると、しっぽを水の中に入れてても、ふやけたり冷たくなったりしないよ」
「よかったね。たぶんこれからは漁の時の比じゃないくらい、1日中水の中を見てなきゃならなくなるだろうから、これできないと命にかかわるよ」
「南の方に行くって言ってたから、水は冷たくないだろうけど、ふやけるのどうしようかと思ってたんだ。ありがとう優奈」
「ウィッチとしては極基本のことだって。これで成層圏に行っても平気だそうよ。知ってる?501JFWのサーニャさんとエイラさんて、ロケットブースター使って3万メートルまで登ったんだって」
「本当?成層圏って空気ほとんどないんでしょ?そんなこと出来るんだ。スゴイね、ウィッチって。・・・やっぱり、優奈とはいっぱい差がついちゃったんだな」

天音は小さく呟いた。
優奈はにっと笑った。

「何言ってんの。どうせすぐ追いつかれちゃうんだから、少しは先にいさせてよ」


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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第18話~ [スト魔女二次小説]

第18話「427航空隊」


事務的なことが終わると、天音は座学の教室のようなところに連れていかれた。
そこで待っていた士官が両腕を後ろ手にして天音の前に立った。

「私は霞ヶ浦航空隊司令、田所中佐だ。一崎天音君の扶桑皇国海軍への入隊を歓迎する」
「あ、ありがとうございます」

横須賀のときと違ってカチコチの硬い雰囲気に、天音は少々戸惑いを隠せなかった。

「君の階級はウィッチの原則に従い一等飛行兵曹だ。配属先は第427航空隊。所属は南西方面艦隊、南遣艦隊、特設水上機母艦『神川丸』である」
「は、はい・・。どこなのかさっぱり解りませんけど・・。航空隊ということは、わたしはここで飛ぶ訓練をするんですか?」
「いいや。君はこれから対潜水型ネウロイ駆逐部隊として、水中探査戦術研究を行ってもらう」
「??」

難しすぎて天音には何を言ってるのかさっぱり分らなかった。

「詳しくは横須賀教練隊の横川和美少佐から説明を受けるように」
「は、はい」

横川少佐が歩み出た。

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スト魔女二次小説:水音の乙女 ~第17話~ [スト魔女二次小説]

第17話「入隊!」


横須賀での試験から2日後。

いよいよ天音が扶桑海軍に入隊する日となった。
海岸には見送りに来た家族や親戚、学校の先生や友達、そして漁協の人達が集まっていた。

「天音にもいよいよこの日がやってきたね~」
「がんばるんだよっ。こっちのことは心配しなくていいから」
「うぇ~ん、もう天音にあんみつ奢ってもらえな~い」
「こらこら、さっそく心配のネタを作るでない」

お母さんも涙を浮かべている。お父さんは昨夜親戚の人達と一晩中お酒を交わして慰められていたので、もう開き直っていた。

「こうなったら天音!海の中のネウロイ、根こそぎ漁ってこい!一匹残らずだ!いいな!」
「あはは、わかったよう」

漁協の人達もなぜか泣いていた。

「これからどうすっぺ」
「これから間違いなく漁獲高は減少じゃ」
「生きてゆけるかのお~」
「おじさん達、今までさんざんインチキしてたようなもんなんだから十分でしょ。また漁の勘を研ぎ澄まさなきゃ」
「こりゃいかん。天音ちゃんに説教食らってもうた」

沖から轟音が響いてきた。水煙を上げてやってくるのは、またしても海軍の大型飛行艇。海軍は天音の迎えにまたもや飛行艇をよこしたのだった。やってきたのは主翼とエンジンが胴体から離れて支柱で支えられる形で付いている4発機、九七式飛行艇だった。

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☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆




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