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<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(2):黒板消しの実在庫> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!


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「片いなか・ハイスクール」連載第282回
<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(2):黒板消しの実在庫>


備品倉庫に5人も入るとかなり狭い。が、最後の出庫が9年も前というどこまで埋もれているか分からないモノを掘り起こすにはいい人数かもしれない。

「手分けしましょう。キッカ先輩達はそっちの列お願いできますか?」
「アロン君もこっちおいでー」

な、なんなんですか、あの先輩達は!いくらアロン君が気になるからって、あからさまに・・・
でも・・これくらいじゃなきゃ、だめなのかなあ・・・

先輩達の行動に沸騰したりシュンとしたりしていると、

「チョ、チョークってその辺じゃなかった?黒板に関する物まとまってんじゃないか?」

と、アロンは逃げるように裕美子のいる棚の方に来た。

「ほら、そこの箱、いろんな色のチョークだろ」

キッカ先輩がちょっと驚いたような顔で尋ねた。

「アロン君、なんで倉庫の中、知ってるの?」
「俺、メガネ・・じゃなくて小泉の手伝いで消耗品の補充の搬入手伝いやったから、この中結構詳しいんす」
「あら?今月と先月の搬入を手伝ったのって、チャン君じゃなくて、アロン君なの?」

なんですと!という2年の先輩達の攻撃的なが目が一斉に裕美子を見た。
あれ?な、なんかマズイ事態!?



「あ、アロン君は安全委員で消耗品に関係ある人だし、同じ組だし、他にも事情が・・」
「オリエンテーリングでメガネ・・じゃなくて、小泉にはちょっと借りがあって、そのお詫びに労働奉仕・・ってな」

抜け駆けしたのではと疑いの目を集める先輩達に気付いたアロンは、裕美子に合わせるようにしてフォローしてあげようとしたようだが、効果なかった。

「ひどーい。そんなことやらされてるの?ちょっと、ツンツンメガネさん!」
「は、はい。・・い、いや、わたしガリア空軍の中尉さんじゃありません・・・」

なんか変な呼び名が・・

「その作業は、備品管理係みんなでやることになってるのよ。それなのに事もあろうにアロン君なんかにやらせて」

・・・わたしがまたやっときましょうかって言ったら、お願いしまーすって、躊躇なく帰っちゃったくせに・・

「でも力ある男の人がいると助かるわあ。この係りって、いつも女子ばっかりだもんね」
「そうよねぇ。アロンくぅん、来月もまた手伝ってくれるぅ?」

あなた達備品管理係りじゃないじゃないですか!

露骨にアロンを誘ってくる2年の先輩達に心の中で突っ込んだ。

「え?あははは・・・」

生徒会とはいえ備品管理とは関係ない先輩達がなぜか誘ってくる事態に、アロンは戸惑った顔を裕美子の方に向けた。片耳で聞きながら作業を続けてた裕美子は、脚立に乗っかって、色ごとに分けられたチョークの入った箱の下の、磁石が大量に入った箱の下の、黒板で使う大きな三角定規をどかした下から、小さな箱に入っていた黒板消しを見つけた。台帳には在庫3つとなっていたが、2つしか見当たらなかった。

「あった」

1つ取ると、アロンに手渡した。

「いい勘でしたね。予想通りのところにありました」
「うわ、新品ってこんなに綺麗なのか」

脚立から降りてきた裕美子は、ちらっとだけアロンを見ると、スタスタと倉庫を出ていってしまった。みんなも慌ててつられて外に出てきた。

アロンが黒板消しを手にはめてポムポムと太ももを叩きながら、鍵を閉めている裕美子に聞いた。

「来月は先輩達みんな来るんじゃぁ、俺いなくても大丈夫かな?」

とたんに備品管理と関係ない先輩達が反応する。

「えー?手伝ってぇー、アロンくぅんー」

アロンはまた困った笑い顔を裕美子に向けてきた。倉庫の鍵がガチャンと音を立てると、じろっとメガネ越しに睨んだ。

・・・これはアロン君とわたしの確実な接点。そして正当な理由あって決めたわたしからのお願い事。茶々入ろうとも、わたし達の間で交わした約束事でしょ。

「アロン君、来て下さい。手伝ってもらうのはお約束です」
「メ、メガネ・・・」

泣きそうな顔で言った。

「その呼び方、好きじゃない」
「わ、わりい!」
「力作業だけじゃなくて、入庫作業全般的にすごく頼りにしてるんだから・・来て下さい」
「来てくれるの?わーい」
「あなた備品管理係じゃないじゃない」
「いいのいいの!」
「小泉さん、アロン君と親しかったんだ。知らなかったわあ」
「弱み・・握ってるだけです・・」
「メ、メガネ・・・」
「嫌です、それ」
「わ、わりい!」






生徒会は本当に大した議題ないようで、2,3の事について話し合ったら解散となった。チャンがノートをトントンと机の上で整えると
「小泉さん、戻りましょうか」
と立ち上がった。

「ちょっと、待って下さい」

裕美子はキッカ先輩のところへ行った。キッカ先輩は先ほどの2年女子生徒会委員の人達と集まっていた。

「キッカ先輩、黒板消しの数が台帳と合わなかったです。あと在庫1つしか残ってないですけど・・どうしましょう」
「どっかに埋もれてるんじゃない?それにもうそんな出るものじゃないし、まだ平気だよ」

このアバウトなところが、きっと去年在庫切れ起こした原因なんだろうなぁ・・

「分かりました。補充の判断はわたしに任せてもらってもいいですか?」
「いいわよお。小泉さん頼もしい!」
「海賊を一網打尽にした人だもん」
「そっか。そうだよねぇ」


次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(3):黒板消しを壊した人たち」へ続く!

前回のお話「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(1):在庫台帳上の黒板消し」


対応する第1部のお話「第1部:第9章 レソフィックの広報記事」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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ガリア空軍の中尉さん・・・言わずと知れたストライクウィッチーズのペリーヌさんですね。裕美子とはまったく似つかわないですが、小ネタに使ってみました。
ストライクウイッチーズはTSOのソネブロ小説仲間にして、迫力あるファンタジー小説をお書きになるかっぱちゃんが大好きな作品です。それを聞いてTSOも遅ればせながらいろいろ拝見しましたが・・・あの下を穿き忘れたかのような衣装にはどうしても違和感が拭えません。ちゃんと着こなした軍服の方が見慣れてるので・・・。しかし内容はすごくいいし、何より好きなのは奥行きの深い舞台世界です。世界各地の戦線と時代を分けて描かれる作品群、それに登場する人物がひとつの時間軸の上で全て繋がっているのです。だから時間と場所が合えば、それぞれの主人公が顔を合わせることもあるわけです。我々の世界はそれが当たり前だし、一人の作者が全て考えているならまあいいですが、メディアミックス作品として企画され、各作品・メディアを作る人は別々の人ですから、整合性を取りつつ作っていくのは大変なことと思います。二次小説でもマニアックな機体を題材にしたのとかあって、なかなか見ごたえのあるシリーズでTSOも好きになりました。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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コメント 1

TSO

shin.sionさん、マチャさん、くま・てーとくさん、やまさん、タッチおじさんさん、F−USAさん、yamさん、CROSTONさん、いっぷくさん、bitさん、ふぢたしょうこさん、niceありがとうございます。
by TSO (2013-02-16 23:12) 

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