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<第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(3):宿を探せ(3)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第319回
<第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(3):宿を探せ(3)>


アロン君の席の所にはハウルさんやクリスティンさん、カーラさんに、レソフィック君も集まってきた。わたしはアロン君の隣の席なので、自然とその輪に取り込まれている。みんなはアロン君が焼いてきた、こないだのホタル見学の時の写真を見に来たのだった。


「あ、クリスティン、これあなたの手のひらの上に乗せたホタルの写真じゃない?」

クリスティンさんはカーラさんの差し出した写真を受け取ると、じーっと凝視した後、写真を色々な角度にくるくる回して確かめるように眺めた。

「光るホタルの向こうに私の顔があるはずなのに、ぜんぜん写ってないわぁ」
「フラッシュ焚いてないからねぇ。しょうがないんじゃない?」

カーラさんの隣のレソフィック君も首を少し伸ばして覗き込むと、すぐコメントを返した。

「フラッシュ使ったらホタルが単なる虫になっちゃうだろ」

クリスティンさんはぱっと顔を上げると、全ての謎が解けたような穏やかな笑顔になった。

「そおかぁ。ホタルの美しさはあの淡い光であって、光るものの正体を見たいわけじゃないものねえ。それにフラッシュ焚いて、手のひらの上の虫の正体がコックローチだったりしたらびっくりしちゃうもんねぇ」
「そ、そんなことになってたら俺は行かねえよ」

そこにアロン君が1枚の写真をカーラさんへ差し出した。

「ほら、カーラ。ホタルが木に集まったときの写真」

それはあの日一番のハイライトシーンだった。アロン君がその写真を真っ先にカーラさんに見せたことをわたしは気付いた。

「あ、ありがと・・・。わあ、クリスマスツリーみたいね。・・でも思ったほど数多くないわね」
「やっぱりホタルの光が弱いのと、点滅のタイミングなんかのせいで全部のホタルの光が写ってる訳じゃないから」
「そっか。そ、そしたらバルブ開けっ放しにして、一定時間の光全部写したらいいんじゃないかな?」
「ご、ごめんよ、テクニックなくて。カーラ、詳しいね」
「カメラに夜景モードとか花火用のとか、便利なの付いてるわよ、きっと・・」
「そうかな。説明書読んでないからな」
「読んでないの?だめねぇ。・・じ、じゃあ、今度持ってきてみてよ、説明書・・」
「あ、うん。わかった。カーラに教えてもらおう。いろいろ試してみたいね」

ちょっとカーラさんぎこちないけど、なんか仲良さそう。・・羨ましい。やっぱりこの2人は惹かれ合ってるのかな・・。よかったね、アロン君・・。

アロン君を応援しなきゃ、邪魔しないようにしなきゃ、と念仏のように心の中で唱えた。

ハウルさんは一通り見終わると、持っている写真の束をクリスティンさんに渡し、アロン君の方に向き直った。

「ありがと。あとでデータディスクで頂戴ね。でも、写真では、あの湧くように出てきた感動は表現できないわね」
「悪かったな、写真撮るのヘタで」
「そういうこと言ってるわけじゃないわよ。やっぱりあれは生で体験するものだわ」

カーラさんも写真をめくりながらハウルさんに同じた。

「ほんとうに。実際見たのは写真じゃ想像つかないような感動ものだったわ。でも、最初写真見せてもらったときもすごく綺麗って思ったわよ」

椅子に頬杖してるレソフィック君が全てを悟ってるかのように言った。

「百聞は一見にしかずってことさ。写真じゃ本物は伝えきれないんだよ。本物見た後なら写真だけでもあの場面が浮かぶけどさ」

クリスティンさんが見終わったのを1枚ずつ受け取って黙々と見ていたわたしに、アロン君がまた別の1枚の写真を差し出した。

「ほら、これ小泉の頭の中にいたホタル」
「え?あのとき写真撮ってないですが・・」

受け取ったのを見たけど・・・はて?

「あの、これ、草むらです」
「あれ~?違った?」
「・・もしかしてわたしをからかおうなどと?いい度胸してますね」
「え?!やばっ、怒らしちゃった?ご、ごめん?!」

「ところでハウル、宿決まったのか?」

レソフィック君の問いかけにハウルさんは首を横に振った。

「ぜんぜん」
「見つかんないの?」
「期末考査前から探してるはずだろ?」
「昨日午後電話かけまくったけど、あの人数がネックねで。もうミシェルはダリ・ビーチ半分諦めモードになってるわ」
「夏休み迫ってるし、ダリ・ビーチ以外だってそろそろやばいんじゃねえ?」
「今日も片っ端から電話かけまくるつもり。そんなわけでクリスティン、私は今日もミシェル達と帰るから」
「わかったぁ。・・けど、ミシェルさん達ご無事?大丈夫?達者でいる?」
「ん?」
「ここんとこよく一緒になるけど、迷惑かけてなぁい?」
「大丈夫よ~。死にゃあしないって」
「命にかかわる事だけはしちゃダメよぉ」
「分かってるって。あははは」

ニコニコと笑顔で交わす2人だったけど、その中身はなまじ冗談でなかもしれないということをみんなは悟ってるようで、カーラさんやアロン君は手を合わせてまるで祈ってるみたいだった。


次回「第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(4):宿を探せ(4)」へ続く!

前回のお話「第2部:第9章 宿探しと美女の告白と許嫁(2):宿を探せ(2)」


対応する第1部のお話「第1部第13章 夏のエピソード前編(1):恋愛相談所にいたのは・・」、「第1部第13章 夏のエピソード前編(2):脱げないパンツで対抗?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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この後女子と別れたアロン君とレソフィック君は、ここにはいなかった勇夫君と合流します。そこで勇夫君は別行動を取っている間に偶然聞いてしまった驚くような話をアロン君達にします。このお話が第1部13章<夏のエピソード前編(1):恋愛相談所にいたのは・・>と、「夏のエピソード前編(2):脱げないパンツで対抗?」です。
裕美子ちゃんはもちろんこのことを知らないので、裕美子ちゃん視点のみで話を進めたい場合は読まずに進んでいただいて構いません。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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TSO

ネオ・アッキーさん、ぼんぼちぼちぼちさん、シルフさん、copperさん、yu-papaさん、ほちゃさん、さらまわしさん、いっぷくさん、(。・_・。)2kさん、やってみよう♪さん、bitさん、F−USAさん、Ujiki.oOさん、niceありがとうございます。
by TSO (2014-08-28 20:36) 

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