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<スキー旅行(7):やっぱり雪崩発生> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第186回
<スキー旅行(7):やっぱり雪崩発生>


12月31日

日本で言えば大晦日である。昨日以上にいい天気だった。
リフトのてっぺんは山頂で見晴らしが抜群だった。
アロンと裕美子は一緒にリフトを降りると、なだらかなところが切れてよく見えるところまで進み出て並んだ。
「天気よくってよかったですね。今日は昨日より空気が澄んでますよ」
「ほんとだね。いやあここ見晴らしいいなあ。一番下の駐車場の車なんか消しゴムみたいだぜ」

美女がアンザックを呼ぶ。

「アンザック、写真撮ってよ。あの遠くの雪山バックにネ」
「はいい、よろこんで」
「アンザックの奴、僕化してるわ」

下僕がほしかったハウルがうらやましげに言うのを見てクリスティンが呆れた。
「あんなのがいいの?」

「アンザック、みんなのも撮ってよ。三脚ある?ないと自分が写らないよ」
カーラが言った。

「もちろん、ありますとも」

アンザックは折りたたみの三脚を取りだした。
シャノンがもう斜面の淵に座り込んで呼んでいる。

「こっち、こっち。私真ん中ねー」




写真を撮ると大休止に入った。イザベルが相変わらず疲れているせいというのもある。
アロンはアウトドア派らしくディパックから携帯ガスストーブとコッヘルを取り出すと、表面の雪を払ってきれいな雪を取り出して、コッヘルに入れてストーブにかけた。

「お茶でもいれよう」

シャノンが

「おもしろーい」

と言って喜ぶ。
するとイザベルが

「あ、お茶受けにクッキー食べる?」

と自分のバックをがさがさしだした。
イザベルとクッキー?アロンが思い出した

「それってもしかして手作りの?」
「そうよ」

裕美子がアロンの横から首を出して覗き込んだ。。

「オリエンテーリングの後に、何度かアロン君に作ってあげてた、あれですか?」

イザベルがちょとびっくりする。

「よく覚えてるわね。アロンの隣だからよく見てたのね」

するとすかさずカーラが訂正した。

「違うわよ。そのときにはもう裕美子はアロン君を気にかけてたんだから、心配な目で見てたのよ。ね?」
「え?もう気にかけてた?」

裕美子がカーラを抑え込む。

「ばらさなくていいです」

カーラはイザベルにウインクすると

「夜にでもまたね」

と、深夜の語らいのネタにしましょうと合図した。
美女が裕美子を見下ろして
「まったくこの娘は」
という顔をしている。

「で、そのクッキーはどのバージョンなんだ?」
「甘いの?甘くない奴?」

イザベルのクッキーを全部食しているレソフィックと勇夫が尋ねた。

「あんたら、全部食べてみてるの?あれ、アロンにあげたんだけど」

苦笑いの勇夫とレソフィック。

「今回はね、運動して疲れてるだろうから、少し甘みを強くしました」

シャノンがささっとイザベルの前に現れて、お菓子をねだる小学生のごとく、目をきらきらさせて手を出している。

「はいはい、シャノンにはこれあげるわ」

と丸いクッキーの中で、1個だけ雪だるまの形に抜かれたクッキーを渡した。きちんとバケツの帽子まで被っている。

「わーい!」


イザベルから配られたクッキーをみんなはほおばった。

美女「あら、おいしい」
勇夫「へえ!」
アンザック「うま!」
裕美子「おいしいです」
アロン「また一段とうまくなったね」
ハウル「ヤバ、イザベルにも差をつけられちゃった!」
クリス「あたし達、いつも食べる側ね」
ウォルト「もっとないの~?アロン、お茶早く~」

クッキーの評判は上々である。携帯ストーブをセット中のアロンは、お湯の沸き具合を確かめたが、まだまだであった。

「雪から融かしてだから間に合わないよ。それにこの人数だし、カップも5個しかないぞ」

すると勇夫が自分のディパックを下して
「俺も出すわ」
と言った。

「なんだ、持ってんなら早く出せよ。もしかしてレソフィックは?」

レソフィックは雪のふきだまりが厚くなったところで横穴を掘っていた。そこから顔だけだして答えた。

「わりい、俺は置いてきちゃった」

レソフィックの横穴堀を見てアロンは尋ねた。

「何やってんだ?」
「ビバーク用の雪洞を作ってみてるんだ。ウォルト、できたら中で昼寝してみる?」
「お、いいねえ」

昼寝というところだけ聞いて喜ぶウォルトだった。
勇夫がディパックから携帯ストーブを取り出した。勇夫のはプレヒート不要のガソリンタイプである。
しゅこしゅことポンピングから始まった。それを面白そうに眺める裕美子。

「いろんなのがあるんですね」

火をつけたらボワっと盛大に火の手が上がってみんなびっくりした。

「オリエンテーリングのときの火事を思い出した。勇夫といえば火事だ」

ミシェルが言う。
するとレソフィックが戻ってきた。

「できたよ雪洞。ウォルト、寝てみ」
「どーれ、どれ」

ウォルトはまったく不安なく穴に方に向った。

アロンと勇夫のコッヘルのお湯が沸いてぐらぐらいい出した。アロンがカップにお湯を注ぐ。

「はい、コーヒー5人分。女の子からな」

最初のカップをハウルに手渡した。

「ありがとー。クリスティン、一緒に飲もう」
「え?回し飲み?」

美女がちょっと首を伸ばしてハウルの方を向いた。

「1人1個はないんでしょ?みんなは無理にしなくていいわよ」

美女はちょっとほっとしたようにすると、

「じゃ、悪いけど一人でいただくわ」
「それじゃあ、これ私もらうね」

シャノンが3つ目にカップを取った。

「別に回し飲みでもいいけど・・裕美子どうかな?」

カーラが4つ目のカップを取って、ちらっと裕美子を見た。
裕美子はにこっと答える。

「もちろん、いいですよ」

そして最後のカップをイザベルがもらった。

「これはそしたら私ね」

「クリスティン、そっちで飲もう。見晴らしよさそうよ」

ハウルがレソフィックの堀った雪洞のある雪の斜面の上をさしてクリスティンを誘うと、2人でそこを登って行った。
一方、ガソリンストーブの上で沸騰したコッヘルを手に勇夫が男どもに向って言った。

「男は回し飲みだぞ。このコッヘルごといくからな」

勇夫は豪快にコッヘルへインスタントコーヒーを投入した。それを見てジョン

「うわ、その鍋で?」
「できた。ほれ、アンザック」

アンザックはにこにこして

「一番手、俺?いっただっきまーす」

と飲みに行った。

「あ!」っとアロンが注意する暇もなくアンザックはコッヘルに口をつけた。

「あちー!!!」

そうなのだ。火から下したばかりのコッヘルはものすごい熱いのである。アンザックは口どころか顔ごと雪の中に突っ込んだ。
アロンがいまさらながらに冗談めいた注意をする。

「だめだろ、『コッヘルがお熱くなってますのでお気を付けください』ってファミレスのネーチャンみたいに注意しなきゃ。キャンプしない人は知らないよ」

これを見た2番手ジョン以降は慎重にふうふういって飲んでいた。アンザックは無言のまま雪の中に顔をうずめている。

すると上の方から

「きゃはははは」

と笑い声が聞こえてきた。
高いところに登って景色を見ながらコーヒーを飲んでいたハウルとクリスティンが、二人並んで雪の斜面をお尻で滑って降りてきたのだ。そしてそれは軽い表層雪崩を起こし、2人は小さな雪崩に乗りながら

「きゃー、波乗りみたいー!」

とご機嫌で、どどどどっとみんなの前に雪の塊と降りてきた。

「あははは、楽しかったねえ!」

ジョンが目を点にして言った。

「あの・・ウォルトとアンザックが埋まっちゃったんだけど・・・」


次回「スキー旅行(8):夜の語らい」へ続く!

前回のお話「スキー旅行(6):大部屋」
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コメント 1

TSO

xml_xslさん、あいか5drrさん、takemoviesさん、ケンケン@さん、ファンページMAXさん、kuzeさん、bitさん、くぼたんさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-03-02 21:43) 

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