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<ダーニャの保健体育(2):裕美子の対策> [片いなか・ハイスクール]

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「片いなか・ハイスクール」連載第230回
<ダーニャの保健体育(2):裕美子の対策>


34章_2_001挿絵s.jpg

裕美子は図書館で調べ物をしていた。

「アロン君・・・男の子って不思議ね。でもこれ・・どうしたらいいのかしら。・・わたし達、まだそういうことしちゃいけないのに・・・彼女いない人はどうしてるの?」

そのときダーニャが通りかかった。

「あら裕美子、調べもの?珍しい本のところにいるわね」

ダーニャが覗き込むと、裕美子が見ていたのは思春期の男の子のことが書かれた本だった。


「・・・なあに?男の子の体が知りたいの?だったらアロン君に聞けばいいじゃない。・・・ははぁ、アロン君と交わる前に調べてるのね?」
「ななな、なんですか、交わるって・・」
「うふん、えっち」
「ち、違います。いえ、男の人の生理現象をちょっと・・・」

ダーニャは見開いているところを覗き見て

「なあに、・・ムセイ?」

裕美子は「夢精」を調べていたのだ。
恋ごとだけでなく、それに関わる知識も豊富らしいダーニャはピンと来た。

「裕美子、アロン君に・・夢精させちゃったの?」
「ああ・・いえいえ、こういうのどうしたらいいのかなって。・・・ダーニャさん、し、知ってます?」

自分でも何を言ってるんだろうと思いつつ、照れ隠しのつもりで変なこと聞いてしまった。

「あなたが一晩お付き合いすればいいのよ。簡単じゃない。・・・あ、もしかしてまだバージン?」
「あ、当たり前です!」
「そりゃアロン君、夢精しちゃうわねえ・・」
「でも・・彼女いない男の人だっているんだし・・そういう人、どうしてるんですか?」
「それは・・一人エッチでしょうねえ・・」
「・・・それって、みんなするんですか?」
「女の子もするもんね。・・アロン君の家でエッチ本見たことない?」
「そんなの、持ってないと思います・・」
「ところが、男の子って必ず隠し持ってるんだって。アロン君だって・・好きな人とできないんならなおさら。・・やだわ、体がほてってきちゃった」
「放っておいたら、病気になったりします?」
「放っておくと夢精っていう形で放出されるのよ。それ別に病気じゃないから。・・でも夢精したってことは、一人エッチもしてないのかな・・。裕美子、早くあなたがお相手してあげればいいのよ。好きなんだったらためらうことないでしょ?一緒にいて体うずいてこない?」
「うずく・・ですか?」
「・・こりゃ、まだアロン君は夢精し続けるわね・・。じゃ、一人エッチさせてあげなさい。手伝うでもいいし」
「て、手伝う?!」
「もうそっちまで行くと専門外。・・えっと、今の私の相談所の業務日誌に書いていい?」
「ぎ、業務ですか。・・・秘密厳守で、お願いします」
「もちろんよ。・・ふふーん、裕美子も普通にこういうことに興味を持つ女の子なのね。かーわいい」

真っ赤になって立ちすくむ裕美子だった。

34章_2_002挿絵s.jpg



結局、裕美子はその後もこの件で何かすることはなかった。つまり、放っておいたのである。



何日か後。
その日はアロンと裕美子が夕飯を作る当番だった。
夕食が終わって、勇夫とレソフィックは気を利かせたか、早めにアロンの部屋を立ち去った。
2人で後片付けをしているとき、裕美子はアロンにぼそぼそっと問いかけた。

「アロン君・・・エッチな本、持ってる?」
「ブーッ!な、なにをいきなり!!」
「男の子ってみんな持ってるんですよね?」
「も、持ってねぇよ、そんなの!」
「でも、1冊くらい・・。あの、あったら見たいなあって・・・」
「な、なんで?」
「・・・わかんないけど・・お勉強に・・」
「何の勉強だ?」
「ねえ、持ってますか?」
「・・・・」

困った顔のアロンであるが、しばらくして開き直ったように答えた。

「裕美子が寝泊まりするんだから、ない。捨てた」
「やっぱり持ってたんだ。・・でも今はないってことですか?」
「ない!」
「アロン君・・・1冊くらい、持っててもいいですよ。・・わたし、まだ・・その、お相手してあげられないので・・」
「何を言い出すかと思えば・・」

頬をリンゴのように染めた裕美子はアロンを直に見ることができなかった。

「ア、アロン君はもっと、わたしといろいろしたいよね。そ、それを我慢してくれてて、ほんとに感謝してます」
「いいんだって」
「だから、・・・前言った通りでいいですから・・」
「え?なんだっけ?」
「わたしがしたくなったら・・」

アロンが下の方から湧き上がるように真っ赤になった。しかし、

「だ、だ、だめだよやっぱり。この生活守りたかったら、我慢しなきゃだめだよ。無理なら・・部屋探そう」
「そ、それはいやです」

アロンはかっくんと口が開いてしまった。そしてきっぱりと言い切った裕美子を見つめた。
一緒に住むことはやめたくないと?けじめをつけることは一緒に住む許しを請う前提条件だったはず。だがたとえ一線を越えてしまったとしても、構わず住み続けると?

「わたし、アロン君のそばにいたいです・・」
「俺の親どもとの約束守れなくなっても?」
「こんなに好きなんだし・・もっと大人になったら、もっと愛し合うのは自然な行為だと、思います。だから、お互いが求め合うようになったときは、・・わたしはちゃんと結ばれたいです」

下を向いた裕美子は融けそうなくらい赤くなっている。アロンもまたうれしくて頭には湯気があがっていた。しかし、アロンの両親にばれたら吊るし上げどころではない。アロンは裕美子への気持ちと欲求と命とを秤にかけながらしばし考え込んだ。

「じゃあ・・、俺の誕生日までは我慢しよう。せめて・・」

ひょこっと裕美子が顔を上げてアロンを見た。しばらく沈黙してから、少し笑みを浮かべて口を開いた。

「わたしがアロン君のお誕生日より前にしたくなるって思ってるのね?」

アロンたじろぐ。

「う、だ、だって、結構すぐその気になりそうな感じに言ってたじゃん!」
「高校生の間は・・って言うのかなあと、思いました」

そこまで待てればアロンの両親との約束は果たしたも同然だ。しかしそれはアロン、待ち遠しすぎて本当に病気になりそうだと思った。
裕美子はいつものように首を傾げると明るく笑った。

「わたしもっと好きにならなきゃ。もっとアロン君を好きになって、アロン君が欲しくなっちゃって、我慢するの大変になるくらい」

そしてじっと見つめて、言葉を続けた。

「今度のアロン君のお誕生日までに・・」

アロンは今夜もまた洗面所に洗いに行きそうな顔。
急に裕美子は鍋とコーヒーメーカーをシンクにどんと置いた。

「はい、これも洗ってください。がんばりましょう!男女一緒に暮らすの大変だけど、いずれわたし達はもっと愛し合うんですから。アロン君がまたムセイしちゃっても、洗ってあげるから」

布巾を持ってテーブルの方へ戻っていく裕美子。

アロンはその後ろ姿を追った。きっとずっと気に掛けていたんだろうな。
『一応、これが裕美子の今の精いっぱいの対策ってことなんだな・・』
その日が来るまで、勇夫かレソフィックのところのストックから何冊か譲り受けた方が良さそうだ。

「裕美子、ありがと」

振り返った裕美子は、ニコっと笑っただけでなく、珍しく小さく手まで振った。

『エッチ本だけじゃなくて、一人になる時間もいるんだけどな』


次回「牛丼騒動(1):半額券」へ続く!

前回のお話「ダーニャの保健体育(1):1日遅れのバレンタイン」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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コメント 2

ケンケン@

イラストがめちゃ上手になってますね(≧∇≦)

by ケンケン@ (2011-08-31 19:52) 

TSO

xml_xslさん、こさぴーさん、あいか5drrさん、翡翠さん、bitさん、綾小路曽根斗麿さん、りたーむさん、やまさん、ケンケン@さん、F−USAさん、niceありがとうございます。
ケンケン@さん、コメントありがとうございます。イラストは線画なし・下絵に直色塗りの手抜きです、お恥ずかしい(--;

コーチ アウトレットさん、コーチ バッグさんのコメントは記事と関係ない宣伝のようですので、過去記事投稿分も含め削除させていただきます(_ _)
by TSO (2011-08-31 22:26) 

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