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<牛丼騒動(2):いやがらせ> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!

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「片いなか・ハイスクール」連載第232回
<牛丼騒動(2):いやがらせ>


科学の授業で使うとやらで道具を取りに行っていた裕美子は、また廊下で裕美子の方をちらちらと見てはひそひそと話している女子達に会った。

「ほらほら、女王の手下よ」とかなんとか聞こえる。

『なんか、いやな感じ・・』
と思っていると、一人が話しかけてきた。

「ね、ねえ、小泉・・さん?牛丼、食べたことある?」
「牛丼・・ですか?日本の食べ物だし、ありますよ」
「やっぱり!」

きゃー!とその子達は黄色い声を出して走って行ってしまった。


科学の授業が終わって教材を理科準備室に返し、ついでにまた切れたプロジェクターのランプの替えをアロンと備品倉庫に取りに行って教室へ戻ると、なんだか教室は異様な騒がしさだった。



この日はチャンとクリスティンが風邪で学校を休んでいた。カーラもレソフィックの広報の手伝いでどこかへ行ってしまっていて、珍しくハウルがぽつりと一人で席にいる。裕美子はそこへ行くと何気なしに問いかけた。

「ハウルさん。牛丼好きなんですか?」

するとムッとした顔を向けられきつい調子で怒鳴られた。

「あんた?変な噂に裏付けるようなことしたの!」

それもなんだか怒っている。

「ど、どうしたんですか?」
「笑っていいわよ、どうせ言われてることみんな事実だから」
「??。わたしもこないだアロン君達と食べに行って、おいしかったから・・」
「当然よ!男と女で味覚の差なんてそんなないんだから!」

そう言って怒って立ち上がると、ふくらはぎに弾かれて椅子が後ろにすっ飛んだ。後ろは今日は欠席のクリスティンの席である。激突した椅子はクリスティンの机と椅子まで勢いよく動かして、その後ろのジョンの席にまで当たった。長い腕を垂らしてちょうど指が机の外にあったジョンは、指を机とクリスティンの椅子に挟まれて超音波の悲鳴をあげた。悲鳴は超音波帯域で響いたおかげで教室は静かだったが、天井裏のコウモリは驚いていっせいに飛び出していった。

「帰る!」

鞄を背中に担ぐと、まだ授業があるというのにハウルは教室を出て行ってしまった。裕美子は廊下に首を出してその後姿を追う。

「そ、早退ですか・・?」

びっくりしてる裕美子にシャノンが声をかけた。

「こいずみー、今その話題は最悪だよ~」
「え?どうしてですか?」

そこへ教室に入ってきたのはキャリーとウォルト。バウロが2人に聞く。

「どうだった?、イザベル」
「わかんないけど、目回してた」
「何があったんだ?」

アロンがパウロも含めて3人に再び問いかけると、キャリーが答えた。

「イザベルがハウルに蹴られて、動かなくなって、今医務室に連れてった」
「保険委員のクリスティンが休みだから、俺がまた王様だっこしてったんだ」
「王子様だっごでしょ。王子には見えないけど。もちろん王様にも」
「蹴飛ばす?!」

ハウルの机からはらりとまた紙が落ちた。拾い上げると、
『本日カフェテリア 牛丼5杯食べた人にはダタ! 食べ過ぎ注意』
こないだ見たのと同じような中身である。シャノンが説明した。

「何かここ最近ハウル、A組に『牛丼女王』とかって呼ばれてるみたいで、さっきもしつこくからかわれたばかりだったのよね。なんでも牛丼屋に食べに行って、それもそうとう食べたみたいで・・」

パウロが続いた。

「そしたらイザベルが『じじい味覚』とか言って油注いだもんだから、かんかんに怒っちゃって。それで飛び蹴り」

ウォルトが興奮気味に話す。

「すごかったぜ。イザベル本棚まで弾き飛ばされて、そしたら本棚の上にあったクス玉がイザベルの脳天に落ちたんだ。すごい音して」

久々にドジ担任が作った割れないクス玉が出てきた。しかも落下したときは必ず誰かの頭に命中している。
アロンと裕美子は2人して目を丸くした。

すると今度はB組のカミラが教室を覗き込んできた。あの女子寮で一人だけいる1年生だ。裕美子を見つけると近くに来るよう小さく手招きした。

「なんか変な噂がA組から流れてきたんだけど」
「噂、ですか?」

カミラは周りを気にしながら話を続けた。

「ハウルさんのグループに入るには牛丼を食べる儀式があるんですって?小泉さんがその証人だっていうんですけど・・」

裕美子はやられたと思った。科学の授業の前に廊下で聞かれたあれだ。

「私もハウルさんの仲間に入れてもらいたいなと思ってたんだけど、牛丼は食べたことないし・・それよりハウルさんの悪口を言うのが広まってきてて、一緒にいると危なそうで・・小泉さんは大丈夫?」
「わ、悪口って?」
「生意気だとか、おてんばとか、やることが男みたいとか・・」

瞬時に裕美子は理解した。女の子特有の陰湿ないやがらせがハウルに対して行われていたのだ。ハウルはとかく普通の女の子らしからぬ行動を取る上目立つから、きっと疎まれていたに違いない。何かの拍子にそれが爆発したのだ。机に変な紙が入ってたのもそれだ。B組にまで広げようとしているということは、A組の女子は全員攻撃してくるかもしれない。ハウルは何も言ってこなかったが、何日か前から始まっていたに違いない。

「そんな儀式ないから・・・ありがとうカミラさん、教えてくれて」
「うん。気を付けてね、小泉さん」


次回「牛丼騒動(3):精神ダメージ」へ続く!

前回のお話「牛丼騒動(1):半額券」
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コメント 1

TSO

xml_xslさん、bitさん、toramanさん、綾小路曽根斗麿さん、??さん、ほちゃさん、あいか5drrさん、えーちゃんaaaさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-09-17 23:16) 

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