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<第2部:第5章 俺の家は海賊(7):エピローグ> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!


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「片いなか・ハイスクール」連載第280回
<第2部:第5章 俺の家は海賊(7):エピローグ>


第1部でおよそ40話にもわたる海賊事件は、集団生活に溶け込めるかどうかという裕美子にとって、オリエンテーリングに続く大きな転機だった。そして裕美子の中では2つのことについて大きな方向性が定まった出来事でもあった。
ひとつは友達。もうひとつはアロン。

場面は海賊達もとっ捕まり、追っ手から逃げたアロンや裕美子達が、彼らを救出しにきたレミーノア号のみんなとようやく合流できて、無事を喜び合った少し後のことである。

夕暮れ迫るレッドホライゾンが水平線の上をきれいにグラデーションで染め上げていくのをバックに、レミーノア号は港に向けて力強く航海していた。港では連絡を受けたドジ担任先生が学校のマイクロバスを回して待っているはずである。船上ではわっはっはっはとみんなの高らかな笑い声が響いていた。
甲板に部分的にあるライトはみんなを照らすには暗すぎた。が、みんなが満面の笑みでいることは、よく見えなくても十分わかった。なにしろ死線をかいくぐってきたのだ。生き残れたのはみんながいたから。海賊に勝てたのもみんながいたから。それぞれが何らかの役割を果たし、裕美子も一役果たした。裕美子はえもいわれぬ満たされたような感覚をみんなと共有していた。

この一体感、どこかで・・・

ああ、忘れていた。オリエンテーリングのとき感じた、あのクラスの仲間との一体感と同じだ。そうだ、わたし達は仲間だったんだ。



カーラとクリスティンが裕美子にぴったりと体をくっつけて笑っている。たまにハウルが頭をくしゃくしゃとなでる。これまでもよく構ってくれた人たちだ。触れ合っても嫌じゃない。この人たちとは、触れ合っても嫌にならない。
このところクラスのみんなと疎遠になり、誰とも関わり合うことなく過ごしていたのは、自分がみんなから遠ざかっていただけだったんだ。みんなはわたしを避けていたわけじゃない。女の子たちはこんなに優しく接してくれている。わたしが変わらなきゃいけないんだ。そのために来た片いなかの分校なんだから。

『わたし、この人達と友達になろう。ハウルさんたちに、受け入れてもらおう』

そして分校に来て、思いがけず興味を持った男の子、アロン君。

『・・オリエンテーリングでは別班だったけど、今回はアロン君と一緒にいる時間がたくさんあった。間近で見たアロン君は、やっぱりわたしが思ってたとおり、素敵な人だった。わたしはやっぱりこの人が好き』

人と接するのが怖かったはずなのに、一人でも話のできる友達ができれば御の字だったはずなのに、男の人を好きになるなんて・・・想定外もいいとこだ。

わたしが変わったら、この人と付き合ってもいいんだろうか・・・

だが、それには強い抵抗があった。そこだけは裕美子を変えられなかった。

『だめよ裕美子。汚点を背負ったわたしは、相手を幸せにできない。不幸にしかしない』

すぐそこでアロンはレソフィックと一緒にリーダーの肩をたたいて健闘を称え合っていた。近くに来たアンザックを呼び込もうとしてはしゃいでいる。
その様子を目で追いながら、裕美子はこの先アロンとどう接していくか決めた。それが、これから半年近く、アロンと正面から向き合わざる得なくなるまでの間の、裕美子の基本方針だった。

好きだけど、恋人にはなれない。だけど、近くにいたい。彼に言い寄る人が現れるのも・・覚悟の上で。

「彼はちょっと特別な男の子のクラスメイト。それだけ。何かあったら優先して助けてあげる。他の人よりちょっとひいきしてあげる人。それだけ」


次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(1):在庫台帳上の黒板消し」へ続く!

前回のお話「第2部:第5章 俺の家は海賊(6):ダイジェスト」


対応する第1部のお話「第1部:第8章 俺の家は海賊(39):わしの後を継ぐか?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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ラブコメ路線を無視した冒険活劇章でしたが、裕美子とアロンにとって必要不可欠なイベントでした。オリエンテーリングで一緒になれなかった2人が、長い時間を一緒に過ごし、お互いを間近で見、事件解決までを共に共有し、だから次の章へと繋がっていくことができた。そういう意味合いの章です。あ、確かに事件解決までいたC組メンバーはアロンと裕美子だけじゃないです。でも、裕美子と常に一緒にいた人は限られてます。アロン、レソフィック、カーラですね。
カーラはアロンとオリエンテーリングも一緒で、そのときに疼く気持ちが、海賊事件で一緒にいたことによって本気の恋になってしまいます。レソフィックの気持ちは明らかでありませんが、きっと間近で見たカーラが後々にも影響与えていたことでしょう。
でも修羅場好きの人なら、オリエンテーリングからの裕美子との確執を逆手にとって、アロンが好きだったはずなのにレソフィックにも・・って展開を考え付くかもしれませんね。TSOはそういうドロドロ劇は書けないのでやりませんが。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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コメント 3

やま

こんばんは
いい一年になりますように・・・・・
今年もよろしくおねがいします。
by やま (2013-01-06 22:15) 

ふぢたしょうこ

今年もよろしくお願い致します。
by ふぢたしょうこ (2013-01-08 01:26) 

TSO

bitさん、yamさん、くま・てーとくさん、やまさん、(。・_・。)2kさん、おぉ!次郎さん、「直chan」さん、ぼんぼちぼちぼちさん、いっぷくさん、ふぢたしょうこさん、ネオ・アッキーさん、タッチおじさんさん、niceありがとうございます。
やまさん、ふぢたしょうこさん、今年もよろしくお願い致します。
by TSO (2013-01-20 20:13) 

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