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<第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(1):宿を探せ(1)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第317回
<第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(1):宿を探せ(1)>


7月2週目の木曜日。この日の午前で期末試験が終わった。

裕美子はカーラ、クリスティンと一緒にハウルの席に集まっていた。ハウルは今日の試験結果に不満な顔をして、裕美子に向かって口を尖らせた。

「なにあの社会科の時事問題って」
「大都会商事とリゾート開発公社の癒着問題の事だと思いますよ?」
「え?国内の事件だったの?!もっと世界を賑わせてる話題が他にあるじゃない」

カーラもこれには不満なようだった。

「だとしたら国内事件にしたってマイナーチョイス過ぎよね」
「社会の先生、ゴルフやるからじゃないですか?リゾート開発公社が作ったゴルフ場、大都会商事の人は半額で、急な予約も通ったそうですから」

社会の先生は授業の中でよくゴルフの自慢話をしていた。結構な腕前なのだろう。クリスティン涼しげないつも通りのニコニコ顔で話に加わった。

「個人的な恨みを問題にされちゃあねぇ。それでハウル、もしかして追試になりそうなの?」
「まさか。あの問題捨てたところで追試なんかにならないわよ。追試になったら来週の消化試合授業まじめにやらなきゃなんないじゃない」

試験後から夏休みの間のどうでもいい授業のことを分校では消化試合と言っている。学生はもちろん、先生も採点や学期成績つけがあるからまじめに取り組んだ授業はせず、自習やレポート書きのようなのが多い。赤点取った者には追試があるが、関係ない生徒はその日は休みになる。

「じゃ、来週の追試の日はみんな休日ね。どっか遊びに行く?」

そこにミシェルとジョンがやってきた。

「ハウル、夏の旅行の話やりたんだが。これからカフェテリアでいいか?」
「あ、わかったわ。じゃあクリスティン、私あっち行っちゃうから先帰っちゃっていいわよ」
「は~い。ミシェルさんたちを怪我させないようにねぇ~」




夏の旅行準備メンバーが、試験開けで力の抜けた空気で覆われる学校の廊下を、カフェテリアに向けて歩いていた。夏の旅行とは、夏休みに1年C組で有志を募って泊りがけで海へ行こうという企画である。場所は白い砂浜が綺麗な「ダリ・ビーチ」というところが候補だった。準備メンバーは発案者のミシェルの他、ジョン、ハウル、シャノンが担っていた。
ハウルがミシェルを見上げた。

「ミシェル、宿見つかったの?」
「いや。試験も終わったし、これから本格的に探す」
「大丈夫?ダリ・ビーチって人気スポットでしょ?」
「当たってみるしかねえよ」
「片いなかトラベルに聞いてみようか!」

ハウルと並んでちょこまかと歩いてたシャノンが声を張り上げた。

「シャノン、地元の会社は情報リークの可能性あるから、極力使いたくないんだ」

夏の旅行は学校に内緒の企画なのだった。部活やクラス単位での行事は顧問などの先生の付き添いが必要な決まりである。もちろん個人旅行を規制するものではないし、この企画はクラス行事でもなんでもないのだが、C組の有志と言っても結局全員が参加することになったため、何か問題起こせば突っ込まれることは間違いないし、この片いなかで一クラス分の生徒が一遍に動いていたら、それだけで目立つというものだった。

「よーし、ジョン、宿一覧検索して出して!ミシェル、片っ端から電話するわよ」

そう言ってミシェルのポロシャツの胸ポケットにあったケータイを抜き取った。

「お、俺のケータイで?!電話代が!」
「お腹減ったよー」
「あらシャノン。・・それじゃ駅前のファミレスに移動しましょうか。お子さまランチの割引券あるわよ」


次回「第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(2):宿を探せ(2)」へ続く!

前回のお話「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(10):泊れなかった、けど・・」


対応する第1部のお話「第1部第13章 夏のエピソード前編(1):恋愛相談所にいたのは・・」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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新章に入りました。章タイトルは「宿探しと美女の告白と許嫁」と、何の繋がりもなさそうなものが羅列されてますが、第1部をお読みの方は全て繋がると思います。対応する「第1部13章 夏のエピソード前編」のキーワードですね。
この章の物語は1学期期末試験直後から始まります。

ところで第1部では期末試験最中のお話が一つあります。「第1部12章 カーラの誕生日」です。これはアロン君とカーラちゃんだけのお話で、裕美子ちゃんはもちろんこのことを知りません(知ることになるのはもうちょっと後です)。
この「カーラの誕生日」のエピソードは片いなか・ハイスクールの下書き段階にはなかったものです。第1部でこの辺まで話が進んでくると、アロン君の彼女候補は好意を寄せていることが見えているカーラちゃんで、隠しキャラの裕美子ちゃんはもちろん単なる脇役にしか見えませんでした。そんなわけだから、当時読んでくれていた方々からはカーラちゃんを応援するコメントが寄せられておりました。それに答える形でカーラちゃんをもっと持ち上げるために書いたエピソードのうちの一つなのです。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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by TSO (2014-08-28 20:33) 

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