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<スキー旅行(4):計算高い人?> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第183回
<スキー旅行(4):計算高い人?>


みんなはゴンドラでてっぺんまで上った。そこは樹氷原だった。

なだらかな山頂に立つ木々は、どれも吹き付いた雪で何倍にも膨れ上がっていて、まるで怪獣である。
ゴジラのようになったそれらを裕美子は見上げた。

「わあ、すごいですねぇ」

アロンもその迫力に感心しきりだ。
「へえ、ここのは立派だなあ」

「はーい、お二人さん、こっち向いて」

写真が好きなアンザックは、カメラ、ビデオとすっかり記録係になっている。ただ後で有料で売りつけてくる可能性がある。


裕美子はゆっくり樹氷原の中に滑り出した。アロンがついてくる。

「裕美子、スキーは結構長いの?慣れてるよね」
「小学校のとき、お父さんに毎年連れてってもらってたから。アロン君はさすがにうまいですね」
「俺らは小六から始めたんだけど、1回行くと1週間は行ってたから、年数というより滑ってた時間が長いってのかな」
「『俺ら』って、レソフィック君や勇夫君とですか?」
「そう。勇夫は去年からスノボに転向したけど」
「3人とも運動神経いいから上手」
「裕美子は、中学のときは行かなかったの?」
「ちゅ、中学は・・違うことしてたので。・・あの、わたしショートスキーは今回が初めてなんです。小回りが利いて面白いですね」
「そうそう、俺もそれが気に入ってるんだ」

そういうとアロンはその場で、バレェスキーのごとくクルクルと回って見せた。




ふと周りを見回すと、誰もいない。

「あれ?誰も来てないよ」
「樹氷原の中、道がたくさんあるから、みんな違うところへ行っちゃったのね」
「もしかして、わざと?」
「ち、違いますよ」
「一瞬、そうなのかなと・・」
「・・・わたしのこと、計算高い女だと思ってるでしょ」
「やりかねないなとは思った」

雪を一塊ひろうと裕美子はアロンに投げつけた。
しかし、周りに本当に誰一人いないとわかると
「アロン君」
と呼び寄せた。

雪を投げられるかもとやや警戒しつつアロンがやってくると、その服の腕を掴んだ。

「・・キス、して?」

裕美子は赤らめた顔を、やや上目遣いでじっと見上げた。

「え?ここで?どこに?」

裕美子は自分の口を指さした。

「いいの?」
「こないだ、解禁したので」

アロンはニコっと笑うと、裕美子のそばに寄って肩をつかみ、くちびるを寄せた。
照れくさそうに裕美子は笑うと

「お互い、顔冷たいですね」

すると急にシュプール音が近付き、ビデオカメラを持ったまま滑ってきたアンザックが目の前を通過した。

「い、今、キスしているカップルを発見しました!なんとアロンと裕美子です!」
「きゃあ!」
「き、記録してしまいましたあ!」

そのまま滑っていってしまった。

「ど、どうしよう」
「まあ、見られてもいいじゃん。公認なんだし。でも、あとで上映されたりするといやだから、ビデオ隙見てかっさらってそのシーン消そう」
「ぜったい消します!」


次回「スキー旅行(5):実はすごく怖い人?」へ続く!

前回のお話「スキー旅行(3):ウォルトvsイザベル」
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コメント 1

TSO

takemoviesさん、xml_xslさん、あいか5drrさん、kuzeさん、bitさん、くぼたんさん、K-STYLEさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-02-26 18:58) 

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