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<第2部:第10章 夏のエピソード(13):ビキニだって着ちゃいます> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第337回
<第2部:第10章 夏のエピソード(13):ビキニだって着ちゃいます>


海が近いだけあって、スーパーは水着も品数揃ってた。

「うわぁ、女の水着って華やかだなあ。・・恥ずかしくって長居できそうにないんだけど」

そうね、男の人にはいづらいかもしれませんね。
でも、どんなのがいいか考えるまもなく、アロン君は数体のマネキンが着ているのから一つを指差した。

「これにしよう!」
「え?」

メガネをかけ直してアロン君が指さしたのを見たわたしは一瞬飛び上がった。だ、だって!

「ビ、ビキニ!そ、それはちょっと・・・」
「ん?なんで?」
「・・そんなスタイルよくないし」

それは青を基調にした横縞模様のだった。濃い青から水色へとグラデーションのようにだんだん色が変わっていく。デザインも別に過激なところはない普通のビキニなんだけど・・。だいたい露出のある服は好きじゃないから、ビキニの水着なんて縁がないどころか考えたこともない。しかもマネキンがまとう姿は大人の女性って感じで・・わたしこんな大人じゃない。で、でも、いつも子供っぽいとか言われるから、こんなの着たら、わたしでも大人っぽくなるのかしら・・。

「できるだけイメチェンしとこうよ。普段の小泉とギャップがあってなおさら気付かれにくいよ」
「でも、これは・・・こういうのは似合わないと思うし・・」
「そんなことないよ。俺のイメージ的には、さっきのストレートヘアにすごい合うと思うんだけど」
「そ、そう?・・」

本当にそう思うの?

「試着してみたら?」

そう言われて、じっとその水着を見つめた。そう言われると、着たら自分がどんなになるだろうと気になってきた。こんなことでもないと、もうこんなの着る機会ないかもしれない。似合ってなければやめればいいんだし、一度くらい試してみようか・・・

ちらっとアロン君に目をやった。

着たらアロン君に見られちゃうんだ。

「ぜったいイケるって。着てみようよ。・・・てか、早くここ脱出したいし」

・・見られるなら、アロン君の方が、いっか。

「じゃ、じゃあちょっと・・」

思い切って試着してみることにした。




実際着てみると、思った以上に布がなくて不安な感じがした。お腹も背中もすかすかで、身体をさらけ出しちゃってて・・・、丸見えじゃない。裸とは言わないまでも、下着姿で人前に立つような気分だわ・・。ハウルさんもカーラさんも、それどころか今回わたし以外みんなセパレートタイプの着てたけど、みんなよく着れるなあ。・・こんな格好でアロン君の前に立つの?

「あ、あの、やっぱり、似合ってないです、こんなの」
「どれ、見せてよ」
「ええ?!・・見てもつまらないですよ」
「ほら、今、他に誰もいないから、見る人いないから、今チャンスだよ、早く早く」

チャンスって・・・アロン君には見られちゃうのよ・・・。恥ずかしさで死んでしまいそう。

「小泉、似合うと思うんだけどなー」
「・・・・」

もう・・・、一瞬だけ出て、すぐ戻ろう。

しゃらしゃらと恐る恐るカーテンを開けて、試着室から出た。無駄な抵抗とはわかってるけど、腕を胸や足に一生懸命交差させて隠そうと足掻いた。

もう、ぜんぜん隠せないよ・・。あぁ、アロン君が見てる。な、なにどんどん顔赤くしてるんですかぁ!

「はずかしい。下着でいるみたいで不安です・・」
「・・・」

アロン君はなぜか無言だった。

「なな、なんか言ってください。せっかくすごい勇気振り絞って出てきたのに・・・」
「こ、小泉、その隠そうとするの、かえってエロく見えるんだけど」
「ええ?!だ、だって、見せられません!こんな体・・」
「い、いや、おかしくないよ!それに・・スタイル悪くないじゃん。体の大きさにあったバランスが取れてると思うけど?。胸も、けっこうあるんだね。あ、ごめん」
「そ・・そんなに見ないでください。あの、これ、胸のとこはちょっといんちきです。・・パッドで、寄せてます」
「そ、そうなの?」

自分でも気になったんだけど、胸に谷間ができてちょっと大きく見える。一瞬見てもらいたくなっちゃったくらい・・。もともと大きい人って、やっぱり自信あるんだな。
胸のところいじってたら、アロン君が一点集中して見てるのに気付いて、急いで両手で隠した。

「ははは・・・くるっと後ろも回ってみせてくれる?」

言われた通りくるりと後ろ向きになった。ちらっと首だけ振り向いた。・・なんかアロン君、顔緩んでるなぁ。

「どお、ですか?」
「う、うん・・やっぱきれい・・思ったとおり、ラインとか形とか、絶妙・・・」
「え、えっち~!」

慌てて前に向き直った。でも前も後ろも、どっち向いてもこんなほぼ裸の格好で隠しようもなく、真っ赤になってしゃがんでしまった。

「いやいやいや、すんごいいい!!。へえ~見直しちゃったな。小泉、かわいい系だったんだね」

か、顔から火が出そう

「ちょっと幼いけど子供ではないし、かといって大人っぽくもなくて・・・」

上目遣いでアロン君を見た。

「こ、これでも幼いんですか?わたしってどういう・・・」
「ああ、いやいや、だけど色っぽさもあるし、絶妙のバランスだよ」
「・・誉めてるの?それ」
「そ、そうだよ。これなら美女に堂々と立ち向かえるぜ。幼なじみ、自信もって自慢できるよ」

そ、それって

「あ、あの、わたし、小泉裕美子ですよ・・美女さんにはとても・・」
「大丈夫だって。メガネ取って、髪もストレートの状態にするんだから、いつもの小泉にはぜんぜん見えないし、俺的には美女にまったく負けてないし」

う~ん、微妙な評価だな。いつものわたしはぜんぜん負けてるってことよね。

「よーし、買うぞ!」

真っ赤になった顔を上げた。

「ほ、ほんとうにこれ、着るんですか?」
「もちろん。今時点でもこれが小泉?って思うくらい変身してるし。あ、俺がお金出すから。心配しないで」
「そ、その心配はしてませんが・・」
「着てっちゃう?」
「あ、ダメです。まだみんなの前に戻りますよね」
「あぁ、そうか」
「き、着替えますね」
「うん。じゃあ俺、レジの方に行ってるから」

更衣室に戻った。着替える前にもう一度鏡で自分の姿を見た。そして着替え終わった後の姿も見た。ぜんぜん違う。わかってるけど、地味だなぁ。
もとの姿になって更衣室を出た。アロン君は女性水着売り場がいづらいらしく、レジの近くで待ってた。
わたしがそっちへ行くと、アロン君がまじまじとわたしを見てる。わたしなんかを見てくれるなんて、信じられないくらい嬉しいんだけど・・・

「なんですか?は、恥ずかしいじゃないですか、そんなに見つめて・・」
「ご、ごめん。変身したね~」
「それ、もう誉めてないですからね」
「ええ?いや!そういうつもりじゃないから。わ、わりい。そうだ、上着も変えとかないとじゃない?」
「上着も買うの?」
「だって、今着てるのはまずいよね」
「嘘つきは、高くつきますね」
「まあ、俺が悪いんだし。小泉には迷惑掛けらんないから・・・。もう迷惑はかけてるけど」
「そうですよ、あんな裸に近い格好さらけ出すんですから」
「す、すみません!本当にごめんなさい」
「あ、じゃあ早いところ選んでしまいましょう。あまり不在時間長くしない方が・・」
「そ、そうだね」




会計を済ませ、バイクのところに戻ってきた。買った水着とパーカーはバイクの荷台にくくり付けた。

「これ、あげるからね」
「で、でも」
「俺が持ってても使えるわけじゃないし、持ってたら変態扱いされるだけだから」
「それは・・そうですね」

アロン君が先にバイクに跨った。さっきのようにシートの高さを埋めるような段差はないところだったけど、スタンドをかけたままの状態で、アロン君の肩に掴まりながら後ろに乗った。そしてまたアロン君を膝で挟み、腰のところに手を当てた。
行きと同じようにくっついちゃっていいのかな。くっつきたいなぁ。

「いい?それで大丈夫?」
「・・・上体、また、くっつけていいですか?」
「恐くない方にすればいいよ。落っこちないでくれよ」

それじゃあと上半身をアロン君の背中に寄せた。
・・抱きついてる。わたし、また好きな人に全身で抱きついてる。気絶しちゃいそう・・。

「じゃあいったん宿寄って、荷物置いて、それからみんなのところに戻ろう」

まだしばらく、二人っきりだね。うれしい。
アロン君はバイクを走らせた。


スーパーの周辺を抜けると信号もなく、宿までほぼノンストップ。止まるときのあの密着ができないのがちょっと残念。でもアクセルを戻したときにも結構慣性が働くので(エンジンブレーキというそうです)、そういうときは遠慮せず自然の法則に身を任せた。
こんなことしてるわたしって、やっぱり結構エッチなのかしら。

またアロン君の耳元に向かって言った。

「うそつき、高くつきましたね」
「そ、そうだね。でもおかげで理想通りの幼なじみが作れたから、損してないと思うよ」
「だけどアロン君の許嫁がこんな人じゃ、評判落ちちゃいますね」
「そんなことないよ。俺的には美女より上だから」
「アロン君の美人眼が疑われますよ。・・えっ!」

そ、それって、もしかして、美女さんより、わたしのことがアロン君的には・・・・こ、好みってこと?

「そういや小泉にはしょっちゅう『高くつきますよ』って言われてたっけ。予言通り?まだかかるのかな?」

アロン君にぎゅっとしがみついてしまった。
高くつくっていうのは、わたしの相手してもらうよってことだったのよ。

「・・・時間が許せば、もう少しこのままま、連れまわしてもらうところです・・」

頬をアロン君の背中に寄せると、自然に言葉が漏れた。

「だって好きだから・・」

びくっとアロン君が何かに反応したように震えた。

「え?」

はっ!わたし、なに口滑らしちゃって!!

「バ、バイク乗るの、好きみたいだから!もっと走り回って、そしたら、そしたら・・、ガソリン代も、高くつくなあって・・・」

ご、ごまかせた?でも、心臓ばくばくいってる。か、感じ取られちゃってるかも・・・

「じゃあ、幼なじみへの変身代は、・・今後アッシーにされるってことかな?」
「そ、そうですね。・・それ、イザって時のために、取っとこう」
「えー?怖えーなー」

ごまかしちゃった・・・。
どのみちわたしは、アロン君とつき合っちゃいけないんだもの・・。


次回「第2部:第10章 夏のエピソード(14):理想の娘にだってなっちゃいます」へ続く!

前回のお話「第2部:第10章 夏のエピソード(12):タンデムしちゃいます」


対応する第1部のお話「第1部:第14章 夏のエピソード後編(4):大近眼は陸も海も同じ」 「第1部:第14章 夏のエピソード後編(5):5分だけおさななじみ」 「第1部:第14章 夏のエピソード後編(6):水中騎馬戦」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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今回も第1部になかったシーンで、アロン君に強烈なアピールとなってたお話でした。夏のエピソードでは特に見た目部分に関してアピールしてたわけですが(裕美子ちゃんはそんなつもりありませんでしたが)、アロン君にとってはストライクゾーンにはまってたんですよねえ。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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