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<第2部:第10章 夏のエピソード(4):ダリ・ビーチで露店に寄ってます> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第328回
<第2部:第10章 夏のエピソード(4):ダリ・ビーチで露店に寄ってます>


わたし達はダリ・ビーチの駅に着いた。白い地中海風の駅から出ると、彼方に真っ青な海が見える。みんなのテンションも否が応でもあがっていった。わたしは海があんまり好きじゃないのでそれほどでもなかったが、南国の風景はいい気分転換できそうで、結構足取りは軽かった。

その海へ向かってみんなはわいわいと賑やかに歩いて行く。道の脇には露店がいくつかあって、食べ物を売っている店からアクセサリーなどを扱っている店までいろいろ並んでいた。ここの海で獲れたんだろうか、貝を寄せ集めて作った置物なんか結構凝っている。
そしたら先頭の方で歩いてたハウルさんが1軒の店の前で足を止めた。

「わあ、おいしそう」

果物を売っている店だった。
すかさずリーダーがすすっと近くに寄っていった。現地に着いたことで、監視の目を強化し始めたリーダーが、今最も何かしでかしそうな人物の警戒に当たっているのだ。特急の通過待ちをした海産物店が出てた駅で、ハウルさんが電車の窓から出入りする暴挙を止められなかったことに少なからず失態を感じていたようなので、次は阻止しないとと目を光らせてるみたいだ。

「どうね、一つ食うてみ」

お店のおばちゃんが試食用に小さくカットされたパイナップルを差し出した。

「う~ん、あまーい!おいし~~」

露天にはパイナップルの他、ドラゴンフルーツとか、この季節の名物マンゴーとかのトロピカルフルーツが一杯あって、ウォルトさんがさっそくマンゴーを買い求めてたが、ハウルさんが目を付けたのはスイカだ。スイカは漢字で「西瓜」と書くけど、ここで売っていたのは日本でおなじみのまん丸のではなく、如何にも瓜というような形をした細長いのだった。しかも巨大!。

「ねえ!これ買おうよ!」

リーダーがぎょっとする。

「ど、どーすんだこんなの」
「食べるに決まってるじゃん。海でスイカと言えば、確か日本だと思ったけど、必ずやらないと災難に見舞われるって行事があるのよ」
「え?災難?!そ、それは避けないと・・ってそれホントなのか?」
「ほんと、ほんと。私日本通なんだから~」
「すごい胡散臭いんだが。ホントなんですか?小泉さん」
「へー、何やんの?」

疑わしいのでリーダーが日本人のわたしに問いかけた。パウロさんやアンザックさんも興味津々にわたしの答えを待っている。視線が集まってきてちょっと怖気づいてしまったが、何とか答えた。

「さ、災難にってのはないですけど、海や川でスイカがあるとよくやることは、あります」

そこにクリスティンさんが平和な顔で話しに入ってきた。

「災難はねぇ~、ハウルの欲求を適当に満たさないと必ずやってくるものなのよ~」
「マジか!」
「か、買おう!津波来るかもしんない!」

クリスティンさんの言にビビるアンザックさん。
あはは・・とややあきれ顔のカーラさんが改めて聞いた。

「それでスイカで何やるの?」
「スイカ割りです。目隠しした状態で棒持って、見事割ることができるかって遊ぶんです。割れたら勿論みんなで食べます」
「わー、おもしろそうじゃーん」

シャノンさんがはしゃいだ。

「だよね?私買っちゃうから!お金は私持ちでいいから」
「世界平和のために、ハウルのおうちからは潤沢な資金が提供されてるのよ~」
「どうりで遠慮なく買い食いしてるわけだ」
「おばちゃーん、その一番おっきいの!」
「おおきに。甘ぇよ~。うちの畑の折り紙付きよ~」
「わー期待しちゃうわ!シャノーン、これもう私達のものよ!」
「わーい」

シャノンさんがゲットした巨大なスイカに取り付いた。しゃがんで抱え込むが、ふーんと唸って引っ張るも全く微動だにしない。何度か試みたあと、立ち上がって振り向いて、

「ウォルト、持って!」

と言った。

「えー?冗談じゃねえよ」
「どれくらい重さあるんだ?」

ジョンさんが来て抱えて持ち上げてみる。なんとか地面から離れたが、見るからに大変そうで、膝の辺りまで持ち上げたところですぐ降ろしてしまった。

「こ、これハンパないぞ!どうやって持ってくんだ?」
「男でしょ、だらしないなぁ」
「買っといてそれはないだろ。どうすんだ責任取れ!」
「クリスティン、欲求通り買ったけど、災難降りかかってるぞ。どうすりゃいいんだー」

リーダーが頭抱えて涙目になった。

「頼りになんない男共ね。そうだ、勇夫達どこまで来てるかな」

ハウルさんはケータイを取り出すと勇夫君に電話をかけた。

「ハロー、ハウルだけど。今どこ?え?スーパーで銛を買ってる?スーパーでそんなの売ってるの?・・海の道具いろいろ揃ってるんだ、へー。釣り竿とかは?」
「ハウル、今そっちの話じゃないわよ~」
「あ、そうだ。あなたちょっと駅から海に行く通りまでバイクで来て。スイカ買ったから運んでもらいたくて。・・え?スイカ買うつもりだったって?もう買ってあげたから大丈夫よ。早く来てね、待ってるから」

電話を切るとニカッと笑って、「今、僕(しもべ)が来るから」と余裕顔であった。




背中に銛を立てて勇夫君が来たのは15分後くらい。

「遅いよ。主(あるじ)を待たせるんじゃないわよ」
「誰が主だって?こちとら夕飯の材料も買ってんだからな」

確かに3台のバイクは、朝に駅で会ったときと違って、食材を詰めたらしいダンボールの箱をくくりつけて、座るところが狭くなって窮屈そうだった。
バイクから降りてきた勇夫君が

「で、スイカってどれ」

と聞くと、ハウルさんが道路脇の草むらに転がってるのを指さした。

「うお!こりゃでっけえ!スーパーにはこんなすげぇのなかったぞ」
「こんな面白ぇの、スーパーにゃあ卸さなねぇずら」

露店のおばちゃんがニコニコして言う。

「中スカスカとかじゃねーだろうな」
「失礼な。そんなんだったらお金返したるわい」
「おーし。クーリングオフありってことだな」

うれしそうな勇夫君に対し、アロン君は

「何これ!どうやって持ってくんだこんなの」

と当惑顔をした。

「確かに。どうすっかな、荷台は食料で一杯だし」

するとハウルさん、

「大丈夫、お店の人にこれ入れる網の袋とクッション材もらっておいたから」

と準備万端。でもそれさえ積むスペースがなさそうなんだけど・・・

「勇夫、背負えばいいのよ。今背負ってるザックと銛は誰かに持ってもらって」
「えー?」

と一度は否定してみるが、アロン君にザックを背・・ではなくお腹の方に担がせ、銛はレソフィックさんの背中に突き立てて、勇夫君はスイカの入った網袋を担ぎ上げた。まるでスイカ泥棒だ。背中の方に担ぎ、シートにスイカを座らせるように置くと、食料を入れた段ボール箱もあるので、勇夫君はさらに窮屈そうになってた。

「次こそ宿で」
「落としたら拷問だよ!」
「安全運転でな!問題起こすなよな!」
「わかってるよ。じゃーな」

わたしが言った時以上に迷惑そうな顔をして、アロン君達は見るからに積載オーバーな感じでふらふらと走って行った。何もしてなくてもお巡りさんに呼び止められそう・・・。


次回「第2部:第10章 夏のエピソード(5):夕食前にシャワーです」へ続く!

前回のお話「第2部:第10章 夏のエピソード(3):特急の通過を待ってます」


対応する第1部のお話「第1部:第14章 夏のエピソード後編(1):臨海学校開校!」
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積載量の限られたバイクで、着替えとかの他に18人分の飲食料を3台で運ぶなんて(しかも巨大スイカまで買ってしまった!)、実際は無理かな?


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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