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オリエンテーリング (10) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第10回
<オリエンテーリング (10)>

担任が電話に出た。
「カーラか?どの辺だ?道に出たか?」

-----

B班
「B班カーラです。道にはまだ出てません。でもA班からもらったノートによれば、もう近いとは思いますが。でももう日が暮れてしまって、周囲がよく見えないんです」
「怪我人たちはどうだ?」
「かなり厳しいです。それで・・この先どうするかちょっと話し合っているところです。場合によっては・・リタイヤという結論が出るかもしれません」

-----

A班
「ドジ担任、なんだって?」勇夫が聞く。
「まだ道に出られてないそうだ。怪我人もだいぶ酷いらしい。今協議中だそうだ。もう動けないなら、リタイヤするかもしれないって」
「ちょっと話せないか?」
「ダメだ。俺しか話しちゃいけないんだ。アドバイスもやっちゃいけないんだ」
「くっそー!」

-----

B班
「救護班の私がこんなじゃ世話ないわ・・ダーニャさんは大丈夫?」
クリスティンのソックスは血が滲んでいた。
「私はちょっと擦りむいた程度だから、平気よ」
ダーニャはニコッとしたが、それが空元気なのは明らかだった。

B班リーダーのジョンが元気な連中の意見をまとめてきた。
「僕らの意見は、君達の怪我を悪化させてまで無理する価値があるか疑問というものだ。あとは君達が決めればいい。みんなどう結論が出てもいいって言っている。遠慮しなくていいからな」

ウォルトが、土産用の水の蓋を開けて、最後の1本のクスス山のおいしい水を味わいながら言った。
「もう暗くてルート見えないし、無理じゃないか?道にさえ出られれば可能性あったんだけど」
傍らでイザベルが足を揉んでいた。
「ウォルト、あたしくやしいわ。裕美子さんの書いたメモでは道の最後からスタート地点、私達のゴール地点まで20分なんでしょう?そして道までたぶんいくらもないんでしょう?道さえ見つかれば・・私這ってでも進みたい」
イザベルは悔し涙を流していた。
「そうだね。道が見つかれば、俺もがんばれるかな」


次回「オリエンテーリング (11)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (9)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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オリエンテーリング (11) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第11回
<オリエンテーリング (11)>

-----

A班
ハウルが担任のところに来た。

「クリスティンの怪我酷いのかなあ。ちょっと励ましたいんだけど」
ハウルは同じ中学だったクリスティンを気遣った。だが担任は・・・

「だめだって。俺しか話せないんだ」
「アドバイスするわけじゃないのよ。たんにがんばれって言うだけ」
「話の中身にかかわらず、俺だけしか電話出ちゃいけないんだ」
「たかががんばれって激励もできないの?!」
「ダメだ」
「なんでよ、それぐらい!けち!けち!どけちーーーい!!」
ハウルが絶叫する。

「それだわ、ハウルさん!」

足を抱えて静かに座っていた小泉が急に起き上がった。
「なに?けち?」
「違います。バックノイズです。直接電話に出なくても、電話の後ろでバックノイズとして激励の声を届けるんです」
キャリーが手をたたいた。
「いい手じゃない。それやろうよ、応援しよう。みんな!来て!」

-----

B班
「??!」

カーラが気付いた。
「先生?・・その後ろの声・・もしかしてA班ゴールしたの?」
「あ?ああ。君の電話がかかるちょっと前に着いたんだ」
「みんな!A班ゴールしたって!」
「なんだって?」
「聞いて、これ!ほら、電話口の後ろで、聞こえるでしょう?みんなの声、がんばれって声!」

電話を受け取ったウォルトが「ほんとだ」
次に受け取ったイザベルが「聞こえる、みんなの声援が」
クリスティンが「このちょっと高い大声、ハウルだわ、くすっ」
ダーニャも聞く。「元気そうだね、やっぱ体育会系チームは。シャルロット!A班のみんなが応援してるよ!」

シャルロットとアンザックとアロンは特別任務中でちょっと離れたところにいた。近い方にいたシャルロットが答えた。
「A班、たどり着いたんだ。わたしらの情報のおかげでずいぶん早く着いたね。感謝しろって言っといて」

ウォルトが言った。
「俺達も行かなきゃ。声援に答えて。ここで諦めたら、一生後悔しそうな気がする」
クリスティンも賛成した。
「そ、そうですよ。ここは無理する価値ある気がします。ね?イザベルさん!」
イザベルは黙ってうなずいた。
ウォルトがジョンに向かって答えた。
「結論出たぞ、進もう!」
「い、いいのか?」
「くどい!クスス山の水がなくなる前にゴールしたい!」
「わかった。カーラ!」
「はい!連絡します」


次回「オリエンテーリング (12)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (10)」
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オリエンテーリング (12) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第12回
<オリエンテーリング (12)>

-----

A班ゴール地点
「え?まだ行く?でももう真っ暗だろう?大丈夫か?」
・・(行きます。今声援もらってモチベーション高いんです。A班の人達に言ってください。元気をありがとうって)・・
「・・わかった。気を付けてな。変化あったらすぐ連絡してくれ。定時まで待たなくていいから。な」
電話が切れた。

勇夫が覗きこむ。
「なんだって?」
ドジ担任はみんなの方に向き直った。
「B班からA班に伝言だ。いいか?みんな」
みんなが担任の顔を見た。みんながいることを確認した担任はきりっと言った。
「B班から、『元気をありがとう。私達は行きます』。聞こえたか?B班はまだあきらめないぞ!」
「そうこなくっちゃ!」
わああ!っと歓声が上がった。

レソフィックが提案を出した。
「俺らゴールしたから、ここもう撤収していいんだろう?ドジ担任!B班のゴールへ行こうぜ、みんなで!」
「そりゃいい案だ。みんなで迎えさせてください!」チャンも賛同した。
するとハウルが勇夫を押さえつけて上から
「のったー、その案乗った!」
と飛び出してきた。
「ドジ担任の車どこ?・・あれね!勇夫、車占拠して!みんな乗り込め、いくわよー!」
ハウルが聞いたとたんに行動に走った。
「ばっか、免許もねえだろ!」担任が焦るが、
「へっへっへ、動かし方なら知ってるもんね」とニヤつきながら勇夫が車に向かって行った。
「うわ、やめてくれ!C組の栄誉をそんな形でぶっ壊さないでくれ」
「じゃあ、早く運転してよ、ドジ担任さん。」
「乗るならそっちのミニバンだ。10人乗れるのはそっちだ。スミマセーン!B班の生徒迎えに行きます、撤収お願いしまーす」
とドジ担任は天幕に残るほかの2名の先生の返事を聞くまでもなく言い放して車に乗り込んだ。

「みんな乗ったか?」
「大丈夫でーす、はやく、出発、出発!」とハウルが急かす。
ぶろろろろっと車は走り出した。
とたんに後ろで騒いでる。
「走れ!全力で走れ、そして飛び乗れ!」
「うわわわ、まってくれー!」
立ち小便してちょっと離れていたパウロが取り残されていたのだ。
ミニバンの観音開きの後部ドアからミシェルが手を伸ばしている。ミシェルの体を勇夫が掴んでサポートしていた。パウロは全速力で走ってミシェルの手を掴み、車に引き上げられた。

「ぜー、ぜー、ぜー、はうる~!!」
「おい、誰か置いてったか?」
担任が後ろをチラッと見ながら聞く。
「間に合ったじゃない。問題ないでーす」調子のいいハウルだった。

-----

そしてB班。
ウォルト達が協議していた間、特殊任務をしていたシャルロットとアンザック、そしてアロンが戻ってきた。

特殊任務とはこうだ。
シャルロットはB班みんなの近くにあって、アンザックはシャルロットが持つライトの光が直接見えるできるだけ遠くに行った。そしてそこから500mある細いロープをアロンのベルトに縛って、アロンは一体を偵察したのだ。
そして道を見つけてきたのだ。

「あったぜ、道が。400m先に」

誇らしげに報告するアロン。
暗闇で長時間待たされたアンザックは足の震えがまだ収まっていなかった。


次回「オリエンテーリング (13)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (11)」
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<オリエンテーリング (13)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第13回
<オリエンテーリング (13)>

-----

ここはB班ゴール地点。
B班担当の先生の他、車でやってきたドジ担任とA班メンバーが揃っていた。
A班メンバーも疲れたせいか静かである。シャノンは寝入っていた。

ゴールから300mほど入った地点で、勇夫とパウロが焚火をしてB班の来るのを待っている。

19時は既に回っていた。


ゴールにあるテントの電話が鳴った。電話の先はA班ゴール地点からだった。
「ダム先生いるか?B班カーラからこっちに定時連絡があった。そっちの電話から折り返しかけてあげなさい」
ドジ担任は定時連絡用電話をA班ゴール地点に置きっぱなしできたのだ。伝言を聞いたドジ担任は
「すんません、すんません」
と言いながら電話を借りて、A班カーラの持つ衛星電話にかけた。

「あー、おほん。カーラか?無事か?」
・・(みんな無事です。道は迷ってないと思いますが、でもどの辺かわかりません・・どの辺まで来たのか)・・
「周りに何か特徴ないか?」
・・(真っ暗であまり特徴らしきものは・・)・・
後ろからハウルが大きなバックノイズで
「懐中電灯振ってみてー」
と言う。そして森の中で焚火している勇夫に無線で
「そっち、何か見えない?よく探して」
と伝えた。

・・(今、みんながライトであちこち照らしてます。上にも下にも)・・
そのとき無線から勇夫が
「光った!今、一瞬、光った!」

ゴールから勇夫たちが焚火の木を手にとって振り回し始めるのが見えた。
さらに、急に焚火の火が大きくなった。ドジ担任がちょっと心配する。
「なんだあれ、大丈夫か?」

ハウルがバックノイズで叫ぶ。
「こっちで光が見えたみたい!勇夫がおっきい焚火してるよ!見える?!」
すると無線から
・・<こちら勇夫、応援頼む。増加照明用の薪をくべたら異常発火した。水、水!>・・
レソフィックが立ち上がる。
「バカか、あいつは!」
シャノンの体にかかっていた毛布を取り上げて森へ走った。
リーダーが慌てる。
「みんな、水!」

その騒ぎの中、カーラの声が
・・(見える!ちらちらオレンジ色の火が木々の向うに見えます!)・・
「カーラ、がんばれ、もうちょっとだ。ちょ、ちょっとその火は大ごとになりかけてるから、いったん電話切るぞ」
・・(は?)・・


次回「オリエンテーリング (14)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (12)」
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<オリエンテーリング (14)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第14回
<オリエンテーリング (14)>

-----

B班。
みんなはオレンジの炎が木の間から見えて大喜びしていた。

「もうちょっとよ!あそこにみんながいるわ!」
重いウォルトをジョンが抱え、イザベルをアロンが抱え、クリスティンをアンザックが抱え、ダーニャをシャルロットが抱え、カーラが先導する。アロンはその焚火の炎になんとなく異常を感じた。焚火が横に広がっている。
「な、なんか変じゃないか?、あの焚火」
しかし抱えられているイザベルは、そんなものを見るゆとりなどなかった。

-----

A班焚火地点。
駆け付けたレソフィックが吠えていた。

「ばっかか、勇夫!なんだ、このすごい量の杉の枯れ葉は!山火事にする気か!」
「緊急アピール用に集めといたんだ」
「これじゃ水足りねえよ!パウロ、薪を分散させろ!広げて踏み消すんだ!」
「あちちちち!」

レソフィックは持ってきた毛布を水で濡らして、小さく分散させた火にかぶせて窒息消火を始めた。

ドジ担任やリーダーも駆け付けた。
「うわー!C組の栄光を、事件起こしてふっとばさないでくれえ!」
「こんな盛大な火だったのか?!水たらないぞ!」リーダーもびっくりする。
レソフィックが叫ぶ。「リーダー!燃え広がらない程度に散らすんだ。それで個別に踏み消せ!」
「な、なるほど、わかった!おいキャリー、その辺の木の枝使って掻き出して散らばして!」

-----

B班。
先頭のカーラが気付いた。
「変だわ。近づいているはずなのに、焚火の炎が小さくなってく」
イザベルを抱えるアロンもそれを見ていった。
「何かやらかしたな」

-----

しばらくすると、周りにちらちらとオキ火が散乱する現場にB班が到着した。鎮火は成功したようである。
A班のほとんどがそこにいた。
「がんばれー!」
「あと300mよ!もう少し!」
ドジ担任が注意する。
「手、貸しちゃだめだぞ!ゴールするまで、応援だけだぞ!」
B班はみんな誰かしら担ぎながらで満身創痍である。手を貸すなというのはつらい。でも、手を貸したら完走にならないのだ。

勇夫が松明を持って応援していた。
「アロン、もうちょっとだぞ!」
アロンは懐中電灯で勇夫の顔を照らす。その顔はすすけて黒かった。
「何か・・・やったろ」
「うひ!」

A班はB班を取り囲みながら、声援を投げかけつつ一緒にゴールへ歩んだ。
「あと100m!」
「イザベル!がんばって!」
「クリスティン、もう少しの我慢!」
「ウォルト!歩けなかったら転がれ!」

いよいよゴールラインだ。
ゴール担当の先生たちが拍手している。

先頭のカーラがゴールラインに立った。そして振り返る。
その横にウォルトとジョンがゴールラインに立った。振り返って両手を広げた。
ダーニャとシャルロットがゴールライン前に座り込んだ。その横にアロンはイザベルを降ろした。
クリスティンとアンザックがジョン達の両手の中に入る。

「行くぞゴールへ!」
B班は顔を見合わせた。シャルロットが
「はやくー!」
と叫ぶ。
A班が一斉に掛け声をかけた。

「せーの!」

どどどっ。

B班はゴールラインに倒れこんで越えると、A班が「わああ!」と言ってその上に覆い被さるように抱きついてきた。B班の女の子は泣いている。

A班リーダーが雄たけびをあげた。
「うわおー!C組全員完走だー!」
わあーーー!
漆黒の空にみんなに歓声がこだました。


次回「入学式(1)」へ続く!

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<入学式(1)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第15回
<入学式(1)>

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話はオリエンテーリングより少し前、入学式まで遡る。
-----


日本と同じ4月、本校、第一分校とも入学式を迎えた。

ここは第一分校。少し田舎ののんびりとした高校。

この日は式典のみ。講堂で入学式が行われた。その後、入り口に貼られたクラス表で自分のクラスと教室を確認する。行事としてはこれで解散で、登校日は明日であった。
アロンはずっとつるんでいる仲間、勇夫とレソフィックとともに教室に行ってみた。

「どんなところか拝んどこうか」
「日当たり悪りいとこでなけりゃいいけど」
「あんまり日当たりがいいと眠くなるぜ」
「だいいち夏、暑ちぃよ」

教室に行ってみると何人かがいた。やけにモデルのようにすらっとしたのがいる。
その横にもやさ男がもう1人。
お分かりだろうか、モデルのようなのは実際モデルをやっているジョンだった。その傍らの優男はミシェルだった。
女子が何人かその周りにいた。アロンたちが入ってきたのを見て
「あなたたち、C組?よろしく」
と元気に声をかけてきた。全身にエネルギーが満ち溢れ、かわいい顔をした娘である。
が、なぜか危険な香りもした。
横には萌えなキャラクターを従えていた。そう、のちのちいろいろあるであろうハウルとその友達クリスティンであった。
「ういっす。いろいろよろしくたのんます!」
威勢のいい勇夫。
「クラス間違ってなけりゃよろしく」
とアロンとレソフィック。

黒板に向かって一人で立っているメガネの娘がいる。もわもわっとした髪のその娘は、落ち着いた雰囲気を通り越して見過ごしてしまいそうであった。その娘はアロン達を見つけると、しばらくじっと見ていた。のちのクラスの参謀、小泉裕美子であった。
「君もここの組?」
とアロンは声をかけた。
メガネの娘はぺこりとおじぎをしたのでどうやらC組らしい。
手を上げて
「よろしく、クラス間違ってなけりゃ」
とアロン。
すると、すたたたっと教室を出て行ってしまった。帰ったようである。

すると、入れ替わって飛び切りの美人が入ってきた。美人らしくつんとしてお高くとまった感。後の美女ことシャルロットである。同郷の友達ダーニャと一緒であった。
その美人の後ろから数人男どもが続いて入ってきた。美人に付いてきたという方が正しいかもしれない。
「えー?あなたもCクラスだったんだ?うれしいなー。よろしくお願いします」
と鼻の下を伸ばしている。アンザックとパウロであった。
「あら、よろしくね」
美人は愛想は振りまいているが、その2人にはあまり興味はないようである。窓際にいた美男を観とめたが、自分から言い寄るというよりは、相手から言い寄られる方が好みのようであった。ニコリとだけする。


次回「入学式(2)」へ続く!

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<入学式(2)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第16回
<入学式(2)>

ちょっと太ったのが入ってきた。きょろきょろしながら教室を突っ切って窓際まで行くと、
「教室が2階ってのは面倒だなあ。毎日階段登るのかあ、やだなぁ」
とぶつくさ言った。
ハウルがその体をなめまわして見た後遠慮なく言う。
「階段くらい登った方がいいんじゃない?まっ、2階くらいじゃ痩せないと思うけど」
太ったのはいや~な顔をしてハウルを見た。
「お前C組?」
「はーい!ハウルで~す。よろしく」
「ウォルトだ。でもあんまりかかわりたくないなぁ」
クリスティンがフォローする。
「ごめんなさい。この人遠慮ないんです。でも悪気はないから許してね。私クリスティンです、よろしくね」
ウォルトはちょっと顔を赤らめると
「ウ、ウォルトです。ちょっとだけかかわってもいいかなあ」

ウォルトの大きな体の後ろから小さな女の子がひょこっと姿を表した。150cm台前半の背丈に金髪のさらりとした長髪。その可憐な姿にみんな思わず見いる。クリスティンが
「わぁ、キュート!あなた誰かの妹さん?」
とその子に声をかけた。
するとその可憐な子が「あなた何月生まれ?」と聞いた。
「私?6月よ」
「じゃ、まだ15ね。あたし4月2日生まれ、16才。C組になったシャノンよ」

「い!」

そこに居合わせた誰もが仰天する。

ちっちゃくって本当に高校生か?そしてジョンやミシェルを見た後
「高校生ってもっと大人かと思ってたのに、ぜんぜんガキね。ま、しかたないか」
教室は静まり返ってしまった。

たまらず勇夫が「帰るか」と発声した。
アロンがニヤっとしてシャノンに聞こえるように
「帰りがけに缶蹴りでもしていくか」
勇夫も乗ってくる。
「高鬼にしようぜ」
シャノンが本気なのか疑い深げに
「それじゃ小学生よ」

アロンが教室を出ようとしたら、ちょうど飛び込んでこようとした女の子とぶつかりそうになった。ちょっとそばかす顔のその子は
「ここ、1年C組ですか?」
とアロンに聞いてきた。
「そうだよ」
「よかった、見つかった!」
とその子は安堵する。迷うほどこの学校広いか?
「北校舎だとか、3階だとか、ぜんぜん違うこと教えられちゃって。あっ!ちょっとあなた!!ぜんぜん似ても似つかないところ教えて!」
指さした先にはハウルがいた。またこの子か。いろいろ騒動の多い人である。
「あら、確かカーラさん。ごめんね、あの後正しいところ教わったの。だから一緒に行こうって捜したんだけど」
「ナニを根拠に3階なんて出てきたのよ!」
ハウルはカーラという子のところに来ると
「まあまあ。今度は一緒に行動しましょうよ。おいでおいで」
と肩を組むと窓の方へ連れていった。

「賑やかそうなクラスだな」
とアロンが言うとレソフィックが
「拡声器みたいなのは一部のようだけど」
勇夫が
「火の粉浴びないよう気を付けよう」
と言うと、アロンたちは外へ出た。

しかしまさか噴火口の横にいるかのような仲になるとは、このときは知る故もなかった。


次回「初登校日(1)」へ続く!

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<初登校日(1)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第17回
<初登校日(1)>

今後もうこんなことはないかもしれない、アロン、レソフィック、勇夫の3人は一番最初に教室に到着した。

教室の前に行ってみると、入り口に段ボール箱があり、その中からカードを拾うと座席番号が書いてある。ランダムに座席を決めるため担任が考えたものだが・・・

アロンは手にしたカードを見て
「窓際の後ろの席がいいな」
というとカードを元に戻してガサガサと箱の中からカードの束を取り出した。
その中の数枚をレソフィックは取ると
「やりい、窓側2列目一番後ろ発見。あ、窓側後ろから2番目もあった」
「あ、ずりーぞ。俺も」
と箱の中の残りのカードを物色する勇夫。するとアロンが
「4列目の一番後ろがあった。窓側あるか?」
とりあえず一番後ろのをキープする。
勇夫が
「へっへっへ、じゃあ窓側一番後ろは俺のものだな」
とカードをめくっていくが、見つからない。
「あれ?おかしいな・・。3列目の一番後ろはあったぞ」

すると廊下の向こうから人影が見えてきた。アロンが
「やべ、誰か来るぞ。勇夫、早く見つけるか、それであきらめろ」
「ち、ちっくしょう。やむを得ぬか」

やむなく窓側にかたまるのをあきらめ、左後ろの右から一列に後ろの座席を陣取ることにした。レソフィック、勇夫、アロンの順である。

後から来たのはメガネ娘、小泉裕美子であった。アロン達は証拠隠滅のため、自分たちでよーく吟味した席に座って何食わぬ顔でいた。裕美子はしばらく座席番号の入った箱を見つめ、仕組みを理解したあと、箱に手と顔を突っ込んでごそごそやっていた。

その後ろから騒ぎが聞こえてきた。ハウルのグループである。すぐ後ろに後のクラスリーダー、チャン・リーウェイが付いてきていた。みんなが教室に着いて箱を見ると、
「何これ、座席番号だって。どれどれ。えーっと、あの辺かなあ」
とカーラ。
「ばっかじゃないの。まじめにランダムに席につく気なの?ぶちまけちゃおうよ」
とハウルが過激発言をする。
「だめだよ、ルールは守らないと!」
チャンがはやくも正義感ぶった。
「おはよう。なに、これがルール?」
喧嘩に応じそうなハウル。その性格を知っている友達クリスティンが止めに入る。
「やめなよ、一応こうやろうとしてるみたいだから、守ろうよ」
「だいじょうぶ?なんか後ろの席から埋まってるみたいだけどー」
ハウルは後ろの列に居並ぶレソフィック、勇夫、アロンに眼をやっていた。しかも裕美子もすとっとアロンの横の席に座るではないか。
「上から順に取ったらこうなったぞ。カード入れた奴が間抜けなんじゃねーか?」
とレソフィックがでたらめで自分たちを庇護する。
「そうそう」とアロン達も同調する。アロンの横に座った裕美子まで首を縦に振っていた。
「マジ?どれどれ、えー?ぜんぜんちがうじゃん。前の方だよー」
となげくハウル。
「ゴメン、私自分の取るときだいぶかき混ぜちゃった」
とカーラ。
「マジでー?ばかあ、なにすんのよ」
「いーから早くやってくれ。俺にも引かせろよ」
チャンは箱の中に手を入れて、一番上にあったカードを取り出した。

正義感リーダーは教壇の真正面の席になった。

「よかったねぇ。あんたらしいよ」
とケラケラ笑うハウル達だった。


C組座席表

                 [教壇]

ミシェル   パウロ    チャン  イザベル  シャノン ハウル
シャルロット カーラ    ダーニャ アンザック ウォルト クリスティン
キャリー   レソフィック 勇夫   アロン   裕美子  ジョン


次回「初登校日(2)」へ続く!

前回のお話「入学式(2)」
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<初登校日(2)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第18回
<初登校日(2)>


「諸君、おはよう!このクラスを受け持つことになったダッジ・ダムだ。新入生の君達同様、僕も新米教師だ。お互い新米同士、一緒に一から勉強していこう。よろしく!」

C組担任になった新米教師はそう言うと、教壇のところに天井からぶら下がっていた紐をぐいっと引っ張った。
その紐の先には丸い玉があった。しかし紐に引っ張られて揺すぶられただけである。
一番前にいたチャンが
「それ、なんですか?」
と聞いた。

「あ、あれ?」

先生は困惑してぐいっぐいっと何度か紐を引っ張る。
ミシェルが「もしかして、それくす玉か?」と聞く。

「あ、あっはっはっは」(^^;

先生はばつの悪そうな顔をして、今度は力任せに紐を引っ張った。

すると、ぶつっという音とともに天井にとめてあったくす玉が外れ、力をこめて引っ張られた紐の勢いで加速して、ゴンっとかなり大きな音を教室に響き渡らせ、その玉は先生の脳天に勢いよくぶつかった。

「い、いってえー!!」
「ぶわはははは!」
「きゃはははは!」
教室は拍手喝采の大喜び。

ウォルトが涙を流して喜んで、
「わーははは!大ドジだ。ドジたんにーん!気に入ったぜ!!」
シャノンがぱちぱちと拍手して
「ドジたんにーん」
と呼応する。

新米教師のあだ名は決まった。


次回「初登校日(3)」へ続く!

前回のお話「初登校日(1)」
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<初登校日(3)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第19回
<初登校日(3)>

教壇の上に置かれたくす玉が鈍く光るC組の教室。

全員揃っても窓側の左後ろの席は空いていた。レソフィックが担任に聞く。
「ドジせんせー。ここなんで空いてんの?」
「ちきしょう。初日数分でなんと不名誉なあだな・・一生の不覚をとったぜ・・。そこか?そこはキャリー・バルモアという女子の席だ。バスケ部優待生として入学した子で、187cmという長身の持ち主だ。始業式前から本校のバスケ部の春期合宿に参加中で、明日初めてこっちに来ることになっている」
「へー。そりゃでかい。それじゃ前のほうの席には座れないな」

「ところで、なんでお前ら3人そろって並んでるんだ?たしか知り合いだよな」
「え?連番だったんだよ。ちゃんとよく振って入れたのかぁ?」
「連番?おっかしいな。ちゃんと混ぜたのに・・まあいいや。それじゃお前ら3人で明日来るキャリーの歓迎の準備をしろ。朝のホームルームで連れてくるから」
「えー?!今日は放課後用事あるんだけどなあ」
アロンがぶーたれる。
「そういうことは1週間前に秘書に伝えてスケジュール調整してもらわないと」
と勇夫がありもしないことをいう。
「お前らの席と引き換えだ。やらないんならシャッフルしちゃおうかなー」
「えー?きたねー」

するとアロンの横にいた裕美子が手を上げた。
「あの・・私やってもいいです。・・女の子の歓迎だし、男の人が考えるよりはいいかなと思って・・・。教室飾ったりしていいんでしょうか?」
するとハウルが同調した。
「そーだよ。男に女の子の歓迎なんて、どんな的外したことするかわかんないわよ」
そして
「私もやる。あなたもやってみる?」
とハウルは自分の横の席のシャノンを巻き込み、さらに
「あとその人もやりたいって。推薦でそこの人も」
とクリスティンにカーラを有無を言わさず巻き込んだ。
「へえ、いいのかい?それはにぎやかでいいや。じゃあ頼むよ。勇夫達は別のときにこき使うとしよう」
「うぇ。ちゃんと秘書通してくれよ」

ひとまず一見落着した。
「すまん、ありがとう」
と3人は裕美子に手を合わせる。
裕美子はめがねを直して、
「なにか用事があるようですし・・高くつくかもしれないですよ」
と不気味に答えたのだった。


ハウル、カーラ、クリスティン、シャノン、裕美子の女子は、居残って担任の作ったくす玉を調べる。
クリスティンはうんうんうなりながらくす玉と格闘していた。
「つなぎ目がぜんぜん離れないわ。何でくっつけたのかしら」
それを覗き込みながらカーラが
「ドジ先生の頭に当っても割れないんだから、くぎでも使ったんじゃないの?」
と言うと、ハウルは早々に普通に開けることを諦めた。
「紐引いて割るのはあきらめて、思いっきり何かにぶつけて開くようにしようか」
ハウルは見かけによらず荒っぽい女の子であった。


次回「初登校日(4)」へ続く!

前回のお話「初登校日(2)」
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