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<第2部:第10章 夏のエピソード(6):中庭で夕食です(1)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第330回
<第2部:第10章 夏のエピソード(6):中庭で夕食です(1)>


貸しコテージ2棟の建物の間の中庭にテーブルや椅子が引き出されて、みんなが食器やコップなどを並べていた。レソフィックさんはバーベキューコンロのところで炭火熾しを、アロン君と勇夫君が大きな牛肉の塊に塩やスパイスをまぶしてゴシゴシ擦り込んでた。
わたしとイザベルさんとカーラさんは、女子が泊まってる棟のキッチンで生野菜サラダを作ろうと葉っぱを刻んでいるところ。

キュウリの輪切りを切ってるカーラさんの包丁さばきは見るからに危なそうで、見ているこっちがハラハラして怖い。1本切るのに大変な時間をかけている。

「カ、カーラさん。レタスの葉やってもらえます?手でむしるだけでいいですよ」

額に脂汗をにじませた顔を上げたカーラさん、「そ、そうしよっかな」と少しほっとした表情を浮かべた。材木を切ったり加工したりはあんなに上手なのに、キュウリはなんで切れないのかしら。
イザベルさんがドレッシングを作ってやってきた。
イザベルさんはちょっと険な目つきで、若干つっけんどんな口調なので、最初取っつきにくいと思ってたけど、こうして一緒にいると意外とお喋りで気配りもできる人だと分かった。

「ちょっと味みてくれる?」

カップに入った白濁色のドレッシングをレタスの葉に落として食べてみると、すごくおいしい。イザベルさん、クッキー手作りしてただけあって結構できる人なんだ。

「わあ、おいしいです。すり下ろした玉ねぎっていいですねえ。ニンニクも効いてて食欲湧きます」

基本的なフレンチドレッシングにすり下ろした玉ねぎ・ニンニク、そしてレモン汁を加えたオニオンドレッシングだった。
一緒に食べたカーラさんも美味しそうにしてたけど、ふと真面目な顔になった。

「これ、ニンニク結構効いてない?後で臭わないかしら・・」
「アロン君達もお肉にガーリックパウダー擦り込んでましたし、今日はニンニク逃れられないと思いますよ?」
「なによカーラ。食後に誰かとキスでもするつもり?」
「べっ、別にそんな予定ないけど!」

とは言っているが、カーラさん急に顔が赤くなった。

「ど、どうせC組だし。遠慮不要よね。あはは!」
「でも、後で海岸とか散歩に行ったらナンパされるかもしれないよ?その時におってたら・・」
「もしかしてイザベル、ナンパされるの期待してるの?」
「別にぃ?そんな計画あったら、もうちょっと慎重にするけど。あ、美女のアロンへのアタックには邪魔になっちゃうかも」

そこは邪魔しちゃっていいですよ、イザベルさん。




ボールに山盛りに盛ったサラダを5つ、みんなでテーブルのところに持って行った。

アロン君の方を見ると、美女さんとダーニャさんが一緒にいる。アロン君は、勇夫君とスパイスを塗り込み終わった大きな肉の塊3つに太い串を刺してるところだった。美女さんはテーブルに頬杖してその様子を眺めながら楽しそうに話しかけてる。カーラさんがムッとしながら美女さんに向かって言った。

「美女、手伝うんじゃなかったの?」

美女さんは全然詫びれる風でもなく、アロン君に話しかけてた時の笑顔をそのまま上げて言った。

「3人で十分人手足りてたみたいじゃない」

カーラさん、ますますムッとする。
なるべく美女さんを気にしないようにしているらしいアロン君は、レソフィック君がいる方に顔を向けた。

「レソフィック、そろそろこっちオッケーだぞ。炭火まだかー?」
「悪りー。なんか点き悪くって、まだダメだ」

レソフィック君がいるグリルの所は白い煙ばかりがもうもうと立ち上っていて、火を熾すのに悪戦苦闘してうようだった。カーラさんが覗き込みにいった。

「枯れ枝とかで火熾そうとしてるの?」
「キャンプとかではいつもそうやってるんだ」
「湿ってるんじゃないの?新聞紙とか持ってこようか?」
「悪りい。ある?そういうの」
「待ってて。持ってくる」

カーラさんはコテージに戻っていった。
カーラさんって、お料理よりそういう方が頼りがいあるよね。変な工作とかも得意だし。アウトドア向きなのかな。アロン君達とも、きっとウマがあうよね・・・。
なんか少しカーラさんを羨ましく思った。
そこにミシェルさんがやってきた。

「飲み物出していいかあ?つまみは?サラダだけ?」

お肉の処理が終わって一服してる勇夫君が答える。

「その辺は女子に頼んでっから」
「つまみ?勇夫、そんなのも言ってたっけ?!」

イザベルさんが慌てて首を伸ばした。

「メインディッシュ以外って頼んだろー」
「事前打合せもなしに、凄いいい加減な頼み方!責任取れないよ?!アロン!どうにかしてよ」
「ごめん。手間かけなくていいから。なるべくいろんな材料買っておいたから。切るだけで食えるのもあるし、頼むよ」
「本当に切っただけで出しても文句言わない?!」

イザベルさんが抵抗していると、ダーニャさんが美女さんを引き起こした。

「シャルロット、出番じゃない?おつまみなんか得意じゃない」

起こされた美女さん、「しょうがないなあ」と渋々立ち上がると、アロン君に

「作ってあげようか?」

とにんまりして言った。

「た、頼んます・・」

ふふ~んと意味ありげに微笑むと、ダーニャさんと一緒にキッチンへ向かって歩いて行った。
美女さん、自分をアピールするつもりだ。

「ピーマン切っただけで出しても文句言わせないからね!」

イザベルさんもそう言い捨ててキッチンへ向かったので、わたしも慌ててそれに付いていった。




キッチンに着くと、

「それで材料何があるの?」

と美女さんは冷蔵庫を開けた。

「なんだ。色々あるじゃない」
「はい。結構いろんなもの買ってくれてました」
「鶏肉あるけど、これアロン達は焼かなくていいの?」
「牛肉しか焼かないって聞いてますけど・・」
「あらそう。でも時間ないから手間いらずなのにしないとね」

美女さんはぐるりと中を見渡すと、トマトとチーズを取り出した。

「生のモッツァレラチーズだったら最高だったのに。イザベル、トマトを厚めの輪切りに切って皿に並べて」

イザベルさんが指示通りお皿に輪切りのトマトを並べると、その上に薄切りの普通のチーズを乗せ、コショウを一振りした。

「バジルもないからパセリで代用」

と言って刻んだパセリを散らし、オリーブオイルを回しかけて、あっという間におつまみを1品作ってしまった。トマトとモッツァレラのカプレーゼを真似たものだ。

「これは見かけだけのニセモノね。ダーニャ、持って行って」
「オッケー」

すごい。美女さん、やり慣れてる。


次回「夏のエピソード(7):中庭で夕食です(2)」へ続く!

前回のお話「夏のエピソード(5):夕食前にシャワーです」


対応する第1部のお話「第1部:第14章 夏のエピソード後編(2):美女の才能」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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美女さんと裕美子ちゃんの料理対決?
ってわけでもないですけど、お料理シーンが続く予定です。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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