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<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(4):カーラから借りた本> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第352回
<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(4):カーラから借りた本>


その後はカーラから借りてる小説の話に移っていった。シャノンが鞄から借りてた数冊の本を取り出した。

「なんかどれも青臭い話だったわ」
「ちょうど私らの年代のじゃない」
「あたしはねー、あんたらよりおねーさんなんだから、もっと大人の恋を読みたいわ」
「これなんかどお?確か主人公小学生だったわよぉ」
「話聞いてる?あたしもっと大人のがいいの!」
「仮に本当にシャノンが私らと同じ年の生まれだったとしても、高校生主人公の本じゃだめなの?」
「仮にってどゆこと?まさかあんたらあたしが生まれを偽ってるって思ってんじゃ・・」
「まあまあ。そうしたらどれがいいのかなぁ。相手の男性の年は幾つくらいがいいの?」
「30歳以上」
「・・・」

シャノン以外のみんなが一瞬固まった。

「小学生と30とか40歳の人のじゃ、恋愛小説じゃなくて推理小説とかの方じゃなあい?」
「そうね。幼児誘拐、監禁事件とか」
「なんで小学生なの!」
「ぷぷっ」
「ああっ、こいずみ笑わない!」
「す、すみません・・」
「そうするとさあ、この不倫ものくらいじゃない?おっさんが出てるの。相手の女の人25歳くらいだけど」
「あたしにちょうどいいじゃん。でも不倫はなあー」
「その男の人の子供が小学生よねえ」
「クリスティン、あたしと小学生ぜんぜん関係ないよ!」
「あらまあ。それじゃもうここにはいいのないわぁ。いっそのことBLでも読む?」
「う~ん、ちょっと興味。どれ?」
「なんですか?BLって」

裕美子はクリスティンの方にちょっと背筋を伸ばした。

「こんなのよぉ」

クリスティンに渡されたのをパラパラと捲ってみると・・・
バンッと真っ赤になってその本を放り投げた。

「本を粗末にしちゃダメよぉ」
「なななななんですか、それは」
「ボーイズ・ラブよぉ。一部の人には人気あるみたいよ」
「やだ、普通の、正常なのにしてください。カ、カーラさん、そんなの読んでるんですか?・・」
「百合ものもあるから、カーラの趣味はよくわかんないなあ。試しに色々揃えてみたのかもよ」

ハウルからぽいっと違う本が渡された。

「百合ものって?」
「女の子同士」

バンッと開かずにそのまま放り投げた。

「本を粗末にしちゃダメよぉ」
「ふ、普通のが、いいです・・」
「裕美子には冒険するのはまだ早いのね。じゃあ同い年近辺ので・・」

ハウルが本の山から何冊か見繕って手渡した。

「これ、普通のですか?」
「大丈夫、安心して。主人公は中学生と高校生と、あと大学生だから」

裕美子はぱらりとページを捲って中を確かめはじめた。横ではシャノンがBLものだという本を読みふけっている。クリスティンもどれ読もうかと物色していた。

「ちょっと待ったあ!今日は読書しに集まったんじゃないわ!」

ハウルの一声にクリスティンが顔を上げた。

「そう言えばそうだったわねぇ」
「?」
「グループ交際反省会よ」
「え、え?」
「次いつ集まろうかって話。それしようと思ったら、あの連中連絡つかないのよ。というか、クリスティンによると、たぶん電波の届かないところに遊びに行っちゃってるらしいんだけど。いつでも暇しとけって言ったのに」
「オートバイにテント乗せて山の中に行くんだって」
「アロン君とか勇夫君とかのことですか?」
「そう。それでどうしてくれようか、ってわけよ」
「いつ帰ってくるんですか?」
「多分30日よ。残りの夏休み目一杯遊んでくる気だわ」

BL本からシャノンが顔を上げた。

「はーん。それで彼氏とひと夏の甘い思い出を作ろうと思ったのに、これじゃできないじゃん、って言って怒ってるんだ」
「彼氏じゃないから。それにグループ交際だし」
「こんな甘ったるい恋愛小説読んだ後じゃねえ。それで誰が誰とかあるの?」
「ハウルのお相手は、勇夫君よ~」
「天月勇夫?」
「か、彼氏じゃないし!しもべよ、僕。あいつは」

へん、とシャノンは鼻で笑った。

「ガキねぇ」
「うるさいな!あっちは間違いなくガキだけどさ」
「天月勇夫じゃ、相手が誰でも恋愛小説のどの場面とも被らないわ。だいたいあいつ恋愛できんの?」
「しもべだって」
「クリスティンとか、こいずみも決まってるの?」
「一応ね、ユミちゃんはリーダー、私はレソフィック君。あとカーラがアロン君ねぇ」
「なんだ。みんな特定の相手決まってんじゃん。グループ交際である必要あるの?でもってアロンって許嫁いるんでしょ?」
「そこはいつもそばにいられるカーラが奪い取るのよ~」
「それは面白いわね!ドロドロの骨肉の争いが起こるわけね」
「これこれ、お子ちゃまは見ちゃいけない番組よ」
「あたしお子ちゃまじゃないよ!あたしじゅーろくなんだから。こいずみなんかまだじゅーごでしょ」
「ハウルもまだ15ねぇ。私は16になったけど。シャノンちゃんはじゅーろくかあ、うふふふ」
「なんかクリスティンとあたし、同じに聞こえなかったけど。ところでこいずみはリーダーとだって?生徒会委員同士なんて、ずいぶん安直な組み合わせね」
「そ、そうですよね。みんな安易な設定に飛びついてるだけです。リーダーだって迷惑してますよ、きっと」

ハウルとクリスティンが凄い残念な顔でこっちを見た。

「リーダー可哀想に・・」
「え?え?」
「と、とにかく!」
「ひっ!」
「そんなわけだから、どうすればいいかな」

ハウルが裕美子の顔を覗き込んだ。

「も、問題は何ですか?遊ぼうと思って思い付いても捕まらないこと?・・そしたら集まったその日のうちに次回の日取りを決めるか、当面1、2ヶ月分の集まる日を先に決めちゃうとか・・」
「いいわね。じゃあ次回は・・どうやって決めよう?」
「男子と、話ができないことには、ど、どうするにも進めようないのでは・・」
「なるほどね。まずは新学期始まったら、すぅーぐとっ捕まえるってことね。で、夏休み遊んでくれなかった分、男子のおごりでどこか行くことにしようか」
「いいわねぇ~。どこ行こうか~。遊園地?動物園?水族館?プールとか泳ぎ行っちゃう?」
「どこも片いなかからは遠いわねぇ。だから夏休み中がいいのに」
「どれも少女マンガの夏休みの舞台ね。いかにも中学生が、できたばっかの彼氏と初デートって感じ。クリスティンもハウルもお子ちゃまなんだから」
「シ、シャノン、そういうんじゃないんだったら。ところで裕美子、今日泊まっていかない?どこ行くか話し合おうよ」
「え、え?今日、ですか?」
「うん」
「・・・そ、そういう調整してないので・・家と・・すみません」
「急過ぎた?。でもやろうよー、お泊り会」
「ど、どうしてそんなに、お泊り会やりたいんですか?」
「楽しいよー?もしかしてやったことない?」
「小学生のときなら・・」
「こないだレソフィック君のお家でやったわよぉ」
「あ、あれ、お泊まり会っていうんですか?」
「ああいうんじゃなくて、もっとガールズトークで盛り上がるものよー。小学生の時やったのって楽しかったでしょ?」
「・・なんかもう忘れちゃいました」
「嫌だった思い出がなければ楽しかったってことよ。やろうよ、今度」
「・・・」

『どうしよう・・。ハイって言ったら日程調整されそう・・』

「私もハウルもノーマルだから怖くないわよ~?ちなみにカーラもノーマルだったわよ」
「あの本のレパートリーからしたら、本当にノーマルだったかわかんないわよ」
「まあどうしましょう。あ、でも前に女の子には興味ないって言ってたから、私たちは大丈夫よ」
「裕美子が困った顔してるわよ。裕美子、冗談だからね」
「は、はぁ・・」
「じゃあまた機会作るから、今度来て。学校ではできないような話しするのも面白いわよー」
「す、すみません・・」
「あたしも呼んでー」
「おっけー。シャノンちゃん、お母さんから泊まってきてもいいよって、ちゃあんと許しもらってくるのよ?送り迎えしてもらう?」
「なにそれ!だいじょうーぶだから、あたし大人なんだから!夜一人でトイレにも行けるんだから!」
「そういえばハウルの家のトイレ、電気点かないことあるわねぇ」
「あれ不思議なのよねえ。突然消えたりさあ。物音もするし。あ、そうだ!怪談話とかもいいね」

シャノン、急に青い顔になった。そして涙声で言った。

「・・・あのね、間違えた。ウチ夜トイレ、寝る前にみんなで行くの」

ハウルとクリスティンがシャノンにかわいいーっと言って抱きついた。盛り上がる横で裕美子は申し訳なさそうに小さくなった。

『ごめんなさい、ハウルさん。こんな、打ち解けられない人で・・』





家に戻った裕美子はキッチンで麦茶を入れると、それを持って自分の部屋に行った。

「ハウルさん、どうしてもお泊まり会やりたいみたい・・。これは、いつか行かないと駄目かな・・」

ベッドを背もたれにして座ると、鞄から借りた本を出した。

「恋愛小説なんて、まともに読んだことなかったな。少女漫画なら昔少し読んだけど・・。中学の時は、なんかもうそういう気になれなかったし・・」

ぱらぱらとページをめくってたその時、変な記述があると思って少し前のページに戻って読み返した。
みるみる顔が赤くなっていく。
そのページの半分も行かないうちにその本をバムッと閉じた。

「な、な、な、・・なんですか、これ!」

そこにはあからさまなベッドシーンが書かれていたのだった。

『え?だ、だって、この本の主人公の女の子、16歳でしょ?』

気になって他の本も手に取った。主人公が18歳の本なんか、もっと過激だった。まさかと思って試しに14歳の娘が主人公の本も取ると・・・

夏のキャンプのキャンプファイヤーで、好きだった男の子と二人、みんなに気付かれぬよう闇の中に抜け出すと・・キスして・・・男の子が触ってきて・・・女の子も相手の子に手を伸ばし・・・二人とも服を脱ぐと・・・

ボンっと本をベッドに放った。

「カ、カーラさん、こんな本読んでるの?今日ハウルさんの家にあった本、みんなこんな感じだったの?・・・そういえば肌色多いってハウルさん言ってたっけ。あれ、こういう意味だったんだ・・・。ハウルさんもクリスティンさんも、こんな本読んでて、あっけらかんとしてたの?」

みんな思春期だから、こういうのに興味を持ち始めてるって事は知識としては知っていたが、いざ目のあたりにすると理解できなかった。

「カーラさん、こういうの読んだ上でアロン君と会ってるの?・・。こういうことするかもって思いながらお話してるの?二人っきりになろうとしてるの?」

そもそも人とちゃんと接触できるかどうかも自分は疑問だったのだ。こういうことまで気がまわるはずがなかった。
それとも、そういうことを意識しない方がおかしいんだろうか。

『そういえば夏の旅行で、アロン君のバイクに乗せてもらったり、水着買いに行ったりして、ビキニの水着見られたり、水着姿でアロン君と触れ合ったりしたとき、恥ずかしさとか、嬉しさとか、少しエッチな気持ちとか、もっとこの人と一緒にいたい、触れたいっていう思い、あれは普段学校で接しているときにはなかったものだった。
恋人になればデートとかもするだろうし、そうしたら触れ合うことも多くなるだろう。そうしたら、もっと長い時間を一緒に過ごしたら、こういうことしたくなるのかもしれない。自然と・・。夏、二人で過ごした時間に感じたもの、あれは、こういう行為へ至る最初の入口なのかもしれない』

そうは思ったものの、やはり知識の延長としての理解であって、実感が湧くものではなかった。

「わたしはアロン君と、もっと一緒にいたいって強く思った。こんなわたしでも、一緒にいればいつかそんな気持ちが出てくるのかな」

それは人間の本能なのだろうから。
もう一度本を手に取った。
読めるだろうか。


次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(5):ペアペアチケット」へ続く!

前回のお話「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(3):ハウルのお古の服」


対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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今回は会話だらけで情景の描写がほとんどありませんでした。でもどのセリフが誰か、だいたい分かっていただけるでしょうか。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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