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<学内ライブ(5):まずは美女から> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第139回
<学内ライブ(5):まずは美女から>


翌日もぽつりと席に一人の裕美子。
トイレに行くと、ちょうどカーラとクリスティンが出てくるところだった。
無言ですれ違う。


廊下を進む眉間にしわを寄せたカーラ。一緒に歩くクリスティンが小さく言った。
「声かけづらくなったね・・」
「クリスティン、あんたどっちの味方?」
「もちろん、カーラよ。ユミちゃんがアロン君好きだったとしてもそれはしょうがないけど、カーラの邪魔をするようなことしたのはよくないわ」



洗面所に入った裕美子は壁にもたれかけ、動けなかった。
『せっかく・・友達ができたと思ったのに・・またこんな悲しいことに・・』
目頭が熱くなった。


めがねをはずして涙を拭こうとしたところでトイレのドアがバアーンッと勢いよく開いた。
あまりの勢いよさにドアは壁の方まで開き、そこの壁にもたれていた裕美子にゴンと命中した。

開けたのはハウルである。その妙な音に、誰かにドアがぶつかったと気付き、ドアを引き起こす。
裕美子はくらくらして座り込んでいた。

19章_5_01挿絵s.jpg

「あら、裕美子。大丈夫?」
「ハ、ハウルさん・・・」
「なあに、泣いてるの?」
「い、いや、ドアがぶつかったせいで・・」
ハウルは心配して裕美子の顔をチェックする。
「メガネかけてないときでよかったわ。・・メガネ取ってたってことは、泣いてたんでしょ?」
「ドアのせいだから・・でも大丈夫」
「ごめんね」

ハウルは奥の個室へ向かった。が、振り向いてもうー度声を掛けた。

「謝ったのはドアぶつけたことによ」

洗面所から出ようとしていた裕美子はびくっとした。
泣いていた原因にではないと念を押されたのだ。

裕美子はハウルの顔を見ることなく洗面所を出た。



トイレから戻ったハウルはカーラ達と合流した。
「カーラ、何か行動起こした?」
「こ、行動?」
「今何の障害もないんだから、早く意思を見せたほうがいいわよ」
「あ、あんたみたいに思いついて即行動なんか、簡単にできないわよ」
「カーラ。さっき裕美子に会ったけど、すごい落ち込みようだったよ。あの調子でアロンの横に座られたら、それだけでアロンが同情して裕美子にやさしくしちゃうよ」
「え?・・」


しかし意外にも、背筋を伸ばして大きめに手を振って歩いて裕美子は席に戻ってきた。
そしていつもと変わらず授業を受けていた。

その授業だが、やたらとカラーペンを使い分けてカラフルにホワイトボードへ書きまくる先生のせいで、ホワイトボードマーカーが軒並みインク切れとなり、授業が終わったところで安全委員=消耗品補充係のアロンは、裕美子を連れて消耗品保管庫へ向かった。裕美子は生徒会が管理する備品保管庫の出庫係なのだ。



マーカーを箱から出しながら、裕美子はアロンに問いかけた。

「あの、アロン君。あれから美女さんに対する考えは変わりませんか?あれだけの美人に気に入られたのに」
「え?美女、また何か企んでんの?変わんないよ。人には性格の相性ってもんがあるだろう。美女の性格と俺じゃ鍵の溝が合わないよ。顔どうこうじゃないよ」
「はあ、やっぱり厳しいですね。これは」
「小泉に手伝ってもらって逃げたくらいじゃん。あのときの小泉は断然、美女よりよかったし」
珍しく顔を赤らめると、裕美子は慌てるように返した。
「そ、それはかなりうれしいですが・・、今そのコメントは相当まずいです」

きょろきょろする裕美子。他の女の子に聞かれたら洒落にならない。

「もしかしてこないだばれたことで美女から何か言われてる?」
「まあ、あまり介入しない方が・・・。あの、それじゃ美女さんと合う人ってどなたかしら」
「あいつはプライドが高くて表に立ちたいタイプだから、あれを引き立てつつ押さえ込めるだけのさらにできるやつか、それとも引いて尽くす奴か・・・何か美女に言われているだろ。俺会って言ってやろうか?」
「いいえ、無理に会わなくてもいいですよ。代わりがいれば・・でもどうしよう、やっぱりこういったことはわたし疎いから考えつかないわ」
「行ってはっきり断ってくるよ」
「そ、それは逆効果!」
「ふーん。あとは他の事に集中させてしばらく頭を冷やさせるか・・・。美女って今度の学内ライブ出るんだっけ?」
「エントリー用紙預かりました。それもなんか学校外の人と組んで出たいとか希望出してて、後で実行委員会に届けるんですけど、もめそうですね。冷えるどころか火種がもうひとつ増えそう」
「ははあ、ひらめいた。実行委員に3年生で仕切っているのがいるだろう」
「ユーリさんかしら。生徒会の人でもあるんだけど」
「あの人なら美女も抑え込めるかもしれないぞ」
「え?ああ、そういえばすごく芯の強い人ですよね。面倒見もいいし。ああいう人ですか?美女さんと合う人って」
「合うかはともかく、美女の突進を受け止める懐深さはありそうだぞ。それで美女は俺を呼び出してるんか?」
「はあ、でも会うなら好意を持った状態で会ってくれないとあんまり意味がないんですけど・・」
「一生無理だ!でもこれで合う口実はできるぞ。なんならデートって肩書にしてもいいし。ライブの相談に乗るっていって呼び出すから、ユーリさんと引き合わせよう。生徒会で声かけて呼んでこれるだろ?」
「や、やってみます。でもアロン君にデートって誘われたら、ユーリさんに気が回るかしら」
「美女とは普通に会話してるだけで話なんか合いっこないから、すぐいやんなると思うぜ。うまくいったら小泉も美女から開放されるかな?」
「うまくいけばですけど・・。どうもありがとう、力になってくれて」
「絡まれてるのは幼馴染に仕立て上げたのが原因だろうし。もとは俺のせいだからな」
「あの、そこにはそんなに責任感じないでくださいね」


次回「学内ライブ(6):ユーリ、美女を制す」へ続く!

前回のお話「学内ライブ(4):美女に引っ立てられる」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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コメント 1

TSO

takemoviesさん、bitさん、kuzeさん、HAtAさん、xml_xslさん、無人運転状態の中、niceいつもありがとうございます~。

by TSO (2010-10-22 23:29) 

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