So-net無料ブログ作成

<第2部:第7章 隣町への買い物(5):隣町へ移動> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第304回
<第2部:第7章 隣町への買い物(5):隣町へ移動>


みんなは片いなかの駅に向かい、30分に1本程度でやってくる電車に乗った。目的の店は隣の駅の街にある。乗車時間はおよそ15分である。電車には自宅へ帰る分校の生徒の他、金曜なので遊びに行くと思われる生徒や、分校と同じ最寄り駅の短大生なども見受けられた。

電車に乗って遊びに行くなどほとんどすることがなかった(というかできなかった)裕美子は、少々落ち着かないでいた。電車が出発し、川を渡って片いなかの駅が小さくなり家からどんどん遠くなっていくと感じると、不安が濃くなってきた。
と、そこにリーダーが声を掛けてきた。


「ここ、こ小泉さん、か、鞄、網棚に載せましょうか?」

そわそわしていたのを、荷物が重いせいと思われたんだろうか。

「大丈夫です」
「でもほら、手、あ、空いてないと、揺れるから、危ないですよ」

確かに片いなかの鉄道は、線路が悪いのか車両のサスペンションが悪いのか、飛び跳ねるようによく揺れていた。

「片手、空いていれば、手すり、掴めますので」

するとそこで、横にいたクリスティンが閃いた。

「ねえねえ、ちょっとゲームしましょ!」

そう言ってぐいぐいとすり寄って、裕美子をリーダーのすぐ横になるまで詰めた。

「いっせーのせで、手すりから手を離してください。手離したらもう駅に着くまで手すりに掴まっちゃいけないですよぉ」

びよんびよんと跳ねる車両では確かにずっと手すりに掴まらないというのはなかなか難しそうだ。クリスティンの期待は、バランスを崩した裕美子がリーダーに抱きついてしまうという事態が発生することだった。

「いいですか?いきますよ?せーの!」

合図でリーダーと裕美子、クリスティンは一斉にぱっと手すりやつり革から手を離した。
最初の30秒くらいの間の揺れで、既にクリスティンはもう危なそうになってた。そして、次の大きな揺れでとうとう裕美子の肩を掴まないと立ってられなくなった。裕美子はそれでも何も掴むことなくクリスティンを支えた。

「ユ、ユミちゃん、バランスいいわねえ」
「いいえ。けっこうこの電車、手強いです」

向こうでリーダーが笑っているが、少々ひきつり気味。やせ我慢笑顔のようである。
そしてとうとう、ばむっと弾んだ上に急カーブという激しい挙動が発生した。

「うわおぅ!」

リーダー派手にバランスを崩す。そして裕美子の方に倒れ込んだ。接近してきたリーダーを裕美子はすっとかわして避けてしまい、裕美子を通り越したリーダーは片足でおっとっとと跳ねてクリスティンとの衝突コースになった。

「きゃあ、リーダーあぶなぁーい」

なんとクリスティンは倒れ込んでくるリーダーを両手を広げて受け止めようとした。広げた両手の真ん中には大きなクッション、クリスティンのふくよかな胸が待っている。
迫る巨乳に、これは衝撃を吸収してくれる最高のエアバッグだと思ったのもつかぬ間、それを遠慮なく使用したら、他の男子から大変な非難を受けると一瞬で悟ると、ものすごい無理な姿勢で無理やりクリスティンを避けて、海老ぞりにながら向こうの床に後頭部から倒れていった。
派手な転倒音にアロン達も一斉にそっちを向く。勇夫がぶはっと吹き出して「何やってんだリーダー!」と大笑いした。
仰向けに倒れているリーダーのところに裕美子とクリスティンは急いで駆け寄った。

「きゃあ!だいじょうぶぅ?」
「ごめんなさい、わたしが避けちゃったばっかりに・・」

クリスティンはリーダーの前で前屈みになって覗き込み、

「リーダー、何で避けちゃったの?遠慮しなくてよかったのに~」

と声をかけるが、リーダーの目線は前屈みになったせいでいっそうぽよよんと揺れるクリスティンのアレに・・・。

「う、うわ・・いや!いててて!・・いいえ、こ、この様、見て下さい。ぶつかってたら大変なことになってたよ、きっと・・」

遠慮しなかったら、いろんな意味で大変なことになってたに違いない。
勇夫がやってきてひきつり笑いしながら引き起こすのを手伝い、

「り、リーダーえらい!・・ひひひひ・・・婦女子を巻き込まないなんて、お、男の鏡だな、・・くははは!」

と褒めてるのかわからないたたえ方をしていた一方で、

「いやいや、本当に立派だったぞ、リーダー」

とミシェルはエアバッグを使わなかったリーダーを本当に褒めていた。

電車は次第に減速し、隣の駅に滑り込んでいった。


次回「第2部:第7章 隣町への買い物(6):帽子屋さん」へ続く!

前回のお話「第2部:第7章 隣町への買い物(4):待ち合わせ」


対応する第1部のお話「第1部:第10章 リーダー相談する(4):リーダー、引っ掻き回す」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



Copyright(c) 2009-2014 TSO All Rights Reserved




移動する電車の中は第2部のみのシーン。相かわらずのドタバタです。クリスティンは第1部に書かれている理由で何かとおせっかいを焼こうとしますが・・・


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



ぽちっと応援してください。
にほんブログ村 小説ブログ 学園・青春小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 イラストブログ オリジナルイラストへ
にほんブログ村
にほんブログ村 漫画ブログ 4コマ漫画へ
にほんブログ村

nice!(16)  コメント(2) 
共通テーマ:コミック

nice! 16

コメント 2

コボ

こんばんは。
ご訪問&nice!有り難うございます(^^)。
by コボ (2014-01-19 22:14) 

TSO

やってみよう♪さん、yu-papaさん、ネオ・アッキーさん、ゆか蔵さん、コボさん、yoshihiroさん、mahimahiさん、(。・_・。)2kさん、いっぷくさん、ぼんぼちぼちぼちさん、tonomaru521さん、げいなうさん、司馬亮さん、有城佳音さん、copperさん、hide-mさん、niceありがとうございます。
コボさん、コメントありがとうございます。

by TSO (2014-01-26 15:56) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。


☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆




この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。