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<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(12):とうとう宴会へ> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!


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「片いなか・ハイスクール」連載第292回
<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(12):とうとう宴会へ>


イベントのピックアップが終わって、これからそれを掘り下げていこうというところで、休憩に入った。

「勇夫ー、ジュース補充ー」
「おつまみもなー」
「何で俺なんだよ」

とぶつくさ言いながらも勇夫は飲み物やお菓子などが入った袋を取ってきた。戻ってくるとき何気にその中を覗くと、袋の中に首を突っ込みそうな勢いで叫んだ。

「うおっ!いいものがあるじゃん」
「おお!」

袋の中はハウルが買ってきたワインやジンなどであった。ハウルは受け取った袋の一つから、いかにもおつまみっぽいチーズやらサラミやらを開けて、ナイフで切って皿に盛り始めた。

「氷とかある?カーラ、そっちのペリエとかサイダーもちょうだい。割って飲むのよ」
「やるなあハウル」

とアロンが感心したところで、勇夫も対抗心を燃やし、冷蔵庫にすっ飛ぶと、レモンやグレープフルーツを取ってきた。

「こういうの絞って入れるとさらに旨いぞ」
「へー。勇夫詳しいねえ」
「伊達に一人暮らししてねえって」
「あ、勇夫それ俺のデザート!」

勝手に冷蔵庫から持ち出されたレソフィックだが、

「補充しときゃいいんだろ」

と勇夫もカクテル作りに精を出し始めた。

「しょうがねえなあ」

と言ってレソフィックも台所に行くと、ビールやらウイスキーやらを持って戻ってきた。


『一人暮らしだと、やっぱりこういうもの当たり前のように持ってるのね』

裕美子はそろそろ空になるウーロン茶のコップを持ってその様子に見入っていた。
トイレから戻ってきたリーダーは、そこに並べられた品を見て仰天。

「な、なんだこれは!誰だこんなの持ってきたのは!」
「はーい、みんなでーす」

ハウルが隠すこともなく手を挙げた。

「裕美子も含めたみんなでーす」
「え?」

なんだかはめられたような裕美子であったが、買っているのは知っていたし止めもしなかったので、同罪には違いない。少し困ったような笑いをリーダーに返した。

「血の巡りよくなって、色々思い出せるようになるんだそうだ」

怪しげな説にレソフィックが怪しげな笑いを浮かべてそう言うと、プシュッと缶ビールを開けた。

「喉乾いたろ。まあぐいっと」

ちょっとためらったリーダーだが、さっきから話し合いを主導してよく喋っていたので、確かに喉が渇いていた。警戒しながらも一口ビールに口を付けると、強い炭酸がクーッと喉を潤す。

「プハッ!う、旨いな」
「だろー?」

ニヤリと笑い合うレソフィックやアロン達。
裕美子は黙ってそれらの様子を見ていたものの、勇夫がレモンを絞って炭酸水やジンを混ぜて冷たい飲み物を作っているのが料理の一環のように見えて、興味つつにそれを覗き込んでいた。
そしてできたのをカーラやクリスティンまでが美味しそうに飲んでる。するとハウルが声をかけた。

「裕美子、どれ飲む?」

美味しそうとはいえお酒である。裕美子は少し困った風な顔を向けたが、はたして周りからは困った表情に見えたかどうか・・。

「お酒飲んだことないんですけど・・」

せめて言葉だけは困った風に返したが、それでハウルは気を使ってくれたのだろうか、

「あら、そう。じゃこれなんかいいんじゃない?」

と注いでくれたのは地元片いなか産の甘口の白ワイン。確か買ったワインの中で一番高かったものだ。

「川沿いに果樹園あるでしょ。あそこの葡萄で作った片いなかワイナリーのお薦めのワインよ。甘味たっぷりでフルーティーで、アルコールつんつんしてないから飲みやすいわよ」

妙に詳しいなあと思いながら、ブドウジュースとは違う爽やかないい匂いに釣られて一口飲んでみた。あ、美味しい。

「わあ、おいしいですね、これ」
「あたしこれ好きなのよねー。いつも買っちゃうんだ」

とニコニコするハウル。

「いつもって、よく飲むんですか」

この人は普段どんな生活送ってるんだろう。自由奔放な人だけど、家でもお酒飲めるほど放任されてるのかな。

実際ハウルの家はドイツ系なので、家族のもとでは少々飲むことも許される文化だった。
そんな不思議なハウルのことを考えながら二口目をつける。ふと傾けたグラスの向こうに目をやったとき、裕美子が飲んでるのをアロンが見てるのに気付いた。

『お、お酒なんか飲んでるわたし、見られちゃった』

ぽっと頬が熱くなった。そこにアロンが話しかける。

「飲み口いいからってジュースみたいに飲むと、あとでくるから気をつけなよ」
「ふうん、そうなんですか?」

『そ、それって、わたしを心配してくれてるの?わたしのこと、気になるの?』

少なくとも、どうでもいい存在ではないと認識されてるらしいと分かっただけでも、裕美子はすごく嬉しかった。
まあ実施のところは、お酒初心者に比較的アルコール度数のある口当たりいいものが与えられたのを見て、その行く末を心配されたものではあったのだが・・。

『でもそのアドバイス、アロン君も普段から結構お酒とお付き合いしてるって感じですね。悪い人ねえ』

しかしアロンを見てると、注意してくれた割には、自分ではぐいぐい飲んでいる。飲んでるのはビールのようだ。
ビールはアルコール度5,6%程度。一方ワインは約2倍の12%前後である。飲み方に違いがあるのは当然と言えば当然だった。しかしビールとワインの違いなども判らず、注意をされてはみたものの、ましてや初めてでは自分に合った飲み加減など知る由もない。
しばらくすると顔が熱くなって心臓がドキドキして、見上げた天井が歪んできた。

「あれ?、空がぐるぐる回ってきましたよ」

え?わたしどうしちゃったの?眠気みたいなのが襲ってきて、怠くなってきて、身体起こしてらんない・・

「・・・うわあ、もうだめです」

ぱたりと床に寝そべってしまった。あぁ、カーラさんが心配そうに覗き込んでる・・。

「だ、大丈夫?」

ここはレソフィックさんの家・・・そんなところで寝ちゃうわけには・・・でも起きてるなんて・・・だめだ

「ふわぁ、眠いです。ちょっと寝かせてください・・」

目をつむると、あっと言う間に意識が遠のいた。お酒に弱い、というよりアルコールがあまり身体に合わない体質のようだった。

せっかくアロンと一晩一緒の所にいて仲良くなれるかもと期待したものは、まだ日が落ちた程度の時点で裕美子の方から戦線離脱してしまった。


次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(13):裕美子の知らぬ世界」へ続く!

前回のお話「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(11):記事作り再開」


対応する第1部のお話「第1部:第9章 レソフィックの広報記事(2):飲んだことないんですけど」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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第1部ではセリフの台本のようにさらっと書かれているシーンですが、第2部裕美子視点では根掘り葉掘り詳しく追っていっています。ということは、この後のハウルがやるいたずらも・・・?
期待してる人はいるでしょうか。

※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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コメント 2

macinu

Heineken飲みながソセージつまみたくなりました~(笑)
by macinu (2013-06-21 09:47) 

TSO

macinuさん、ラファエルさん、yamさん、suzuranさん、有城佳音さん、CROSTONさん、いっぷくさん、HAtAさん、(。・_・。)2kさん、F−USAさん、くま・てーとくさん、bitさん、niceありがとうございます。
HAtAさん、お久しぶりですね。
macinuさん、コメントありがとうございます。やっぱビールにはソーセージですか~。ソーセージのレシピも期待してます~。

by TSO (2013-06-23 17:52) 

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