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<イザベルのお礼アタック(1)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第23回
<イザベルのお礼アタック(1)>

「アロン君、このあいだはいろいろ助けてくれてありがとう。これ食べてね」

朝のホームルーム前のどやどやしているとき、アロンのところにやってきたイザベルは、紙袋をアロンの席に置いていった。
中身はクッキーだった。それも手作りのようである。
ハイエナ勇夫とレソフィックがそのにおいを嗅ぎつける。
「ナニ?それ。うまそうじゃん、ちょっと食わせろよ」
「え?食う?いいけど・・・いいのかな」
「アロン、お前にくれたものだからホントはあげたらまずいぞ」
レソフィックが袋に手を伸ばしながら言う。
「そ、そうだよな」
アロンは袋を引っ込めたのでレソフィックは食い損ねた。

「なんでおまえにくれたんだ?」勇夫が聞く。
「オリエンテーリングの礼だって」
「オリエンテーリングのとき何かしたのか?」
「うーん・・・ゴールまでの最後の道のりはずっと担いでたからかなあ。イザベル、疲労で足止まっちゃってたし。こないだの表彰式でも、体育館から出るときまた担いだぞ」

レソフィックはピンと来た。
「ははぁ、そうか。助けられたうえに、ずっと密着してたから、胸にズキューンってきちゃったんだろ」

イザベルの席はアロンの列の一番前(といっても1列3人しかいない)。
イザベルは振り向くことなく席につくと、ホームルーム中もずっと前を向いたままだった。

イザベルは身長168cmと比較的長身。オリエンテーリングでも自ら言っていたように、体力には全然自信がない。それを裏付けるように非常に細身のひょろひょろした体系をしていた。なかなか整った顔立ちをしているが、ちょっと険な眼つきが特徴である。性格はまだよくわからんが、あきらめ早そうな言動の割に、オリエンテーリング後半では、実は負けん気の強いところがあるのを覗かせていた。

その後ろ姿を見てアロン、
「純粋にお礼じゃないのかねえ?」


-----

翌日、ダーニャがやってきて
「アロン、イザベルのクッキー食べた?」
と聞かれた。

「え?なんで知ってんの?食べたよ。結局半分近く勇夫とレソフィックに食われたけど」
「え?なんでそんな連中に食べさせるのよ!これイザベルのあなたへの気持ちよ。だめじゃない!」
「わかってるよ。でも隙を見てかすみ取られてさ・・」
「そんなことする人たちとはもう絶交しなさい。それでどうだった?」
「別に腹壊してないよ」
「あたりまえでしょ。感想聞いてるの!」
「うまかったよ。でも甘すぎかなあ。あまりくどくない方が好みなんだよね」
「ふーん。はっきり言うのね。イザベルに感想伝えといてあげる」
「なんでダーニャが連絡員になってんの?」
「乙女心がわからないのねえ。はずかしくてこれないんじゃない」
「はあ?」

たしかにこの日含め数日イザベルはアロンとかち合わないように避けていたようで、話をした覚えがない。


次回「イザベルのお礼アタック(2)」へ続く!

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