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<バレンタイン(1):お菓子の市場> [片いなか・ハイスクール]

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「片いなか・ハイスクール」連載220回
<バレンタイン(1):お菓子の市場>


学校では男子どもが来週のバレンタインデーの話題で持ちきりだった。
特に注目されていたのはダーニャである。いや、ダーニャが誰にあげるかではなく、ダーニャの恋愛相談所に来ているであろう相談に注目が集まっているのだ。
当然ダーニャは秘密厳守なので明かすわけはないのだが。パウロがダーニャの席に来てしつこくまとわり着いていた。

「ねえねえ、俺宛てに相談来てない?」
「うっさいわねー。最近何よ男ども」

そばにいたウォルトが既にチョコレートを頬張りながらそれに答えた。

「バレンタインが近いからだろー?普段甘いものなんかあんまり食わない連中が、この時期になるとなぜかほしくなる奴が多いんだよなー」

パウロがそのロマンのないコメントにがっかりしながら言った。

「・・・お前、バレンタインデーの意味、知ってる?」
「知ってるよ。日本のお菓子メーカーが始めた、お菓子メーカーが儲かるためのイベントだろう?」
「いや、ことの始まりはそうかもしれないけど、そう言う意味じゃなくて・・」
「安心しなよ。私がこの学校の人達にあげることはないから」

シャノンが肩にかかったきれいな金髪をはらいながら横から言った。このクラスではなくこの学校ときたもんだ。シャノンは年上好き、しかもおじさんレベルが好みなのである。高校生は対象外とここでもきっぱり宣言してしまった。見かけはまるで小学生なくせに。

「馬鹿だなー。この時期マジでチョコとか買うのはアホだぜ。だってやたら高いし、その割にはちょびっとしか箱に入ってなかったり、箱ばかり立派だったり。まあちょっと珍しいのは食えたりするけど、それにしたってバレンタインデー過ぎて売れ残ったのが投げ売りされてるのを買うべきだよ。コストパフォーマンスめちゃくちゃ悪いんだもん」

相変わらずウォルトは夢のない視点でコメントを続けた。
シャノンががっくり肩を落として疲れたように返す。

「あのさあ、みんな別に効率よく糖分摂取したいわけじゃないんだけど」
「効率よくかあ。あ、それなら最高のがあるぜ。菓子の原料売ってる市場があるんだけど、キロ単位でチョコのインゴットみたいの売ってるんだ。実は俺、そういうとこで買ってたりして。300gくらいっぺんに食うとすごい充実感あるぜ」
「・・・・人間じゃないよ、あんた」

パウロが話を元に戻す。

「んなこたぁ、どうでもいいんだよ。このチャンス使って告白をってアドバイス、ダーニャやってるんだろ?」
「そんなの、あたしが言うまでもないじゃん。そんな相談にもならないようなのは、私のとこには来ません!」
「そ、そうなのー?」

うるさいとばかりにダーニャに手でしっしと払われて、何やら肩を落としてパウロは去っていった。
するとそこへ入れ替わってやってきたのはハウル達だ。

「ねえねえ、さっきのお菓子の材料売ってる市場って、本当にあるの?」

ハウルの目当てダーニャではなくウォルトの方だった。

「本当だよ。もしかしてチョコのインゴット買いたいの?」
「うふふふふ」
「さっすがハウル!よし、一緒にバカ食いしようぜ」
「あんたみたいに一人でバカ食いするんじゃなくて、みんなで食べるのよ。ね?」

ハウルは引き連れてきたカーラとクリスティンと裕美子の方を向いて同意を求めた。ウォルトの話が聞こえてきて、事前相談もなくとっとこやってきただけに同意を求められてもというカーラだったが、長い付き合いのクリスティンは即座に話を合わせる。

「なんかまた太りそうだけど、でも食べたいわね」
「クリスは太っても胸だけ大きくなるからいいじゃん」

それを聞いたウォルトがじいっとクリスティンの胸を見つめた。冬の厚いセーターの上にもくっきりと形のいいお椀のような2つの山がある。

「いやん!」

ウォルトがクリスティンに突き飛ばされてひっくり返った。倒れたウォルトにカーラが尋ねた。

「そこはバレンタイン用のチョコはないの?」

背中をさすりながらウォルトが起き上がる。

「この時期なら多少あると思うけど」
「ユミちゃんはバレンタイン用の方がいいよね?アロン君に」

カーラが裕美子を見た。すると特別感情も表さず答えが返ってきた。

「別に・・。買う予定もないし」
「え?!」

女の子達がびっくりした。その向こうにカメラを望遠すると、そこでアロンも仰天していた。

「だって、告白はもうしちゃったし・・別にそんなことしなくてもお互いわかってるし・・」
「でもちょっとショックみたいよ」

カーラがアロンを指差した。その指先に、くわらんくわらんと頭に衝撃が走っているアロンがいた。
しばらくそれを見た後、裕美子がハウルに向かって言った。

「それじゃバレンタインのチョコ手作りしましょうか」
「え?チョコ自分で作るの?原料買ってきて?カカオとかカカオバターとか、あと砂糖?」
「いえ、買ってくるのはチョコの塊。それ溶かして違う形に作り直すんです。それにいろいろ乗せたりして」

クリスティンが手を合わせて喜んだ。

「おもしろそう!」

ハウルも好奇心をくすぐられたようである。

「へえ!アーモンド入れたらアーモンドチョコになるの?」
「そうですね」
「いいわね、食べたいわ~」

裕美子がきらりと目を光らせた。

「それじゃあハウルさん家で作りましょう。食い逃げだけなんて許しませんよ」

しまったという顔のハウル。カーラがハウルの背中に飛びついて喜んだ。

「あはは、やられたね。食べたかったら自分で作るのよ」


次回「バレンタイン(2):あげる人いっぱい?」へ続く!

前回のお話「アロンの両親一時帰国(6):空きが出るまで」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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TSO

xml_xslさん、いっぷくさん、くぼたんさん、bitさん、ケンケン@さん、あいか5drrさん、乙女座の詩人さん綾小路曽根斗麿さん、幸せ家族さん、shin.sionさん、あすぱいさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-07-14 21:55) 

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