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<俺の家は海賊(2)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第31回
<俺の家は海賊(2)>

ある日曜日。アンザックの家にC組のみんなが集まった。

アンザックの家は、広大な敷地にサンゴ礁の島にあるリゾートのような平屋のゆったりとした建物、奥には広い芝生の庭がある。この超豪邸を見ただけで、全員は海賊の宝による財力に違いないと確信してしまった。

建物に入ると、あちこちに南の島の民芸品らしきものやサンゴ、貝、船具、沈没船から引き揚げたらしい船の鐘などが飾ってある。散らばってそれらに見入るクラスメート達。

パイプをくわえ、ひげをたくわえた海賊のような顔のキャラクターが描かれた大きな旗が壁に貼ってあった。その下に大きな宝石のようにピカピカに磨かれたテーブルサンゴらしきものでできたテーブルがあり、アンザックがそこへ飲み物を運んできた。
ハウルが「ありがとー」と言って真っ先にそれを取って飲み始めた傍らで、クリスティンとカーラはアンザックを手伝って、お盆からテーブルへグラスを並べている。
「ハウル、少しは気を利かせたら?女の子でしょ」
とクリスティンが注意するが、
「こういうの、別に女の子の専売特許じゃないわよ。アンザック、これおいしいわー」
と一向に意を解さない。

あちこちから「すげー、すげー」の声が聞こえる。

アロンとレソフィックは、未整理品が積まれているらしいところにいた。そこは半鐘を中心に置かれており、緑青がついたり、くすんだりしたものが大半だったが、いくつかサビ落とししてきれいになったものもあった。そのひとつをよく観察したアロンはレソフィックを呼んだ。
「レソフィック、このきれいにしたやつ、1902年ってあるぞ」
「こっちのは1800年代だ。へー。なんだ、古いのも結構あるんじゃないか。アンザックのやつ、自分家のものくらいよく見ろっての」

そこに通りかかった小泉裕美子も、その未整理の山を興味深げに眺め始めた。
一つだけ舵が転がっていて『ワリルドノア』と書かれたプレートが貼ってある。
裕美子はその舵と羅針盤との間に置いてある半鐘を指さして、
「この鐘は大分汚れてるけど、きっと比較的新しいものですね」と言った。
「そうなの?なんで?」
「この羅針盤と同じカモメのマークが彫ってあります。羅針盤は1960年製ってありますから」
「なるほどねー。同じ船のものか。舵もその船のものなのかな?」
アロンはその半鐘をよく見てみた。何かに当たったのか少し凹んでいて、ちょうどそこに船名と思われるプレートがロウ付けされてあるが、左の方が欠けている。残ったところには『ラー』と書かれていた。
「船は違うかなあ」

そこへじいちゃんが登場。横幅のある肩幅に、ごっつい体付き。背はそれほどでないが、真っ白な沖田艦長のような髭を生やし、片目の眼帯でもあればいかにも海賊っぽい人だ。塩で荒れたのか少々しゃがれた声で
「皆さん、いらっしゃい。アンザック、今日はどうした、ずいぶん賑やかじゃないか」
と言った。
「お邪魔しております。すごいお宝があると聞いて、皆でやってきました」とリーダーのチャンが受け答える。ミシェルとパウロがすっかり感心しきって、おじいさんを質問攻めした。
「すごいですね、これみんなおじいさんが集めたんですか?」
「そうじゃ。若い頃あちこち船で回ったとき収集したものだ」
「話によると、沈没船の宝捜しをされていたとか」
「船に限らんが、海底のいろんな調査を支援するのが仕事だ。宝捜しもついでにずいぶんやったものだ。いや、宝捜しの暇な時に調査の支援かな?」
笑いが飛び交う。

「沈没船の宝なら古そうな気がするけど、そういったものはどっかあるんですか?」
アンザックの言っていた疑問をそれとなく聞くミシェル。
「古いのならほら、そこの隅の壺を見るといい」
指差されたところにはフジツボや海底の石についてそうな赤い色のついた黒っぽいかめのようなのがある。
覗き込むと海底の泥が固まったようなのが詰まっている。しかしよくよく見ると・・黒く腐食した金属のコインらしきものが数枚、固まった泥から顔を出しているではないか。
「これ、コインですか?!」とパウロ。
「うむ、銀貨だ。その壺、持ち上げられんほど重いから、たぶんその中いっぱいに詰まっているのだろう」
すげー、すげーの声でわんさとなる。

急に美女とダーニャとシャノンがおじいさんの座っている横長のソファの周りに座り、お酌し始めた。
「すごぉい!指輪とかもないんですの?」
「はっはっは、あってもやらんぞ」

若い女子に囲まれて機嫌よさそうだったおじいさんが、急に険しい顔になり立ち上がった。目の方向にはパリッとした背広の男がいた。その男は開口一番こう言った。

「よう、海賊」

一斉に皆のびっくりした視線が背広の男に向かう。


次回「俺の家は海賊(3)」へ続く!

前回のお話「俺の家は海賊(1)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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