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<第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(10):泊れなかった、けど・・> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第316回
<第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(10):泊れなかった、けど・・>


みんなは自転車の置いてある東屋の所まで戻ってきた。たまにここまで飛んでくるホタルもいた。

「あの木に集まったホタルは盛観だったねえ!」
「まだこんなに飛んでるとは思わなかったよ」
「私の普段の行いがいいからね、きっと」
「おめーじゃなくて、俺のおかげかもしんねーぞ」
「何言ってんの。アンタいなけりゃ私、ホタルを身にまとってたわよ。アンタのマイナスより私のプラス効果の方が高かったから、なんとかあれだけ出てくれたのよ」
「てんめ~」

勇夫とハウルがまた火花を散らし始めたので、

「その不毛な戦いやめろ。どっちもどっちだ」

アロンが勇夫にげんこつを入れた。

「すごいよかったわぁ、ありがとう。来年もまたよろしくねぇ」
「また、連れてってね」

クリスティンとカーラも満足そうだった。

「いいけど、誰にも言うなよ」

アロンの念押しにレソフィックが付け加える。

「来年はもう少し早い時期にしような。勇夫とハウルは呼ぶのやめようか。喧嘩しそうだし」
「ええ?!」
「大丈夫よぉ~、二人は実は仲いいんだから」
「じょうだん!誰が・・」
「ハウル~?行けなくなっちゃうよぉ?」

クリスティンがハウルに額をくっつけそうなほど寄ってニコニコ顔で威圧してた。
口を半開きにして行く末を見てた裕美子だが、来年なんて自分にはあるのだろうかと思っていた。ちらっと目をアロンにやったら、偶然にも目が合った。

「小泉もまた行くだろ?」
「・・いいんですか?」
「もち。リーダーには秘密だかんね」
「うん・・言いません」
「じゃあ帰ろうか。町まで戻ったところで解散な」
「はーい」






街灯一つない農道の真っ暗な道も、レソフィックのバイクのライトのおかげで不安なく集落の近くまで戻ってこれた。
サンドイッチ屋「HighWay」の近くの交差点で解散となった。

「じゃあ解散」
「きーつけてなー」
「サンキュー」
「バイバーイ」

男の子達は坂道をすごいスピードで下って消えていった。

「それじゃ私ん家行きましょー」

ハウルが手を挙げて言った。だが裕美子は、さっきのカーラへの嫉妬心と、そんな気持ちが湧いてしまった自分への後ろめたさで、また気持ちが萎えていた。

「・・ハウルさん、わたし、やっぱり・・・帰ります」
「えー?ガールズトークしに行こうよー」
「すみません・・なんか疲れちゃって・・・」
「あら大丈夫?」
「少し回復するまで、ハウルん家で休んでいったら?ユミちゃん家より近いよ?」
「でも・・・」

みんな心配してくれてる。なのにわたし・・

ハウルが近寄って額に手を当てた。

「熱とかはないみたいねえ。無理には誘わないけど。休むなら自分の家の方が休まるだろうし」
「すみません・・」
「じゃあ途中まで一緒に行こう。ゆっくりね」

みんなこんなに優しくしてくれてるのに、わたし何やってんだろ・・・


しばらく行った交差点がハウルの家との分れ道だった。

「ごめんなさい。なんか、付き合い悪くって・・」

カーラとクリスティンがにっこりと返した。

「体調悪いんじゃしょうがないじゃん」
「そおよぉ?ゆっくり休んでね。また今度お泊まりやろうね」
「ありがとう」

ああ、自分がどんどん嫌になっていく。

「一人で大丈夫?」
「ええ。そこまでは酷くないですから・・」

するとハウルがくいっと顔を近付けてきた。そしてハウルにしては珍しく小さな声で言った。

「なんか、あなたいろいろありそうな感じだけどさ。私とか全然平気よ?」

えっ?と顔を上げた。

「いろいろ思い切って話すと、少なからず方向が見えて来るもんよ?」

ポンポンと肩を叩かれた。

「また誘うから。じゃねっ」
「気を付けてね」
「またね~」

3人は手を振りながら走り去っていった。

ハウルさん・・。
もしかして彼女には、みんな判っちゃってるんじゃないのかしら。
・・・今回は泊れなかったけど、・・・次、がんばるね。


次回「第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(1):宿を探せ(1)」へ続く!

 前回のお話「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(9):ホタル乱舞」


対応する第1部のお話「第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(5):あなたも私を探して」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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というわけで、ホタル鑑賞の章終わりです。
第1部にはなかった前後のお話をいろいろ継ぎ足して、ずいぶん長くなってしまいました。
次章は夏休み直前の、夏のエピソード前編のお話を、主に裕美子ちゃん視点で追っていきます。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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by TSO (2014-05-31 23:00) 

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