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<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(5):広報記事の決定> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!


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「片いなか・ハイスクール」連載第285回
<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(5):広報記事の決定>


「小泉さんが言ってたけど、アロン君達もう黒板消し調査やっちゃったんだって」
「ほんとう?」
「こうなると次はやっぱり消耗品補充の搬入の時ね。キッカ、あたしその時、アロン君と二人っきりで倉庫に閉じ込めてもらっていいかな!」
「そ、そこまでやるの?!」
「キッカももう一回レソフィック君ところ行ってみたら?あっちにはキッカのこと知られてないんだし」
「え?で、でも・・」
「レソフィック君?あ、そうだ!彼、広報委員よね。1年C組まだ記事発表してないのよ。書いてもらうようフォローしなくちゃ」
「あらあ、そうなの」
「来週よ締め切り、来週」
「うふふふ、キッカに言わせてあげるわ」
「ええ!?いいよいいよ」

また・・来てる。

教室の前に来た裕美子は、そこにたむろしている2年の生徒会の先輩達を見つけた。

『ハウルさんの努力も甲斐なしですね』

ふうっと一息付いて、教室の入り口に向かった。それをキッカ達が見逃すはずなかった。

「あ、小泉さん、おはよう。ねー、アロン君いる?」


ずーんとそこの空気が重くのしかかってきたような感じがした。と、その時。

「お、いいところに備品管理係が揃ってた」

そう言ったのは体育の先生だった。

「キッカ君、小泉君。次回の備品発注だが・・・、実はぁ、授業用のでだいぶ不足してるのがあって、ついでに注文お願いしたいのだが、頼めるだろうか?」

2年の先輩達は、まずいタイミングで見つかったと思って一様に嫌そうな顔をした。

「同じ業者に依頼してるものなんだよ。先月担当の教論が忘れちゃってな。すまんが頼むよ」

『担当の教論ってアンタのことでしょが』とキッカ達はコソコソ言い合っている。その横で裕美子は何の疑念もないように尋ねた。

「どんなものですか?」
「校庭に白線を引く消石灰。園芸用の土と堆肥の鶏糞。戦車道の練習で使う標的用のベニヤ板と土嚢と・・」
「何ですか、その重たそうなのばっかり!」

キッカ先輩が飛び上がった。

「何ヶ月注文するの忘れてんですか!」

やっぱりそんなことだったかと、げっそりした顔を一様に投げかける2年の先輩達。一方、裕美子は冷静に話を続けた。

「簡単なリストで頂けますか?発注しておきます」
「おお、やってくれるか!ありがとう!」
「ちょっ!こ、小泉さん、この先生常習犯なのよ、甘い顔しちゃだめよ!」
「保管庫は消耗品の倉庫の隣だから。入れといてくれな」
「ええ!そこまで?!」

キッカが叫んだところで他の2年生達が手を挙げた。

「あ!キッカ、私今度の月初めの月曜日は用事あるんだった!」
「そうだ、私も!」
「ええ?!手伝うんじゃないの?!」
「アロン君がいるから大丈夫よ」
「は、薄情ものー!倉庫に閉じ込めるのはどうすんのー?」
「なんですか?それ」

裕美子が眉をひそめて聞いた。

「じゃあすまんが、よろしく頼む」
「ええ?せ、先生!」

立ち去っていく先生と同級生達の背中に絶叫するキッカ。一方裕美子はまた手帳を開くと、常習犯の先生のむちゃくちゃな注文をメモ書きし始めた。
と、そこに教室へ戻ってきたダーニャが現れた。

「あ、キッカさん」
「ダ、ダーニャさん!」
「最近よく来てません?」
「え?ええ・・・・アロン君に用事・・のある人がいたんだけど・・・」

その人は先ほど逃走してしまった。
ダーニャはちらっと教室に目をやった。カーラが心配な面もちに不機嫌そうな目を携えてこっちを伺っているのに気付いた。口元に薄笑いを浮かべたダーニャはもう感付いていたようだ。

「アロンはこのところ人気あるからお勧めしませんよ」
「あ、そ、そうなんだ。・・って違う違う、私じゃないから」

ダーニャはずいっと近寄ると

「それよりレソフィックは?あっちはまだぜんぜん平気ですよ」

と小声で言った。

「レ、レソフィック君?そういえば広報の用事が・・・」

それを聞いたとたん、ダーニャはにやぁっとして、

「いい口実じゃないですか。じゃ、もう一回いきましょうよ。すぐ呼んで来るね」

と言って急いで教室に入っていった。

「あ、ちょっと!ダーニャさん!」

するとメモを書き終えた裕美子もぺこりとお辞儀をして、ダーニャに続いて教室に入っていった。
困惑顔満載でキッカは声掛けることもできなかった。



しばらくしてダーニャに連れられてレソフィックがやってきた。

「誰が用事だって?・・あ、生徒会の」
「こここ、こんにちは」
「あれ?アロンじゃないの?」
「広報の事だって。それじゃ」

異様にニコニコしてダーニャは教室に引っ込んだ。というか死角に消えた。
二人っきりにされてレソフィックも一瞬硬くなったが、レソフィックの顔を見て赤い顔して口を開けて見上げているキッカを見て、怪訝そうに問いかけた。

「あのー・・・、なんでしょう?」
「あえ?えーとえーと」

問いかけられたキッカはあわあわしだした。

「レ、レソフィック君、か、海賊とたたた、戦ったんだっけ?」
「ハ、ハア?」

ぜんぜん想定外の話が出てきて、レソフィックは一瞬思考が固まった。

「ちがっ、タ、タックルだっけ。あははは・・」

なんだこりゃ。

「アロンがタックルしてぶっ倒したところを、俺が押さえつけて、二人で手足縛ったんですが・・・」
「ほ、本当にやったんだ。すごい!」

キッカ先輩は目をキラキラさせてレソフィックを見た。
何しに来たんだか理解できず、頭をポリポリ掻いたレソフィックは困った様子で聞いた。

「あのー、広報の話じゃないんでしたっけ?」
「あ、そうだった!そ、そうなの!」

手を頭の脇でわらわらさせて、慌ててキッカは言われてた用件を切り出した。

「このクラスだけ、こ、広報委員の記事、まだ出てないって・・・、それで係りの者からフォローが・・・、あ、私は係りじゃないんだけど、ちょっと言ってくるように言われて・・・。ら、来週早々に出してもらいたいんだけど」

レソフィックは顔を半分手で覆った。

「来週?!」
「そもそもまだ一つもこの組だけ記事出てないって言ってたけど・・」
「学期に1つ出しゃあいいんじゃないんですか?」
「基本はひと月に一記事よ」
「えー?!そんなに?何書きゃあいいんだー!」
「クラスの人紹介とか、クラスで起こった出来事とかでいいのよ」
「こんなけったいなクラス、ロクな出来事ねえっすよ!あの黒板消しぶっ壊し事件とか?その前は蛍光灯割ったり、割れたガラスの上裸足で歩いたり・・」

ははは・・とさすがのキッカも苦笑いした。

「人の紹介なんて、よけい思いつかねえっす」

するとキッカは何か思いついたようだ。

「そ、そうだ。さ、さっきの、海賊事件の話し、もう少し聞きたいなあ・・」
「海賊事件?あんなの記事になるんすか?」
「新聞報道とかって、なんか自主規制してるみたいで、いまひとつぼかされちゃってて・・・。みんなもっと詳しく知りたいのよ」
「はあ、ありのまま書いたら、海上保安庁とか警察とかメンツ潰れっかもしれないからねえ・・・」
「ね、それ書きましょうよ。あの事件の真相とか、裏舞台とか。きっといい記事になるわ」
「海賊事件ねえ・・」

始業ベルのチャイムが鳴った。

「あ、じゃあね!迷ったら・・・相談に来て」
「ど、どもっす」

キッカはここから遠い自分の教室に向かって猛スピードで走っていった。
その後ろ姿をしばらく見送った後、教室に戻るべく翻ると、入り口のドアの陰にダーニャとハウルとクリスティンが張り付いているではないか。

「な、なんだおまえら!」

女の子達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(6):会場の決定」へ続く!

前回のお話「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(4):黒板消しの予約在庫」


対応する第1部のお話「第1部:第9章 レソフィックの広報記事」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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ほう、分校には戦車道があるんですか。
ガールズアンドパンツァーの精巧な戦車描写は凄かったですね~。

※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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by macinu (2013-04-04 12:32) 

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