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<アロンの両親一時帰国(6):空きが出るまで> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!

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「片いなか・ハイスクール」連載第219回
<アロンの両親一時帰国(6):空きが出るまで>


「かんぱーい!」
「アロンに嫁さんができたことに」
「まてまて、冗談になってねえぞ!これからその話するんだ」
「勇夫、レソフィック、おまえらそっちはどうなんだ?」
「いたら許せよ」
「けっ、いねーな、その様子じゃ」

がちゃがちゃとグラスをぶつけ合った。

アロンの隣に座って、アロンの両親を前にした裕美子も、グラスを両親に向け
「これからもよろしくお願いします」
と言った。
母親の方が感心する。

「よろしく裕美子さん。しっかりした子ねえ」

一口ビールを飲むと裕美子をじっと見据えた。

「何も後ろめたいって気ないのね」
「何もやましいことしてませんから。隠す必要ありません」
「学校にも?」
「学校や友達には内緒です。原則として問題あるでしょうから」
「原則としてなら親としても問題よ」
「もし女の子の友達の家なら大丈夫ですか?それかアロン君が親と一緒に住んでいるならそれほど問題ないですよね?」
「どうして他の女の子とかに頼まなかったの?」
「寮から少しでも早く出ないと、身の危険を感じるほどひどかったので。10分で決定できるのはアロン君のところだけでしたから。なによりアロン君への信頼です」

冷たいビールで少し冷めたか、アロンの父親も落ち着きを取り戻して会話に加わった。

「アロンの家なら、勇夫やレソフィックだって条件は変わらんだろう」
「好きって気持ちもあるの?」
「・・・それは、大前提です」

恥ずかしげに答える裕美子。初々しい姿にアロンの父親も好感を持ってようやく顔が緩んだ。しかしそれはそれだ。

「アロン、これは近いうち結局、俺は裕美子さんの家に頭下げに行くことになり兼ねんじゃないか」
「裕美子はすごく自制心が強くて、すごくしっかりしてるから、大丈夫だよ」
「裕美子さんは、この感じなら大丈夫かもしれないが、おまえが何しでかすかわからん」
「アロン君もわたしも、お互いの両親に迷惑かけないようけじめをつけることには特に気をつけてます。これは許してもらうためにも大前提と思ってますから」
「しかしだ、裕美子さん。寮から脱出するという目的はもう達成できたろう?次はちゃんと自分の部屋を確保するべきじゃあないか?いつまでもアロンの部屋に住み続ける理由はなかろう。一緒にいたいという気持ちはわかるが」
「一応、1月末の試験が終わって、部屋が見つかるまでの約束でした」
「じゃあ部屋探ししてるところ?」
「・・いえ、実は停滞してます。勉強にさしつかえなくうまく暮らせたので、大丈夫かなと思って」
「探してる最中て言えばいいのに」
「アロン君、後々のことも考えて、正直にいきましょう」

腕組をして少し2人を黙って見据えた後、アロンの母親が切り出した。

「裕美子さん、だいたい事情はわかったわ。確かにあなたはしっかりした考えも持ってて、うまく暮らそうと思えばできそうな気もするけど、若いあなた達だけではいろいろ苦労あるわよ。世の中はあなた達だけでできているわけではないわ。少しでも気付いた周りからプレッシャーがあるでしょうし、気まずくなったときに一時的にでも一人になるところもない。結婚していればあきらめるところもあるけど、まさかそういう仲でもないし、一緒にいるだけで楽しいなんてのは1年中じゃないわよ」
「なるほど・・」
「自分の部屋は探しなさい。いいわね」
「・・はい」


食事も大分進んだ頃、アロンのお母さんと裕美子は、ずいぶん長く一緒にお手洗いに行っていた。
戻ってくると、アロンの母親が父親に切り出した。

「裕美子さん。わたしはあなた達を認めてあげるわ。お父さん、それはいいわよね?」

母親が急に裕美子の味方になっているのを見てアロンは驚いた。
『この間になにかやったな?さすがというか・・』

「仲は認めてもいいが、一緒に住み続けるのには反対だぞ!」
「裕美子さんが部屋を探すのは、もちろんやってもらうわ。師匠、アロン達のアパートに空き部屋ないの?」
「同じアパートに住まわせるのか!ほとんど変わらんじゃないか!」
「今よりは大分違うわよ。どう?師匠」
「今はないのぉ。でも春前になるとよく空きが出るよ」
「裕美子さん、空きが出るまで一緒にいることを許す。いいね?お父さん」
「急に寛大になったな。春に空きが出なかったら、いつまで続くか保証ないんだぞ。しかしそれよりアロンが心配だ!アロンを見張っておられぬのが!そいつだけが心配だ!」
「アロン!、みんなを裏切らないでよ。あなた裕美子さんがここでたんか切るのに、どれだけの覚悟がいるかわかってる?」
「師範!今以上にこいつを厳しく監視を!」
「うーむ、大丈夫かのぉ」

どうやら裕美子はアロンの両親に認められたようだ。結局一番危なっかしく見えるのは俺みたいだ。
ここは裕美子のがんばりにも答えなくてはいけないと、アロンは背筋を伸ばして言い切った。

「やるよ、信頼裏切らないよう。それだけが俺達を証明する唯一だから」
「誓ったな、アロン。・・よし、やれ!だが悩んだり行き詰まったときは相談しろ、俺や師匠に。子供だけで解決できることなど限界はすぐある。これに意地張るなよ。裕美子さん、君もだ」

裕美子はぱっと明るい顔をして答えた。

「はい、ありがとうございます」

一方アロンは目を三角にして睨まれた。

「裏切ったらアロン、ギタギタにするわよ!」
「お母さん、過激・・」


次回「バレンタイン(1):お菓子の市場」へ続く!

前回のお話「アロンの両親一時帰国(5):裕美子初対面」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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TSO

F−USAさん、xml_xslさん、bitさん、あいか5drrさん、くぼたんさん、綾小路曽根斗麿さん、やまさん、rebeccaさん、HAtA.さん、タッチおじさんさん、乙女座の詩人さん、ほちゃさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-07-09 22:25) 

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