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<第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(2):宿を探せ(2)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第318回
<第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(2):宿を探せ(2)>


期末試験開けの翌日は金曜日だった。
夏休みまでの残りの日にちは消化試合とみんなが呼んでいるどうでもいい授業や、レポート作成程度のぬるけたもののために学校に来る。後は部活のある人は部活に精を出し、何もない人は帰ったり遊びに行ったりと、半ばプレ夏休みという感じだった。

わたしが担当している備品管理係の仕事のうち、消耗品補充は通常月初めに行うのだけど、期末試験を控える7月は試験開けの日にずらされていた。つまり今日。
業者も勝って知ったるもので、普段なら授業中のはずの10時頃に堂々と荷物を届けにきた。そのころC組の教室は自習状態だった。

『1年C組小泉さん。片田舎運送の方が来ています。駐車場までお越しください。繰り返します・・』

「まあ。本当に授業中にやってきたわ」

横を向くと、厚い歴史の教科書にパラパラマンガを作成中のアロン君に声をかけた。

「・・アロン君、また入庫のお手伝い、お願いします」

アロン君はぱっと顔を上げると、嬉しそうにほころんだ。

「やった、この退屈な自習から抜け出せる」

わたしは立ち上がると、アロン君を連れ立って、がやがやと騒がしい教室の後ろを抜けて出ていった。廊下に出たところでアロン君を見上げた。

「わたしとのお仕事を喜んでもらえるなんて思いませんでした」
「時間つぶしみたいな課題やんのつまんねえじゃん。体動かす方が好きだし」

そうよね、わたしと一緒なことを喜んでる訳じゃないよね。でも、なんであれ、一緒にいられるのはやっぱり嬉しい。





いつものように借りた台車にアロン君が荷物を積み上げて、倉庫の前まで運んできた。
備品倉庫の扉を開けたとたん、中から吹き出す熱風に驚いた。

「あっちい!なんだこりゃ!」
「朝から日が当たってますものね。でもこれ、午前だからいいものの、昼過ぎとかだったらもっと酷いですよ」
「このまま扉開けて、しばらく換気しようぜ」


倉庫の換気と、暑くてはかどらない補充作業に消耗品台帳の更新は、たっぷり1時間かかった。

「小泉、顔真っ赤だよ。首の所も汗だくだし」

わたしは作業するため髪を後ろで縛って束ねていたので、アロン君はいつもは見えないうなじを見て言ったのだろう。束ねたところでわたしのもわもわとしたくせ毛は、リボンで縛った所だけがきゅっと窄まっているだけで、その先ですぐに広がってしまう。アロン君を見ると、いかにも「この髪は暑そうだなあ」という眼差しをしていた。

「こんなになるとは、前任者からも聞いてませんでした。次回は扇風機とか用意しましょう」
「前任者って、あの先輩?今年も係りなんだろ?」

あの先輩とは2年生のキッカ先輩のことだ。先月の補充の時、アロン君と仲良くなりたい生徒会の他の2年女子の人と変な色目使った行動を取ったものだから、アロン君は煙たがって避けるようになってた。

「呼んだ方がよかったですか?」

ブンブンと首を横に振った。

「いい、いい。いない方がはかどりそうだし」





教室に戻ると、2時間ぶっ続けの自習授業は休み時間も同然の状態だった。
入り口のドアそばに座ってるハウルさんが、入ってきたわたし達を見上げた。

「どうしたの?2人とも。汗びっしょりだよ?」

じろじろとわたし達を舐め回したハウルさんは急にニタァとした。

「やぁねぇ、あなた達、倉庫で何やってたの?」
「に、荷物の搬入だよ!閉めきってあったから暑いんだよ、倉庫は!ほ、他に何がある?」
「ほんとう?違うことしてなぁい?」

ハウルさんは一層にやにやした。

「するわけねえじゃん!な、何言ってんだ!」

わたしは頭の上にハテナを浮かべて、特に何の感情の起伏もなく

「危険な暑さでしたね。終わった後で飲んだ冷たいお茶がおいしかったです。あ、アロン君にお茶奢ってもらいました」

と答えた。

「うふふふふ、何が終わった後?」
「だから荷物搬入だって!・・・ったく。ハウル、こないだのホタルの時の写真できてっから。後で来いよ!」
「ほんと?、サンキュー」

逃げるようにアロン君はそこを立ち去った。席に戻ったところでわたしはアロン君に尋ねた。

「さっきのハウルさんの、何です?どうしてアロン君、慌ててたの?」

すみません本当に分からんのですか?、とアロン君は顔中に書いた表情をわたしに向けた。

「マジで聞いてんの?」
「?。はい・・」

アロン君はなんだか顔を赤くして、目線をそらしながらやや声のトーンを落として言った。

「だ、だから、・・倉庫で・・2人で・・変なことしてたんじゃって、勘ぐられたんじゃん・・」
「変なことって?」
「だ、だからよ・・、あ、あれだよ・・・」
「あれ?」
「え、エッチなことだよ・・」

一瞬きょとんとしたが、珍しくわたしは感情通りの顔になって、

「えええ?!」

と慌てた口調で驚きの声を上げた。

「わたしとアロン君が?!」

ぼふっと顔が火のようになって下を向いた。エ、エッチなって・・

「・・・・て、手繋いでたり?・・抱き合っちゃったり?・・し、したりしてたって思われて?」
「たぶん・・小泉が考えてる程度のことなら、エッチなことなんて言われないと思う。・・も、もっと、破廉恥なヤツだよ」

破廉恥?

また分からなくなった顔を向けた。も、もしかして・・?

「ふ、服脱いだりとか・・?」

わたしがそう言うと、アロン君は目線をそらしたまま赤くなってこくこくと頷いた。

えぇっ?!

声は出ぬまま口がガバッと大きく開いてしまった。爆発寸前のボイラーのようになった顔の前で、両手で景色をかき消すように激しく振った。

「&#”?@@%?!!」
「なに・・言ってっか、分かんねえ」

正面に向き直ると、机の上に震える拳を並べて、赤一色になった顔をうつむいた。
暫くして深呼吸を2回くらいすると、ようやく何か言えそうな状態まで回復した。ちらっとだけアロン君の方を向いた。

「そ、そうでしたか。す、すみません、フォローできなくて。そういうの、う、疎くって。」
「ははは・・」
「あ、あんまり知らないんで・・。そ、そうですか、その行為は、そんなに汗だくになるんですか?」
「こ、答えるべきなのか?それには・・」
「だいたい、人を見て言ってほしいです。わ、わたしとアロン君が、そういうことする人に見えますか?なに考えてるんでしょう、女の子なのに・・」
「あいつも思春期だろうからねぇ・・」
「よ、よくわかりません。気持ち悪い・・」

なんでしょう。アロン君は少し残念そうな表情をしてます。アロン君を気持ち悪いと言ったように捉えられたのかしら。

すると話題の人がクリスティンさんとカーラさんを引き連れてやってきた。

「アロン、写真見せてー」


次回「第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(3):宿を探せ(3)」へ続く!

前回のお話「第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(1):宿を探せ(1)」


対応する第1部のお話「第1部第13章 夏のエピソード前編(1):恋愛相談所にいたのは・・」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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定番となった裕美子ちゃんとアロン君の委員のお仕事でしたが、少しお色気を織り交ぜて。。
第1部では省いていた委員のお仕事を並べると、結構裕美子ちゃんとアロン君は普段接点あったってことになります。あまり書き連ねると隠しキャラだった裕美子ちゃんが目立ってしまうので第1部ではめったに出てこないシーンなのですが、書き手が情報操作しているようで少々卑怯でありますが、お許しください。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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by TSO (2014-08-28 20:32) 

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