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<過去との決別(11):新学期に向けて> [片いなか・ハイスクール]

片いなか・ハイスクールも、なんと今回入れて後2回で第1部終了です!


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「片いなか・ハイスクール」連載第247回
<過去との決別(11):新学期に向けて>


「校長、折り入ってご相談があります!」

ドジ担任は校長室にいきなり入り込んでくると言った。

「私のクラスを全員そのまま進級させていただきたいのです!」
「?。君のクラスは担任のできとは裏腹に、これ幸いと落第しそうなのは一人もいなかったと思ったが?こないだのクラス全員欠席も、君の報告を以っておとがめなしにしたではないか」
「はあ。これは言い方をミスりました。つまりクラス替えしないでくださいと言いたかったんです」
「ほう、それはまたなぜ?」
「集団欠席の原因となった小泉裕美子の為です。彼女の心のケアはまだ途中です。そしてそれを支えているのが私のクラスの生徒達だからです」
「ほお~。君からそんな思い切った提案をしてくるとはこりゃ意外。思いがけずガラにもなく予想外になかなかいろいろと考えとるじゃないか」
「・・・なんか馬鹿にしとりゃしませんか」
「はっはっは。今日はもう一人面会者が来るんだが、こりゃ一緒に話しても構わんな」
「は?」

校長は電話を取った。

「今日来客が来る予定だったろう。なに?もう来とるのか。すぐ校長室に呼んでくれ。うむ、頼む」


来客はすぐにやってきた。それは裕美子の中学時代の担任、グリア先生だった。

「校長、ご無沙汰しております。あら、ドジさん先日はどうも」
「やや!これはグリア先生!」

ドジ担任は立ち上がって深々と頭を下げた。

「こないだはうちの生徒をご指導いただき、ありがとうございました!」
「ホホホ。相変わらず体育会系ね。いいえこちらこそ、昔の教え子を助けていただいて感謝してますわ」
「ちなみにダッジです、名前」
「え?そうでしたっけ」
「はっはっは、ドジで構わんよ」
「こ、校長~」
「このドジ君がね、おそらくグリア先生が頼もうとしていることを先に言いにきたのじゃ」
「え?私が今日来た理由を察してらっしゃるんですか?」
「小泉くんの進級のことじゃろう」
「ええ。さすがですね」




あらためてソファーに座り直した面々は、コーヒーが運ばれてくるのを待って話を再開した。
グリア先生から口を開いた。

「裕美子の進級に当たって、彼女の周りの主要な友達をよく考慮のうえクラス編成して欲しいと思いましてお願いにあがりました。グループになっている女の子は特に一緒のクラスへと」
「わっはっはっは。ドジ君の提案はもっと大胆じゃよ」
「へえ?」
「クラス替えするなとこやつは言いに来たのじゃ」
「まあ!」

ずずずっとコーヒーをすすり終えたドジ担任が言った。

「私が見るに、小泉の主要な友達は女子グループだけではありません。男子にもいます。しかも主要グループじゃなくても、特に女子ですが、時と場面によってはすごい力になっています」
「そうじゃの。グリア先生。実は1年のクラス編成では小泉くんには特に気を使った。彼女のいるC組の女子は特別なんじゃ」
「そ、そうなんですか?!」

グリア先生よりドジ担任の方が驚いた。

「気付かんかったか?ドジ君」
「はあ」
「自我が強く率直で、顔を使い分けることをしない。C組は女生徒の間で変ないじめがなかったろう?陰口をたたいてこっそり人を傷つけるような行動を嫌う子ばかりじゃ。その分キライと言えば本当に嫌っていることになるから、こじれたら大変だったろうがの。簡単には人に屈しないから自己主張のぶつかり合いになってまとまるか心配だったが、その辺も見渡せる大人な子ばかりでよかったよ」
「本当に。トラブルを乗り越えてクラス全員があんなにまとまって行動していたのには驚かされました」
「反面、普通の女の子がA組に揃ってしまって、A組はいじめが多かった。レイ・サクラギ君はまさに力を発揮しやすいところへ編入してしまったのじゃ」
「校長、なぜそんなところへサクラギを入れてしまったんですか?」
「本校に転校してすぐの分校移転だったし、本校が主体での移転手続きだったし、その前にも転校経歴があって完全な見落としだった。これはワシのミスだ。グリア先生、真に申し訳なかった」
「ええ、でも、裕美子には通るべき道でした。これがなければ彼女はまだ偽りの皮を取りきれなかったのですから。すばらしいクラスメイトを揃えていただいて、ありがとうございます」
「そんな背景があったんですね。私が間抜けなあだ名を付けられている間、皆さんはハラハラしながら私のクラスを見てたわけだ」

笑いが校長室にこだました。

「しかし、まさかカレシまで作ってしまうとは思わなかったがのぉー」
「本当に。一人でもお友達ができればって思ってたのに。みんなに支えられるなんてね」

グリア先生は同棲のことも知っていたが、あえて言わなかった。そこまで信頼できる関係を築けたことこそ最も驚いたことだった。

「私の貢献は勘定に入らずですか?」
「わっはっは。ま、生徒80%、ドジ君20%じゃな」
「どうも・・いい評価してもらいまして」
「ホホホ、初担任で、あの生徒達相手に2割も貢献したのなら立派ですよ」


こうしてレイ・サクラギと裕美子の事件は裕美子の精神面を支えるC組の存在が再確認され、ドジ担任の提案通り1年から2年への進級に当たってクラス替えは行わないことになった。


次回「過去との決別(12):出発点」へ続く!

前回のお話「過去との決別(10):もう逃げない!もう負けない!」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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TSO

翡翠さん、copperさん、いっぷくさん、kawasemiさん、(。・_・。)2kさん、 あいか5drrさん、shin.sionさん、bitさん、toramanさん、HAtAさん、xml_xslさん、「直chan」さん、niceありがとうございます。
by TSO (2012-01-15 21:04) 

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