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<同棲(11):寮引き上げ> [片いなか・ハイスクール]

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「片いなか・ハイスクール」連載第211回
<同棲(11):寮引き上げ>


1月17日、日曜日の午後。
アロンは裕美子をバイクの後ろに乗せ、レソフィックと勇夫を引き連れて女子寮に乗り込んだ。


寮管が腕組して出てきた。

「短い間、お世話になりました」

寮管はぶすっとしている。
するとカミラと、寮でただ一人の3年生も出てきた。

「小泉さん、もう出ちゃうの?」
「ごめんなさい。どたばたして・・なにもしてあげられなくて・・」
「料理教えてくれたわ。・・・それにクラス隣だし・・また聞きに行くかも。いい・・かしら?」

この子は寮生とは別の窓口を探しているにちがいない。今、裕美子が唯一の光なのだ。

「もちろんです」

3年生が口を開いた。

「今年春来た、シャルロットの記録を抜く最短脱出ね。暇だから手伝うよ」

意外な言葉に裕美子は驚いた。




部屋で、唯一封のしてない一箱に残り少ない荷物を詰めた。

「いつでも出れる状態だったのね。・・まあここは空気と水が合わないとやってけないから、しょうがないよ」
「あなたは3年間、ここに?」
「ここのいいところは、上級生になると自分が暮らしやすいようにいろいろ作り変えられるところ。寮管はほとんど言ってこないから、羽目を外しすぎないように自重しないとでね。そこをうまく折り合いつけるのが面白かったのよ。でも今、3年はあたししかいないから、去年から実質今の2年が仕切っちゃってて、あいつら自重するってことがうまくできないのよね」
「食事はいつもあんななんですか?」
「寮管が作らないからね。過去いろいろ工夫してきたみたいだけど、今年はあなたが見た通りよ」
「体、大丈夫ですか?」
「死にはしなかったわね」
「・・もうちょっと校長突っついてみます」
「何かやってるの?」
「生徒会委員ですから」
「ふうん」


荷物を下に降ろすのは3年生とカミラが手伝ってくれたので、裕美子はすぐ出発できた。降ろした荷物はレソフィックと勇夫のバイクに、バランスなど知ったことかというほど、てんこ盛で縛りつけた。
残ったいくつかと裕美子がアロンのバイクに乗っかって、輸送は1回で済みそうである。

「お世話になりました。・・もう少し、話する機会があれば、よかったかも・・ですね」
「同じ学校だし、また会うこともあるよ」
「小泉さん、何かあったら行くわね」
「はい。カミラさん、いつでも来て。じゃ、みなさん、お元気で」

ばるるるっとバイク3台は重そうに寮を出ていった。


信号待ちでアロンは裕美子に話し掛けた。

「意外や、いい雰囲気で去っていけたね。寮管除いて」
「・・悪い人ばかりじゃないんですよね」
「うん。でも、その良心は裕美子が引き出したのかもしれないよ」
「それは・・ないと思うけど・・」
「裕美子はいい人だからね・・」

裕美子はうれしくなった。そしてアロンに強く抱きつくことでそれを伝えた。
信号が変わった。
ふらふらと左右に振られながらレソフィックと勇夫のバイクが前を走っていた。


次回「同棲(12):直訴」へ続く!

前回のお話「同棲(10):許可2」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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コメント 1

TSO

あいか5drrさん、takemoviesさん、つるぎうおさん、xml_xslさん、くぼたんさん、タッチおじさんさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-06-18 17:26) 

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