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<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(14):真夜中> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!


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「片いなか・ハイスクール」連載第294回
<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(14):真夜中>


夜中、気分が悪くなって裕美子は目が覚めた。

「うーん、なんか頭いたい・・これって飲みすぎるとなるってアレ?1杯しか飲まなかったと思うけど・・あれ?服ずいぶん乱れてる。メガネも取れちゃってるし・・何も見えないなあ」

くしゃくしゃになった服を正しながら部屋の様子を伺った。
部屋は真っ暗だった。何時なのかも分からない。記事の話しはできたのか途中で投げたのか、とにかく切り上げてしまったことは間違いない。真っ暗な部屋のあちこちから寝息が聞こえるのである。手を動かすと空の酒瓶が当たった。直前までやってたのは酒盛りだったようだ。

「みんな酔っ払って寝ちゃったのね。しょうがないなあ。結局相談事はできたのかしら・・う、気持ち悪い・・お水飲んでちょっと頭冷やそう」

手探りでめがねを探すがない。立ち上がるのは諦め、4つんばいで移動する。

「アロン君どこだろう」

裕美子の横ではクリスティンが平和そうに寝ていた。その向こうでは座布団を抱いてハウルが横になっている。部屋の間取りを思い出しながら壁づたいに台所の方へ移動すると、男の人が横たわっているのに当たった。恐る恐る近付いてみると、それはアロンだった。

「いた。これそうだ」

仰向けで大の字になって寝ている。メガネなしでも確認できるくらいということは、この距離は今までで一番近くまで寄ったことになる。

無防備にわたしの前に横たわって・・・襲っちゃうぞ?って、うふっ。どうやって襲ったらいいんだろ。

胸がドキンドキンと高鳴る。お腹の上の方がきゅんきゅんする。

「さわっちゃおうかな・・」

手をちょっとにぎってみた。大っきな手。肉厚で節とか太くて、かっこいい。手の温もりを確かめながら裕美子は少し悲しげな顔になった。

『わたしは本当にこの人と付き合ったりしちゃいけないんだろうか・・・こんなに好きな気持ちがあるのに。でも、わたしはいつか裏切ってしまう。
せめて一度だけでも、この人の胸の中に飛び込んでみたい。あの事件で受けた精神ダメージのせいで人が恐くなったはずだというのに、この人とは触れ合いたい・・・』

そう思ったとき、アロンのすぐ横で黒い陰が動いたような気がした。いや気のせいじゃない、もそっと動いてる。アロンのお腹の上を越えて顔を近付けると、ぴったりくっついて誰かいるのが分かった。ふわっと匂ってくる香りは女の子のものだ。

「え?誰これ。女の子みたい・・・」


顔をさらに近づけてみると、それはカーラだった。

「え?!カーラさん!」

がばっと身を引き起こして後ずさった。暗闇でなおさらピントが合わないが、一塊になっている2人の黒い体をみつめた。

「カーラさん、そうなの?」

わたしはアロン君の隣にいるから、彼のところにやってくる女の子はたいてい見知っている。カーラさんもハウルさん達とよく来る人ではあるけど・・・

「・・・アロン君、わかって寝てるんだろうか。カーラさんといい仲だって話は聞いたことないけど、だとしたらちょっと隙ありすぎなんじゃない?」

それとも、今日ここで一緒にいて意気投合しちゃったんだろうか。わたしが寝てる間に・・・。アロン君はみんなに優しいけど、親しくする女の子は結構選んでる。そういえばカーラさんは嫌がられてないよね・・・
有り得ない話じゃない。だけど、いきなりこんなところで寄り添って寝ちゃうような仲にまで発展させちゃうような人だとは思わなかった。

少々腹が立った裕美子は、台所への移動ついでにアロンの頭を後ろ足でパコンと蹴飛ばした。

「あいて!」

しかし起きることなく、そのまま睡眠のかなたへ。

「ふんっ!」

水を1杯飲んで顔を洗った後、裕美子は手探りでバルコニーへ出た。


次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(15):ゲロ吐き兄ちゃん事件」へ続く!

前回のお話「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(13):裕美子の知らぬ世界」


対応する第1部のお話「第1部:第9章 レソフィックの広報記事(4):リーダーも変身?!」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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第1部ではセリフ2個しかなかったところを、裕美子視点で詳しく追いかけるとこんなだったのでした。移動途中に見えなくて偶然蹴飛ばしたのではなく、腹が立ってやったことだったんですね。もちろん第1部ではそんな背景を書くわけにもいかず、あんなふうに流しちゃってたのでした。
第1部にあって第2部では省かれてしまったのが、お酒が入ると変容するカーラちゃんのこと。このことを知らない裕美子ちゃんがこの後しばらく「??」な状態になりますので、読者の方は一度
「第1部:第9章 レソフィックの広報記事(3):カーラってお酒入ると・・」
も目を通されるとよいかと。

※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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F−USAさん、bitさん、ネオ・アッキーさん、いっぷくさん、(。・_・。)2kさん、yamさん、ぼんぼちぼちぼちさん、alba0101さん、猫きちさん、ふぢたしょうこさん、有城佳音さん、macinuさん、niceありがとうございます。
by TSO (2013-07-21 21:03) 

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